ベラン
べらん
「クックック……こういうのがまさに“暗黒時代”ってヤツさね」
ふしぎの木の実に登場するツインローバの部下の片割れで、時空の章のストーリーの黒幕にしてラスボス。肩書は「闇の司祭」。
一人称は「アタシ」で、妖艶な姉御っぽい喋り方をする。
ゼルダの伝説シリーズでは、トライフォース3銃士でシスターレディが登場するまでは唯一の女性ラスボスだった。
強大な闇の魔力を持ち、魔物を召喚したり光弾を放ったりして攻撃を行う。
しかし彼女の真の力は魔術ではなく、驚異的極まる憑依能力。
憑依されたヨリシロの意識を誘導するような形で乗っ取り(本人からすれば「悪夢を見ているような」感覚に襲われる。インパ曰く「自分の考えとは関係なく思い通りに操られる」とのことから、ヨリシロの意識がどれほど残るかは個人差がある模様)、その人物の能力をも行使することが可能。
さらに憑依中はベラン自身は一切のダメージを受け付けず、全ての攻撃はヨリシロの肉体に及ぶという厄介な特性を備える。
ただし、この憑依は「ふしぎの木の実」の一つであるハテナの実をぶつけられると強制的に解除されてしまい、その状態でいれかえフックなど「強引に場所を移し替える手段」を使われると実体化した状態で放り出されてしまう。
劇中ではほとんどの期間をネール、およびアンビ女王に憑依して暗躍しているが、だからと言って憑依していない時には何もできないわけではなく、むしろ憑依中は力のほとんどが使えない制限された状態にある。
それでも腕利きの剣士であるラルフを無傷で一蹴するなど桁違いの強さを持つが、憑依を解けばメイン画像にもある魔女の姿を取る。
そして本気を出す際には妖精に似た戦闘形態を現すが、それすらも破られた緊急事態においては、本人も「醜い」と忌み嫌う亀・蜂・蜘蛛を模した怪物の姿へと変貌する。
これこそベランの真の姿であり、ツインローバによって闇の世界から召喚された魔物としての本来の形態である。
ゴルゴンと異なり、本人が暗躍しているためかラスボスにもかかわらず戦闘回数が多い。
ゴルゴン共々ツインローバから大魔王ガノンを復活させるため、儀式に必要な三つの炎のひとつ「嘆きの炎」を灯すという使命を帯びてラブレンヌ地方に送り込まれる。
「嘆きの炎」を灯すためには人々の悲しみや恨みと言った負の感情の念が必要であり、そのためにネールの「時間を遡る」能力を手にするべく身体を狙っていた。
ネールの居場所はあっさりと突き止めたものの、トライフォースの力を用いたと思しき結界に守られていたため手出しができなかった。
そのため、インパに憑依してリンクを騙し、ネールへの道を塞ぐ結界を除去させた。
まんまとネールに憑依した後は過去の世界で「時の巫女」としてアンビ女王に取り入り、恋人を案じる女王の心の隙を突いて唆し、レンヌ村の人々を奴隷同然に酷使して「アンビの塔」を急ピッチで建設させることで、酷使される人々、残された村人たちを中心に「嘆き」を収集する(ちなみに村人の話からして過去の時代はネールより前の「時の巫女」がいたようだが、彼女については詳細不明)。
万一にも憑依を解かれないよう、女王を介してハテナの実を捜索させ、それを採取・献上させる形で手中に収めようとしたが、どうもふしぎの木の実は短期間で何度でも再生することを把握していなかったらしく(ついでに言えばゴロン族の山にもハテナの木はあった)、のちにリンクと対峙するまで完全に高をくくっていた。
リンクがマカの木の力と記憶を取り戻すため、各地に封印された時空のことわりを求めラブレンヌを駆け回る間に「アンビの塔」こと「暗黒の塔」を完成させるが、アンビ女王が他行に出た隙をついて乗り込んで来たリンクに見つかってしまう。
ここまでのダンジョンの経験とハテナの実を献上させられた一件から弱点を掴んでいたリンクによってネールの体から追い出されるが、たまたま戻って来たアンビを乗っ取り暗躍を再開。
最終的に完全完成した「暗黒の塔」の頂上で簡易的な儀式を行って闇の力を増幅させ、「嘆きの炎」を点灯させるための最終段階に移行する。
それでも全ての時空のことわりを知り、マカの木の加護を受けたリンクには彼女の闇の力も及ばず、激闘の末に討滅され敗北。
だが、リンクとの戦いが始まった時点で既に彼女の使命は果たされていた。
ベラン本来の役割は、高めに高めた「嘆き」のエネルギーを「暗黒の塔」に集め、ツインローバへ送信するビーコンとなることであり、彼女はその役目を全うしていたのである。
「か 体が崩れていく……けどもう遅いよ アタシの役目は時の流れを狂わせ 人間どもを嘆きの底に沈めてしまう事……世界を覆った嘆きの心はこの塔を通して既にツインローバ様のもとへ送られてしまったんだからね!」
「アタシには見えるよ! 青く燃え盛る『嘆きの炎』がね!! ハーッハッハッハ!!」
かくしてベランは燃え上がる「嘆きの炎」の幻を見ながら、高笑いと共に消滅していった。
これを受けたリンクは、対となる「四季の大地」ホロドラムでも同じような事件が起きると考え、一度ハイラルに帰還した後、再びトライフォースの導きを受けて次なる戦いへ向かうことになる……。
ツインローバ「ヒ ヒ ヒ……リンク これで終わりと思うな」
「見よベラン! オマエのもたらした災いによって嘆きの声は満ち溢れた! その嘆きが今『嘆きの炎』となって燃え上がったぞ!」
「この炎が“闇”を照らす時 我らの願いが叶うのじゃ! ウヒャヒャヒャヒャ!」
第1形態
ネール(ラストダンジョンではアンビ女王)に憑依して襲ってくる。
陰に潜り込んで柱の近場に高速移動し、止まると攻撃弾を放ってくる。この時にハテナの実を豆鉄砲でぶつけると本体が姿を現し、この時にいれかえフックで引っ張り出す事で剣によるダメージを与える事が出来る。これを何度も繰り返そう。
第2形態
縦、横、斜めに移動しながら攻撃弾を放ったり、青い光をリンクにぶつけようともしてくる。また、攻撃を与えていく内に動きがどんどん速くなっていく。
青い光の攻撃は当たってしまうと一定時間リンクが赤ん坊になってしまい、攻撃も出来ない上に移動スピードも大幅に下がってしまう。
召喚してくるダークリンクは倒すとハートを確定で落とすので、HPがピンチの時には倒して回復しよう。
最終形態
「一人で逃げようだなんて随分と冷たいじゃないか それにしても全く大したモンだよ オマエのおかげでアタシの目論見は全て台無しさ」
「出来ればなりたくなかったよ こんな醜い姿にはね この屈辱はオマエの死で購ってもらうよ」
「さあリンク 今度はオマエが味わう番さ! 底知れぬ絶望と……死の恐怖をな!」
この形態では亀・蜂・蜘蛛の三形態を使い分けて襲って来る。
基本となる亀の姿の時にはジャンプして押し潰そうとしてくる。また、その際に周り1マスが一時的にダメージエリアになってしまうため、接近しすぎるのは危険。
しかもジャンプの距離が非常に長いため、一瞬でも足を止めると被弾してしまう。たまに着地後に動きを止め、顔を出して様子をうかがうため、そのタイミングなら剣が通る。
蜂の姿の時は防御能力がなく、普通に剣でダメージを与えられるが、動きがかなり速く、範囲も大きいので被弾しやすい。また、途中で毒針を発射してくる事もあり、これに触れると動きが遅くなってしまう。
蜘蛛の姿の時には普通に攻撃してもダメージが通らず、爆弾かダイゴロン刀の攻撃で一定時間動きを止める事によりダメージを与えられる。糸を吐いてリンクを捕らえようとしたり、大ジャンプをして押し潰そうとしてくる。
姫川版ではストーリーが殆どオリジナルのため独自設定が盛られており、それに伴い出番が大幅に増えた。
一人称が「私」に変化しており、基本的にはシリアスな悪党なのだが、ネールに憑依している間はギャグ顔になって動揺したり、リンクにバカにされて怒ったりとどこか憎めないキャラとして描かれている。ネールに憑依している時期が長いため、ギャグキャラのイメージが強い。
一方でネールの幼馴染ラルフに憑依してリンクたちの内情を探り、妨害工作を行うなど頭もよく演技力もある。
また憑依する際、その姿が他者に見えないようで目の前にいたリンクに気づかれずにインパに憑依している。
これならリンクにも簡単に憑依できそうだが、「トライフォースの邪悪な力を跳ね除ける性質」があるためかそれはしなかった。しかも致命的な弱点も存在する(後述)。
目的はゲームと同様に「嘆き」を集めることのため、ネールの立場を利用してアンビ女王に取り入るというのは変わらない。現代に起こった改変の影響も「恋人が老婆になる」「大切な銅像が無くなる」など嘆きというよりは喜劇寄り。
リンクとの初戦では「オニ、悪党、魔人」と呆れられて「よくもわたしをバカあつかいしたね!」と怒って襲い掛かってくる。使い魔の力だけでリンクを圧倒するが、時間を遡ったラルフが現れ、彼が持っていたハープの力で現代へ逃げられてしまう。
暗黒の塔の建設に反対する者たちをアンビに処刑させていたが、実は女王の護衛騎士レバン(リンクのご先祖様)が密かに助け出し、女王の目の届かないところでレジスタンスを結成していた(重税から逃れるための隠れ家でもある)。
レバンが反乱を起こした者たちと会話していたのを使い魔から聞くと、ネールの肉体から抜け出して尾行を開始(ネールの意識は眠らせておいた)。
そこへリンクとラルフが現れたので、ラルフに憑依して内情を探り、自分を倒すための手段である「ハテナの実」を焼却処分した。更に決起寸前だったレジスタンスを始末するべく、岩石のゴーレム・ゴーリガンをけしかける。ゴーリガンは倒されたものの手配していた兵士たちにレバンを捕らえさせることに成功する。
レバンを処刑すればリンクも死ぬと考えるが、民衆の暴動に乗じてリンクに阻止されてしまう。アンビ女王も改心し、暗黒の塔の建造を取りやめることを告げるが、直後にアンビ女王に憑依してリンクたちの始末を兵士に命じる。だがネールの力によってまたもや現代へ逃げられてしまった。
暗黒の塔の決戦では、一足早く乗り込んで来たラルフと対峙。塔の建造をやめろと刃を向けられるが、自分を殺せばラルフも死ぬと脅しをかける(ベランはラルフとアンビの両方に取りついたので両者の関係に気づいていた)。
しかし、始めから責任を取るつもりだったラルフには意味のない言葉だった。しかもアンビは普通の人間のため魔法が使えず、ラルフに追い詰められてしまう。死を覚悟するベランだが、そこへリンクの放ったハテナの実が命中。もがき苦しみながらアンビの身体から抜け出し、巨大な蜘蛛の怪物としての正体を現した。
塔を登りながらリンクと死闘を演じ、屋上にてリンクを捕獲することに成功。そのまま苦しめながら始末しようとするが、トライフォースの力によって自由が利かなくなってしまう。そこに勝機を見出したリンクによって顔面を貫かれるが、逆にリンクを拘束してバクダンで相討ちを狙う。
しかし駆けつけたレバンによって阻まれ、最後はリンクとレバンの同時攻撃によって敗北。肉体はバクダンによって吹っ飛ばされたが、死の間際に自らの「嘆き」をツインローバへと届け、ガノン復活に貢献した。
ちなみに「先祖と子孫の同時攻撃」というシチュエーションは、後に発売された姫川版トワイライトプリンセス11巻にてセルフオマージュされている。
ゴルゴン共々、リンクシナリオで遊んでいる場合、物語の途中で担当する炎を点灯させることに成功するイベントがある(リンクしていない場合はエンディングで点灯する)。
のだが、ゴルゴンはレベル5ダンジョンの時点で「滅びの炎」を灯したのに対し、ベランの方はラストダンジョンの攻略途中でようやく点灯させている。
指揮を司るホロドラムは「四季の神殿」をウーラ世界に沈めて地上の四季を乱すというシンプルかつ大掛かりな、かつ一手で最大の効果が見込め、挙句復興の手段が皆目見当がつかず取り返しもつかないという最高に冴えた方法だったのに対し、時空を司るラブレンヌでは人々の心の荒廃というこれまた大掛かりな、しかし時空を乱すため時間のかかる方法を取らねばならなかったという手段の違いが影響していると思われる。