概要
ゲームボーイカラー専用で発売されたゼルダの伝説。もともとは力の章、勇気の章、知恵の章の3作品構成だったが、のちに力の章が大地の章へ、知恵の章が時空の章の2作品に変更された。
それぞれ独立したストーリーとなっているが、どちらかクリアした際に表示される「あいことば(パスワード。後述。)」を入力した状態で新規にスタートすると、後半のストーリーに変化が現れ、真のラスボスが登場する。
なお、ゼルダ姫はパスワードを入力しないと登場しないため、非常に影が薄い。実は今作のゼルダは「夢を見る島」のマリンに少し手を加えたドット絵だったりする(ゼルダとマリンはそっくりという設定もあるが)。
OPは二つの作品とも共通しており、電源を入れると流れるOPデモで、トライフォースを手にしたリンクが、その試練を受けるために2つの世界に飛ばされるというもの。
夢をみる島とゲームシステムやフィールド音楽が同じ。
ちなみにどちらから始めても問題はないようになっており、「あいことば」で引き継ぐと初期ハートの個数が3→4になっていたり、プロローグで続き扱いとして一部セリフが変わる。
なお、初期ハート個数が4になるのは初代の裏ゼルダとほぼ同じ。
大地の章
ホロドラムという地を舞台に、大地の巫女ディンと出会ったリンクだったが、突如現れたゴルゴンと名乗る鎧を着た男にディンが連れ去られてしまう。彼女を助けるためにリンクは冒険に出る。
初代ゼルダの伝説のリメイク的な要素があり、「ミンナニ ハ ナイショダヨ」「ドア ノ シュウリダイ ヲ モラウゾ」といったおじいさんが居る他にダンジョンボスに初代のボスがいくつか復活している。
時空の章
ラブレンヌという地を舞台に、時空の巫女ネールと出会ったリンク。しかし、ネールはベランと名乗る闇の司祭に憑依され姿を消してしまう。彼女を追って過去のラブレンヌに行き着いたリンクが見たものは、ベランに憑依されたネールに操られ、民を苦しめる女王が統治するラブレンヌだった。
大地の章に比べると謎解き要素が強い他にテクニックを求められる場面が多い。
あと一人は?
ゼルダの伝説シリーズをプレイしているプレイヤーならピンと来るとは思うが、2作品に登場する巫女はそれぞれハイラルを創造した3柱の神のうち、力の女神ディンと知恵の女神ネールが元になっている。もう1柱は勇気の女神フロルだが、一応彼女も巫女として登場している。
が、彼女は物語に深くかかわることは少ない。
というのも、彼女は両作品に共通するマカの木と呼ばれる神木の中におり、パスワードを入力するときに会うことくらいしか出番がないのである。
もともとの3作品構成だった場合は、該当する勇気の章でヒロインを務めたのであろうが、2作品構成となってしまったためこのような扱いになってしまった。
ただし、パスワードを入力しないと真のエンディングにはたどり着けないようになっており、そういう意味では重要な役割を担っているといえる。
登場人物
- リンク
- 主人公。OPでトライフォースに触れて、その試練として2つの世界に飛ばされる。髪型が神々のトライフォースのリンクに近い。また、人物そのものとしても神トラのリンクとの関連性が窺える場面がある。(後述)左手には聖なる紋章の痣がある。
- インパ
- ゼルダ姫の乳母。ふくよかな容姿をした女性で、両作品でゼルダの命を受けてリンクのサポートを行う。なお、時空の章のプロローグではなんか様子がおかしいが…?
- メイプル
- 両作品に登場する魔法使いのキャラクター。フィールド上で登場し、リンクとぶつかるとアイテムが散乱、アイテムの争奪戦が始まる。最初は箒に乗っているが、何度か遭遇しているとそのうち掃除機やUFOに乗ってくる。稀にハートのかけらを一つばらまく事があり、彼女と遭遇して獲得する必要がある。
- ディン
- 大地の章のヒロイン。ホロドラムの四季をつかさどる大地の巫女。物語序盤、リンクとダンスを踊っていたところをゴルゴンに攫われ、クリスタル(ルピー?)の中に閉じ込められてしまう。彼女の持っていた四季ロッドは切り株の上で使用すると四季を自由に変えられることが出来、それが謎解きやアクションに重要な役割を持つことになる。
- ネール
- 時空の章のヒロイン。時空をつかさどる巫女。時間を自由に移動できる能力があり、それを狙い、インパに憑依して結界を乗り越えていたベランに憑依されてしまい姿を消す。彼女が持っていた時の竪琴は時間を現在と過去に自由に行き来できるようになる。
- ラルフ
- 時空の章に登場するキャラクター。ネールの幼馴染で、リンクとは別にネールの救出に奔走する。人一倍ネールを心配しているせいなのか、いちいちネールの名を叫びながら去っていくのが特徴。実は彼にもひとつの秘密があり・・・。
エンディング後の描写について
ネタバレを含みます。ご注意ください。
真のエンディングを見ると最後にリンクが船で出航する様子が見れる。もともと時系列的には神々のトライフォースの後という位置づけであったため、神トラのリンクと同一人物であるとすれば、同様に神トラの続編で神トラのリンクと同一人物が主人公である夢をみる島のOP(海で航海中に雷に打たれて遭難)につながるのではないかという説があり、後に任天堂公式ガイドブック『ハイラル・ヒストリア ゼルダの伝説大全』のハイラル全史において、この時系列は公式設定と発表された。
しかし、2017年3月1日発売の『ゼルダの伝説 ハイラル百科』では時系列の見直しが行われたようで、神トラ~夢島より後の時代として再設定された。
この新時系列では2作との大きな関連性はなく、リンクも別人とされている。
ちなみに、姫川明著のコミカライズ版では神々のトライフォースとは関係のない独立したストーリーとなっているため、船で出航するというエンディングは存在しない。リンクの設定も「ハイラル王家に仕える騎士の家系」であり、「騎士だった祖父から自分を超える騎士として育てられていた」とゲームにはないオリジナル設定となる。
あいことば
この作品におけるシステムで、片方をクリアすると出現する「おもいでのあいことば」をもう片方を新規で(続きとして)始める際に入力すると、ゆびわ等のあいことばイベントが発生したり真のラストダンジョンが出現したりと完結編に変わる。
注意しないといけないのが、どちらか先にクリアした方の「おもいでのあいことば」で始めたものである必要がある。でないと「あいことば」が認証されない。
また、真エンディングを迎えた際も「おもいでのあいことば」は出てくるが、例として「大地の章」→「時空の章」→真END→「大地の章」の場合に、ファイルにトライフォースマークが付く。この状態でクリアすると「おもいでのあいことば」は出現しない。
真のエピローグが二つとも少し異なる部分がある為、両方とも見たい場合は少々面倒だが「大地の章」「時空の章」をそれぞれ新規でクリアして互いに「おもいでのあいことば」を出力してそれぞれで引き継ぐ必要がある。(例:「大地の章(新規)」→「時空の章」、「時空の章(新規)」→「大地の章」)
漫画版
姫川版では「大地の章」→「時空の章」という風に続く物語として描かれている。例によって独自設定が多く、リンクとディンの触れ合いが多く描かれ、リンクが惚れたり、ベランがギャグキャラとしての面を見せたり、主要キャラクターにオリキャラとしてリンクのご先祖様レバン(画像左側)が登場したりする。
特に時空の章はオリジナル色の強いストーリーとなっており、冒険というよりは「女王を操るベランと、レジスタンスに協力したリンク」の攻防を描いている。大地の章も前半はリンクと人々の交流をメインとしているが、後半は仲間と協力してディンを救出する冒険ものとなっている。
あれこれ
オリジナル版 | バーチャルコンソール | |
---|---|---|
機種 | ゲームボーイカラー | ニンテンドー3DS |
ジャンル | アクションアドベンチャー | 同左 |
発売日 | 2001年2月27日(火) | 2013年2月27日(水) |
価格 | 各3,800円+税 | 各600円(※1) |
開発 | カプコン | |
販売元 | 任天堂 | 同左 |
※1 2月27日から3月20日までの期間限定で「今だけ1本500円、2本1,000円キャンペーン」と題して
両ソフト各500円で配信している
余談だが、この作品の発売日はある作品の発売5周年を迎えた日で、その作品が発売された1996年2月27日も火曜日だったりします。
バーチャルコンソール版
2013年からニンテンドー3DSのバーチャルコンソールで大地の章・時空の章両方のソフトが配信されている。
仕様上ゲームボーイカラー準拠のVCであるためゲームボーイアドバンスで起動した際に入れる「ショップ・アドバンス」には入れないものの、アトバンスの指輪自体は指輪の合言葉を使うことで自動的に入手可能になっており、2ソフト揃えれば(かなり面倒ではあるが)指輪コンプリートを狙うこともできる。
パスワード自体はそのまま使えるので過去に攻略していて手元にパスワードを記録したメモがあればそちらを使ってしまうのも手。
カプコンとゼルダの伝説
かつてカプコン社内では時のオカリナがスタッフの間で流行していたらしく、その完成度に舌を巻いていたという。
その後、カプコン側の岡本吉起氏(当時)から初代ゼルダの伝説のリメイクを作りたいという申し出があったようでふしぎの木の実に繋がったとも言われている。
大地の章ではダンジョンのギミックにロックマンの出現ブロック(周期的に出現と消滅を繰り返す足場ブロック)があったり、とあるボスがロックマンシリーズの「ガンマ」「アイアンゴーレム」の特徴と似ていたりする。
なお、このカプコンゼルダをデイレクションした藤林秀麿氏はその後任天堂に移籍して本家ゼルダスタッフのディレクターになっている。
関連タグ
任天堂 カプコン ゼルダの伝説
神々のトライフォース 夢をみる島
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ツインローバ ガノン