概要
鞘翅目(コウチュウ目)オサムシ科ハンミョウモドキ亜科ハンミョウモドキ属に分類される甲虫の総称。
ヨーロッパ~ロシア、北アメリカ大陸北部などの寒冷地に約40種が分布し、日本では北海道と東日本に5種が分布する。
その名の通りハンミョウに似た顔をしていて、大きな目が特徴的。
主に寒冷地の良好な湿地帯で見られ、ハンミョウの様に地表を素早く走り回り、小型昆虫などを捕食する。
短時間なら潜水も可能。冬は湿地や周辺の林床などの地中で越冬する。
危険を感じると悪臭がある防御物資を噴出する。
光沢のある赤銅色の体表には宝石のように青く輝く丸く窪んだ斑紋が散りばめられ、非常に美しいことから、マニアの間では密かに人気。
湿地帯の開発によって減少しており、絶滅危惧種に指定されている。
主な種類
エゾハンミョウモドキ
和名 | エゾハンミョウモドキ |
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学名 | Elaphrus sibiricus |
体長 | 8~9mm |
分布域 | 日本(北海道) |
北海道の湿原に生息する。エメラルドグリーンの光沢とパープルの模様が美しい、日本産ハンミョウモドキ最美麗種。
成虫は5~9月に見られ、日中に直射日光の当たりにくい場所の泥地の表面で活動する。
オオハンミョウモドキ
和名 | オオハンミョウモドキ |
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学名 | Elaphrus japonicus |
体長 | 8~8.5mm |
分布域 | 日本(北海道、本州中部地方以北)、シベリア南東部 |
体表の銅光沢が美しい種。
ミズバショウ等の水生植物が繁茂する良好な湿原を始め、沢や休耕田などにも生息する。
山地に多いが、東北地方日本海側では平地でも見られる。
現在は分布しない広島県や熊本県で化石記録があり、古代には全国的に分布していてたようだ。
コハンミョウモドキ
丘陵地~平地の湿地帯に生息するが、林縁や果樹園などのある程度乾いた環境でも見られる。
オオやエゾより一回り小さい。
環境省レッドリスト絶滅危惧ⅠB類 (EN)。
ヒメハンミョウモドキ
和名 | ヒメハンミョウモドキ |
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学名 | Elaphrus riparius |
体長 | 6~7.5mm |
分布域 | 日本(北海道)、中国、シベリア、ヨーロッパ |
日当たりの良い開けた湿原や河川敷に生息する。オオやエゾより一回り小さいが、個体数は多い。赤銅色の光沢を持つ。
ワタラセハンミョウモドキ
和名 | ワタラセハンミョウモドキ |
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学名 | Elaphrus sugai |
体長 | 8.4mm |
分布域 | 日本(青森県~栃木県) |
渡良瀬遊水地で発見された種。
開けた平地の湿地帯を好み、日差しが強い時間帯に活動する。
環境省レッドリスト絶滅危惧ⅠB類 (EN)
ピレネーハンミョウモドキ
ピレネー山脈に分布?
似た昆虫
アナバネゴミムシ
(学名:Blethisa multipunctata aurata)
同じくハンミョウモドキ亜科に分類される近縁種。
捕獲すると鳴いて威嚇する。国内では北海道のみに分布。
メダカチビカワゴミムシ
(学名:Asaphidion semilucidum)
ハンミョウモドキに似た見た目のゴミムシだが、近縁ではない。
よくケヤキの樹皮下に居るが、湿地でも見られる。
通称ハンミョウモドキモドキ。
ハンミョウモドキダマシ
(学名:Opisthius richardsoni)
北アメリカに分布するハンミョウモドキに似たゴミムシ。
モドキにダマシともう何が何だかわからない…
ニセハンミョウモドキ
(学名:Paropisthius)
ヒマラヤや中国雲南省、台湾などに数種が分布するゴミムシのグループ。
ニセハンミョウとも呼ばれる。
ハンミョウモドキとアトキリゴミムシの間の子の様な姿で、高山の石の下に居る。