概要
コナミが1980年代半ばに開発したシステム基板。当時としては大容量なメモリである磁気バブルメモリが採用された。磁気バブルメモリはシステム基板に装着するカセット形態をとっており、起動時はカセット内の抵抗器を使ってバブルメモリの暖機を行い、その後システム基板のRAMにプログラムを転送する。電源を投入してからゲームがプレイアブルになるまでは数分の時間を要し、暖機後のロード中に「コナミ・モーニング・ミュージック」という曲が流れる仕様となっている。
バブルメモリの悲劇
バブルメモリは磁気ディスクなどの機械的に動く記憶媒体と異なり、振動や塵埃などの影響を受けない強みがあるものの、外部の磁気(電磁波)や電源異常に非常に敏感な部品だった為、データの消失が頻繁に起こった。一例として電車の床に置いただけでも、電車の電装品から漏洩する電磁場の影響を受けデータが消失するほどであったという。後に磁気ディスクや半導体メモリの進歩で補修部品も入手できなくなった為、修理対応はEPROMを採用したカートリッジへシフトしていった。このEPROM版はローディングの長さが改善されてカウントダウンが早く終わってしまう為、曲が聞ける時間も短い。
暖機に要する時間は基板を取り巻く環境によりまちまちで、通常は3分強程とされる。冬場や寒冷地だとより多くの時間を要する場合があり、逆に猛暑の場合は暖機する間もなくローディングが始まる。
こういった問題からこの基板が採用されたゲームは『ツインビー』、『グラディウス』、『KONAMI RF-2』、『ギャラクティックウォーリアーズ』の4作品のみである。
このようにバブルシステム第一弾は『ツインビー』なのに、どういうわけか『グラディウス』の起動バージョンが有名になりすぎて「バブルシステム=グラディウス」のイメージが根強くなっている。
2019年現在、バブルメモリをFRAMで代替する同人ハードとして『Bubbless』が頒布されたことにより問題が根本的に解決されることになった(外部リンク)。
仕様
CPU:MC68000(メイン)、Z80(サウンド部)
音源:AY-3-8910(2個),K005289,VLM5030
起動時の流れ
電源投入後、まずメモリの暖機が始まり、モザイク(起動毎に色が異なる)画面に「PRESENTED BY KONAMI」の音声合成が発せられる。その後モザイク表示のまま音声で50からカウントダウンしていく。0を待たなくとも暖機が完了した時点でローディングに移行し、コナミ・モーニング・ミュージックをバックに99からカウントダウンする画面表示へと切り替わる。
なお、「ツインビー」「グラディウス」「KONAMI RF-2」「ギャラクティックウォーリアーズ」のカウントダウンは表示フォントが異なるくらいでシーケンス自体は全く同じ。ただし、「グラディウス」のみカウントダウンする二桁の数字のフォントサイズが大きく目立つのが特徴。
一般に、ローディングは待ち時間が煩わしい物として忌避されがちだが、バブルシステムに於いては1つの演出として愛好するファンも少なくなかったようで、後に遥かに高性能な家庭用機に移植された際にも、敢えてこれらのスローな動作を再現しているケースが見受けられる。
「グラディウスデラックスパック」に収録されているグラディウスをCDから読み込む際にローディングが再現されており(暖機カウントダウンは無し)、99から00までカウントダウンし、チェック画面も表示される。CDのローディングが完了すればスキップ可能(きちんとスキップできる指示が出る)。
また、PCエンジンminiに収録されているPCE版グラディウスは隠しコマンドを入力すると「ニアアーケードモード」というアーケード版に近いグラフィックになり、このモードだとコナミロゴのデモの代わりにバブルシステムのローディングからスタートする。
アーケードアーカイブス版グラディウスは国内ROM版を5回・NEMESIS版を7回・NEMESIS欧州版を3回起動させる事でバブルシステム版が出現し、暖機・ローディングが再現されるようになる。
また変なこだわりのオプション設定が存在しており、暖機に要する時間設定で「秒数」「季節」「猛暑」「極寒」とそれぞれのシチュエーションを再現した設定項目となっている。こちらも暖機・ローディングのカウントダウンはゲームスタートに設定したボタンでスキップ可能。
(バブルシステム特有のバグが再現されているが、クラッシュバグだけは再現不可に成っているため、エミュではなく、移植だと推測される)
コナミ・モーニング・ミュージック
詳細はコナミモーニングミュージックを参照。
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