概要
19世紀にハワイに存在した王国。首都はラハイナ(1820~1845)→ホノルル(1845~1893)
かのカメハメハ1世(カメハメハ大王)が小国家に分かれていたハワイを統一して建国。前半は捕鯨、後半は砂糖で栄えた。ハワイ人の激減による労働力不足を補うため、アメリカはじめ、アジア諸国などからも移民を受け入れた。しかし、経済を牛耳ったアメリカ人に次第に圧迫され、19世紀末、アメリカ合衆国に併合され、消滅した。
歴史
ハワイの統一
1778年、ジェームズ・クックがヨーロッパ人として初めて来航。このとき持ち込まれた武器に興味を持ったのが、カメハメハだった。
首長のなかで、大きな勢力を持っていたカメハメハは1795年は複数の島を勢力下に置き、ハワイ王国を建国した。そして、西洋の武器、西洋人の支援で、当時さまざまな小国家に分かれていたハワイ諸島を統一。1810年のことだった。
近代化と捕鯨
カメハメハ大王が死ぬと、カメハメハ2世が即位。カプ制度の廃止、キリスト教の到来でヨーロッパの価値観が広がっていく。
さらに、カメハメハ3世は憲法の制定や信教の自由など、立憲君主制の道を歩み始める。捕鯨産業が栄え、経済を支えた。一方で、西洋から持ち込まれた疫病や海外移住で先住ハワイ人は激減した。
西欧人の圧迫
カメハメハ4位の時代に捕鯨は廃れ、砂糖産業が台頭しはじめる。カメハメハ5世はアメリカの併合を警戒し、アイデンティティの維持に努めた。
カメハメハ5世が後継を選ばず亡くなると、憲法に基づき、ルナリロが王に選ばれた。リベラルな考えで、憲法を民主的なものにしようと試みたが、実現の前に早世した。
後継となったカラカウアは、アメリカとの互恵条約を結んだが、アメリカ側に極めて有利なものだった。砂糖産業の隆盛を実現したが、しかし、徐々に西欧人による経済界からの圧迫が強まり、西欧人の圧力により、王権を制限する憲法(銃剣憲法)への署名を強いられ、その維持が難しくなっていく。さらに、互恵条約継続の条件として、アメリカ海軍の真珠湾(パールハーバー)の使用権を認めさせられた。
王国の消滅
兄の死を受け、即位したリリウオカラニの時代、西欧人と先住ハワイ人との対立が激化。アメリカへの砂糖関税が撤廃されると、砂糖農園所有者は併合を支持するようになる。
そんな中、リリウオカラニは1864年憲法に近い新憲法の制定を図るが失敗、王位から引きずり下ろされ、アメリカ人主導の共和制に移行、ここにハワイ王国は消滅した。1893年のことだった。
その後
先住ハワイ人は王政復古を求め、蜂起するが失敗、リリウオカラニも関与したとして幽閉される。1898年にハワイは併合、1900年に準州となった。
制度
ハワイにはカプと呼ばれる戒律があった。「男女は食事を共にしてはいけない」などの決まりがあった。カメハメハ大王のころは守られていたが、カメハメハ2世はこれを撤廃、ヘイアウ(祭祀場)や神像などが破壊された。
憲法の制定や信教の自由、土地所有の自由化など、近代法制の導入が進められたが、これにはキリスト教などによる新しい価値観が影響を与えていた。
憲法では王位を継ぐものがいなくなれば、新国王は選挙で選ばれることになっていた。
経済
王国が成立すると、ヨーロッパ人の寄港地として栄えはじめた。まずは白檀が主な産業となった。カメハメハ大王はカプで規制したが、カメハメハ2世が伐採権を与えると、枯渇した。
次に栄えたのが捕鯨産業。西欧の捕鯨船は先住ハワイ人を労働力として重宝した。本来、ハワイ人は鯨を神の化身として大事にしていたが、価値観の変容で捕鯨することに抵抗がなくなった。
しかし、アメリカで石油が見つかると、鯨の価値は暴落した。砂糖産業が台頭し、アメリカに輸出した。だが、砂糖をめぐるやり取りが次第にハワイの未来に影を落とし、王国の併合に繋がっていった。
外交
クックの来航以降、ヨーロッパとの結び付きが出来た。特にアメリカとの結び付きが強かった。しかし、併合への警戒感が強くなり、カメハメハ4世と5世は距離を置き、互恵条約に慎重だった。
カラカウアはこれを実現させるが、アメリカに有利で、パールハーバーの使用権を認めさせられた。
一方で、カラカウアは海外周遊に出掛け、日本とは連合王国構想やカイウラニ王女と山階宮定麿王の縁談などを提案している。また、官約移民の受け入れを実現させている。
ルナリロはオーストラリアやニュージーランドとの互恵条約を構想していたが、早くに亡くなったため実現しなかった。
宗教
初期は土着崇拝が基盤で、社会制度そのものだった。しかし、西欧人によりキリスト教が到来、カメハメハ2世が受容すると、キリスト教が社会に影響を与えるようになった。これらは社会を大きく変化させ、制度や産業にも影響を与えた。
関連タグ
琉球王国:隣国の支配を受け、やがて併合されたという共通点あり。その後の歴史や社会構造もよく似ている。
ハイスクール・フリート:ハワイ王国が存続しており、これがブルーマーメイド設立に大きく関わっている。