概要
ホンダが発売していたスクーター。
タンデムでの快適性を考慮した長い車体に排気量250ccのエンジンというパッケージングを始めて採用した車種であり、ビッグスクーターの元祖と呼ばれる。
初登場は1986年。
当時はビッグスクーターと言うジャンルが存在せず、ホンダは「クルージング2シーター」と謳っていた。
スタイルはいかにも「昭和に描かれた未来の乗り物」という感じで、全体的に角ばったデザインに液晶のデジタルメーターを装備していた。
スクリーンは快適性を考慮し縦長なものを装備。
収納スペースとしてリアにヘルメット2個が入るトランクを備えており、これは後にヤマハ・マグザムも採用している事から、先見性が窺える。
当時は単なるスクーターの一車種に過ぎず、デザインの評価も高くなかったことからセールスは低調で、1997年に生産終了。
ところが、直後にヤマハ・マジェスティの大ヒットを契機としたビッグスクーターブームが発生すると、本車のコンセプトが再評価され、中古車市場での人気が高騰。
これに応える形で、2003年から殆どそのままの姿で再生産が行われた。
以降は好調なセールスを記録し続け、2007年に排ガス規制の強化により再び生産終了となった。
余談
本車の生産終了期間中に、中国で無断コピー品が生産されていた。
それらは悪質なショップにより日本にも輸入され、「新車で買えるフュージョン」として販売されていた。
デザインが精巧に真似てある上、車名まで語感の似ている「FASHION(ファッション)」と名付ける徹底ぶりで、並べられても見分けがつかない。
これに対しホンダは中国のメーカーに訴訟を起こし、輸入ショップに制裁を科して対処。
コピー品も本車の再生産と同時に淘汰されていったが、しばらくは残党が中古車市場に残り続け、ユーザーやショップを惑わせることとなった。
ただし、ひと昔前の中国ではこのレベルのコピー品は珍しくなかった。