概要
CV:阿部敦
魔族で構成された魔王軍の最高指揮官・四天王の一人で、『絢火』の異名を持つ。
先代四天王の筆頭格で『業火』の異名を持った魔族の英雄とされる老将・グランバーザの息子。
主人公・ダリエルとは義理の兄弟と言える関係であったが、物語の冒頭にて「魔法が使えない」という理由で彼を解雇・追放処分にしており、それによってダリエルの人生は大きな転換期を迎える事になった。
人物
端正な顔立ちに真っ赤な長髪が特徴。『絢火』の異名通り炎属性の魔法を得意とする。
しかし、性格面に関しては傲岸不遜でプライドが高く、自分が魔族の中で最も優れていると信じて疑わないナルシストぶりも見せる等、典型的な自己愛性人格障害の持ち主。
偉大な魔族である父・グランバーザの息子に相応しい魔力の持ち主であるが、逆に言えばそれ以外の取り柄は無きに等しい。魔王軍の指揮官としての現在の地位に見合うだけの実力や実績も乏しく、四天王になったのも実力を積み重ねたのではなく単に親の七光りの影響が強いのだが、そういった自分自身の問題点が全く見えていない状態にあった。
自分にとって気に入らない部下は即座に解雇するといった形で徹底的に冷遇し、自分に都合の悪い意見にもとことん耳を貸そうとしない等、指揮官としての器量が非常に狭い。また、甘やかされて育ち叱責された経験が殆ど無い故に、少しでも注意されれば逆上して魔法による攻撃を行い、自分に全面的な非があってもまともに謝罪すら出来ない等、精神面においてかなり幼く質の悪い振る舞いも目立つ。
漫画版・アニメ版ではオウムに自分を褒め称える言葉を覚えさせる等、イタい面も見せている。
グランバーザから自分よりも期待されていた義兄に当たるダリエルに歪んだ嫉妬心を抱いており、四天王になった途端に「魔法が使えない」というだけの身体的理由からダリエルを即座に解雇するだけでなく魔族全体からの追放処分にまで追い込むのだが、それが原因で魔王軍全体の内部軋轢を招き、やる事全てが裏目に出て魔王軍を瓦解状態にさせていく事になり、自身も転落の一途を辿っていく事になる。
劇中の様相
原作小説
物語の冒頭、先代四天王であった父・グランバーザの影響力もあって新四天王の一人に就任するのだが、それから間もなくして気に食わない存在であった義兄・ダリエルを「魔法が使えない」というだけの理由で、解雇。それどころか魔族そのものからの追放処分を下す。
だが、彼が魔族側に大きな損失を出した訳でも無いにも拘らず、グランバーザに何の相談もせずこれまでの功績や魔王軍内での人望すらも無視して追い出した行いは横暴以外の何物でも無く、加えて自身が兼ねてよりダリエルを毛嫌いしていたのも周知の事実であった為、四天王就任から早々に魔王軍側からの反感を多大に買い、深刻な軋轢を生じさせてしまう。
ダリエル追放後は、自身の置かれている状況も自覚が無いまま、父を超える功績を残そうと奔走するも、彼の代役を務められるだけの能力を持った後任の補佐官を用意せず彼を追放してしまった事が大きく災いし、新世代の勇者であるレーディ率いるパーティーを相手に魔王軍は敗走を繰り返す事になる。
打開策として、自らが研究開発した魔力爆弾の製造に取り掛かるも、これは強力な反面、「希少金属であるミスリルを大量に消費しなければならない」という採算の合わない代物で、結局はミスリルを無駄に浪費した挙句に失敗させてしまう。
その対策として新たに供給しようとした際には、対価を全く変更する事無く4倍もの徴収量をミスリル鉱山のノッカー達に要求するという理不尽極まりない無茶振り政策に出ている。しかし、ダリエルの追放後にただでさえノッカー達は酷使され続けていた為、不満を爆発させた彼等に反乱を起こされてしまい、挙句の果てには人類側にミスリル鉱山を奪還されてしまう最悪な事態となった。当然、ミスリルを無駄に使い切るどころか供給さえも出来なくなったこの愚挙には、急遽呼び出された魔王からも「前代未聞の大失態」と評された上で叱責されてしまい、謝罪を要求されそれを必死に耐えながら行うも、遠回しに追放したダリエルの方が自身よりもずっと優秀であった事実を突きつけられ、その後は八つ当たりで魔法による破壊行為に出ている等、反省の様子を全く見せなかった。
なお、ミスリル鉱山のノッカー達への件は、我儘な性格をした同じ四天王のゼビアンテスにすらも酷いやり方と見なされていたのだが、当のバシュバーザ本人は罪悪感を抱いていない所かむしろダリエルが功績を残したミスリル鉱山のノッカー達を酷使出来る事自体に頬を紅潮させて愉悦を感じていたという、最低ぶりを見せていた。また、魔王にはミスリルを使った魔力爆弾の開発中止を「何度」も命令していた理由として、「お祭り用のアクセサリーの制作にミスリルが必要」と言われていたのだが、実はこれは「バシュバーザのプライドを傷付けないよう気遣った上で魔力爆弾の開発を諦めさせる為の口実」に過ぎなかった。しかし、魔王の真意に気付けずただ言葉を鵜吞みにしてしまったバシュバーザは、「ミスリルの徴収量を増やせば問題無いだろう」という安易な結論に出てしまい、更に鉱山への派遣部隊の指揮にはパーティーで出会い気に入った戦闘経験も無い男を縁故採用で任せるという職権乱用まで行い、魔王軍側からの更なる反感を買ってしまった。ちなみに、この傍迷惑な失態の尻拭いは、ダリエルの同期であるリゼートがさせられる事になっている。
鉱山での失策後、とうとう父・グランバーザにもダリエルを無断で解雇した件がバレてしまい、殴られて以降は部屋に閉じ籠ってしまう(漫画版では魔獣を探しに旅に出ていた)。
その不甲斐無さから、次第に周囲からの期待と尊敬が失望と侮蔑に変わり、ついには「二代目はボンクラ」と皮肉にも自分が無能の烙印を押される。更には、皆がダリエルを引き合いに出す為に、次第に彼に対する逆恨みまで募らせていく事になる。
狂気と憎悪の末に自らの仲間や部下を焼却する等、完全に暴走(この魔族仲間殺しの悪事によりダリエルは彼を完全に見限り、ゼビアンテスは心底軽蔑し嫌悪した。ただし、漫画版では魔法で暴れるだけで殺した描写は無い)。
ダリエルがラクス村で家庭を築いているのを知ると更に逆恨みを募らせ、それらを滅ぼそうとするが、ダリエルたちに阻まれ、火竜との融合禁呪の失敗(過去の事をよく調べなかったので先人達の失敗して落ちぶれる没落四天王の過程を踏襲)で自滅し自爆を待つ身になり、最後は上空に飛ばされダリエルの剣で跡形もなく消し飛ばされた。
……はずだったが、魔王の力で蘇生される。しかし、魔王は「暇つぶしのために魔王自らの手で悪者(魔族・人間族問わず)に罰を与えるスカッとする娯楽」のために蘇生したに過ぎず、散々失態を犯した挙句に魔王に対する反逆も同然の蛮行に走った罪から命乞いももはや聞き入れられず、生きたまま魔王の創った地獄(生きたまま永遠に焼かれ続ける地獄)に落とされた。
漫画版
こちらでは、幼少期はダリエルとは仲が悪いわけではなかったのだが、劣等感から少しずつ歪んでいったことが描かれたりと哀しき悪役として扱われている。
戦いの果てにダリエルと分かり合うも、暴走した火竜を食い止めるためにあえて自爆覚悟の融合を行うがダリエルやグランバーザに助けられ生還。この時、禁呪の名残で頭に角が生えた上に、よく見ると左目のハイライトが消えており、左目を失明していることが窺える。
魔王には「もう一度四天王としてやりなおすか地獄に落ちるか」の選択を迫られ、贖罪のために自ら後者を選択するが、魔王からは結局「(原作と違い命乞いもしないことに)つまんなっ」と地獄行きを中断され、追放処分となった。
その後、ラクス村を訪ね、ダリエルを「兄さん」と呼び改めて和解、一度は村ごと殺そうとした義姉のマリーカにも「バシュ君」と温かく迎えられ、ダリエルの息子であるグランにも懐かれた。ひとしきり歓待されたのちに、失明した左目に眼帯を付け、贖罪も兼ねた放浪の旅に出た。
後に、ある受難に悩み苦しむダリエルの前に心強い味方として駆けつける。メス堕ちして…。
関連タグ
光落ち(漫画版のみ)
メス堕ち(同上)
ピガロ…バシュバーザが倒された後に登場する彼の同類。禁断の力に手を出して実力を増大させるも制御出来ずに暴走、最後に散々見下していた相手に命乞いをする、他人の技を模倣して繰り出すも対戦相手に軽く蹴散らかされた上に呆れられる、最後は自分を蘇生させた相手に始末されると原作で非常に共通点が多い(読者にも別の意味で呆れている人が存在する)。
ただし、漫画版でのピガロは原作の原形をとどめないレベルの善人であり、「禁断の力に手を出して暴走」こそするが、後遺症は残るものの生存した上に、バシュバーザに助けられる。メス堕ちして…。