概要
『ゼルダの伝説』シリーズに登場するお馴染のキャラクターで、トライフォースの伝説を語り継ぐ存在。
作品によって老婆の姿であったり若い女性であったりと風貌に関しては一定していないものの、基本的にゼルダ姫の乳母、または護衛役であることが共通している。
また、シーカー族が登場する作品では彼らの族長であることが多い。
名前の由来は、ハイラルヒストリアなどで英語の「Impart」(知識などを与える、伝承する)からと紹介されている。実際に英語版での名前表記も「Impa」となっている。
Pixivにおいては『厄災の黙示録』発売以降こちらのインパ(通称「若インパ」)を題材とした作品が多数ヒットする。
作品ごとにおける特徴
初代ゼルダの伝説・リンクの冒険
(イラスト左側の女性。「リンクの冒険」のイラストがモチーフとなっている)
ゼルダ姫の乳母の老婆。説明書などのイラストでは、茶髪で鷲鼻でフード付きのローブを着ているなど占い師や魔術師のような見た目をしている。リンクの冒険では白髪になり、ローブを着ているがフードはない。
ハイラル地方にある小国に魔王ガノンの軍勢が攻め込み、インパもゼルダ姫も囚われの身となってしまう。
インパだけはゼルダ姫の手引きで逃げ出し、ガノンを倒せる勇者を探していた。そこへ魔物に追いつかれて窮地に陥る。その時に時に助けてくれた旅人リンクに「ゼルダ姫が知恵のトライフォースを8つに分けて隠した」「それを魔王ガノンが狙っている」ということを伝える。
続くリンクの冒険では、リンクの左手の甲にアザができたことから伝承に従い、初代ゼルダ姫の伝説と、力と知恵だけになり不完全だったトライフォースの最後の一片、勇気のトライフォースの封印を解く術をリンクへと伝えた。
インパの一族は代々王家に仕えており、初代ゼルダ姫の悲劇を得て当時の王子(初代ゼルダの兄)から「永遠の眠りについた初代ゼルダを北の塔に隠して管理する」という使命を与えられていた。
一方で密かに当時の王(王子の父親)から「勇気のトライフォースの在り処を示した巻物」の管理を任され、手の甲にアザを持つ者が現れたら見せるようにとも告げられていた。実はトライフォースを扱うには優れた人格と素質が必要であり、王の時代にはそのような人物がいなかった。そこで王はハイラル全土に魔法をかけ、資格がある者にアザが現れるようにしていた(アザを持つ者には巻物を解読できる)。
時のオカリナ
CV:瀧本富士子
ゼルダ姫の乳母。銀髪で一本に束ねた髪型をしており、紫色を基調としたタイトな鎧姿が特徴。目の下に紋様があり、胸元にはシーカー族のマークが刻まれた飾りをつけている。
統一戦争終結と同時に姿を消したシーカー族で唯一、表舞台に姿を見せるシーカー族の族長。
闇の神殿を守る闇の賢者でもあり、井戸の底に闇の魔物ボンゴボンゴを封印していた。
貧しい者達のため 元々シーカー族の村だったカカリコ村を開放しており、カカリコ村にはインパの屋敷とともに、代々シーカー族が守り続けてきた王家の墓もある。
イベントにしか登場せず、大人時代では復活したボンゴボンゴを倒すべく単身闇の神殿に乗り込み消息不明となってしまう。ボンゴボンゴがリンクに倒された後、闇の賢者として覚醒する。
時のオカリナ百科によれば、ゼルダ姫が不吉な予知夢をした時はそれが実現しないように協力していたとのこと。しかし未来を変えてしまうことになるためゼルダ姫の予言は外れ「ゼルダ姫は嘘つきだ」と周囲から白眼視される。そんな中でもインパだけはゼルダ姫を信じて仕えて来た。
なお、時系列上で未来にあたる神々のトライフォースにはカカリコ村の長老で賢者の末裔であるサハスラーラが登場するが、インパとの血縁は不明。
ふしぎの木の実
ゼルダの乳母。ふくよかな体型をしている。
王家の特命によりホロドラム、ラブレンヌの二人の巫女の警護を受け、それぞれの地方へ出向いている。ホロドラムでは旅芸人一座に加わりディンの保護を行おうとした。ラブレンヌではネールに接触しようとしていたがベランに憑依され、リンクを騙すのに利用されてしまった。
トワイライトプリンセス
この作品ではインパ自体は登場しないが、忘れられた里に一人住む老婆「インパル」が、忘れられた里はかつて王家に仕えた一族の隠れ里であったこと、自身の名前は村を作った偉い御方からとったものであると話している。
ちなみに開発初期の段階では「インパじいさん」という名前の老爺が登場する予定であった事が明かされている。
スカイウォードソード
CV:下田レイ
女神に遣わされたシーカー族の女戦士。全体が短く、一房だけ長い三つ編みに垂らした黄色の髪に、褐色の肌が特徴。額にシーカー族のマークを模した目の紋様がある。
インパと言えば銀髪・白髪のイメージがあるが、今作では初の金髪である。
地上に落ちたゼルダを救出し、共に行動している。ゼルダの身を案じ、使命を重んじるあまり、リンクに対して厳しい言葉を投げかけることもしばしば。
エンディングで意外な事実を知ることになるが……。(リンク先ネタバレ注意)
神々のトライフォース2
CV:はやみけい
老婆の姿で登場。
見た目の頑固そうなイメージと違って優しい人物であり、城を訪ねたリンクの話をしっかりと聞き、ゼルダ姫との面会を取り次いでくれる。
一方で見た目相応の威厳も持ち合わせており、ある場面では居眠りしている兵士を一喝している。
実は7人の賢者の1人であるが、ゼルダ姫を守ること叶わず他の賢者たちと同じくユガの手で絵画にされてしまい、魔王ガノンの復活に利用される。
ちなみに、プロデューサーの青沼英二は『神トラ2』で好きなキャラとして彼女の名前を挙げている。
ゼルダ無双
CV:長尾明希
ハイラル王国の親衛隊長。ゼルダ姫の護衛兼側近係。ハイラル王家を影で支えてきた一族の長でもある。
王家とゼルダ姫の為に、自己を捨てて尽くそうとする忠義心篤い人物。リンクの勇気と実力を見込み、かつて勇者が着ていたという緑衣を授け、行動を共にする。目で見たものは信じる反面、素性の知れないシークを疑ったり、リンクにマスターソードが引き抜けるのかと疑問に思うなど、目に見えないものは信じようとしない。
緑衣の少女編ではガノンとの決戦後、疲弊していた戦力でガノンの残党の魔物たちと戦うことに。勇者と姫が不在の中、駆け付けたもう一人の勇者と共に魔物の王キングドドンゴと戦い抜いた。戦闘後は勇者を名乗ったリンクルを認めている。
容姿としては、銀髪に浅黒いような肌の色で、左目付近に特徴的なタトゥーをしているのが特徴。『時のオカリナ』および『スカイウォードソード』のインパを合わせたような印象である。
ちなみに、ゼルダ姫を操作している時にインパがピンチになると、恥を忍んで助けを求めて来る。
ブレスオブザワイルド・ティアーズオブザキングダム
CV:津田匠子
100歳を超える老婆として登場。カカリコ村の長として訪ねてきたリンクにハイラル王国の歴史とこれから行くべき道を示してくれる。
親族に姉で古代文明研究者のプルア、孫娘にパーヤがいる。100年前のハイラル王国時代においては王国の執政補佐官を務めており、姉の暴走を抑えていた模様。
作中で明確な描写はないもののゼルダとはかなり親しかったらしく、ゼルダが今も独り荒廃したハイラル城の中でガノンを封印し続けている事に、100年間無力感や罪悪感でずっと心を痛めていた。それ故にパーヤはリンクが来た時に「あんなに嬉しそうな祖母をはじめて見た」と日記に感想を綴っている。
本作ではインパ以外にもシーカー族が複数登場しており、全員白っぽい髪に濃い赤茶色の瞳、やや褐色がかった肌が特徴である。
なお、夫やパーヤの親にあたる子供の存在については不明。
続編であるティアーズオブザキングダムではハイラル各地に点在する地上絵を巡っており、それに関する遺跡も巡っている。
リンクもこれに付き合うことになり地上絵を巡っていくが、どうやらこれが姿を消したゼルダの手がかりになるようで……。
前作ではほとんど座ったままだったが、今作ではかなりアグレッシブに動き回っている。忘れ去られた神殿に赴いた際は、目を話した隙にあっという間に先へ進んでしまった。「老いてますます盛んなり」とは彼女のためにあるような言葉である。
気球で各地を移動している割りには高所恐怖症であり、これは後述の厄災の黙示録から輸入された模様。
なお、ブレスオブザワイルドに登場するシーカー族は果物から名付けられているが、インパの場合「パイン」のアナグラムとなり奇跡的な合致を見せている。
厄災の黙示録
CV:藤田茜
プレイアブルキャラとして登場。ブレスオブザワイルドに登場したインパの100年前の姿である。
本編では「執政補佐官」という仕事がどのようなものか明らかになっていなかったが、リンクの騎士就任以前からのゼルダの護衛役兼、王立研究所に勤めるプルアのお目付け役のような立ち位置として描写されている。
容姿は孫娘のパーヤととてもよく似ており、さすがに血縁といったところ。
小刀を使った攻撃に加え、分身の術を使って戦う。また、攻撃の際には札が舞っており、ある組織とのルーツの共通を印象付けるものとなっている。
詳しくは若インパの項目を確認。
知恵のかりもの
ゼルダ姫の乳母である老婆。本作では戦闘シーンが描かれており、ハイラル兵士3人を瞬く間に倒した。
ちなみにゼルダ姫が本編で着ている衣装は、インパが変装用にと渡したもの。ただし、フードはリンクとガノンが戦闘した際に脱ぎ捨てたものをゼルダが拾っていた物を着けている。
家族には裂け目の研究者であるルーベリという兄がいる。
ケイデンス・オブ・ハイラル
DLCで登場。全体的に『ゼルダ無双』のインパに近い姿であり、武器も薙刀である。
コミックス版
こばやし将「ゼルダの伝説」
「あれだけの敵を見るまに片づけてしまわれた…あなたこそハイラルの運命をにぎる伝説のお人…」
魔物の群れに城を攻め落とされる中、インパだけ城の外へと逃れていた。魔物たちに追われていたところをリンクに助けられる。しかし衰弱していたため息を引き取ってしまう。
こちらは黒いローブに身を包んでおり、占い師や魔法使いの老婆を思わせる見た目をしている。
乱丸「ゼルダの伝説」
「旅のお方 あなたこそ選ばれた戦士
神よ感謝します 私の役目は はたせました」
ゼルダと共にガノンに囚われていたが、ゼルダの手引きにより敵地から脱出。魔物たちに追いつかれたところを旅人リンクに助けられ、ガノンやゼルダのことを語り、衰弱死してしまう。
この作品では、杖を持ってフードを被ったお団子ヘアの老婆として描かれている。死の間際、知恵のトライフォースの欠片の在り処を示すお守りがリンクに反応したことで“トライフォースを集めてガノンを倒す勇者”と判明。インパは役割を果たしたことに涙しながら息を引き取った。
続編「リンクの冒険」では、インパとよく似た名前の使用人「ワンパ」が登場した。ふくよかな中年女性であり、いわゆる肝っ玉おかんを地で行く人物。
ストーリーには関わって来なかったが、最終盤では黒幕が彼女に化けて登場。リンクたちが持つ勇気のトライフォースをだまし取ろうとするが、ビリーに怪しまれたため正体を現して襲い掛かって来た。
ゲームブック「新・ゼルダの伝説」
「だったらおいらも連れてってよ、役に立つよ!!」
ゲーム本編よりも大昔のハイラルを舞台としており、“リンク”の正体、“インパ”が初代ゼルダ姫に引き取られる経緯、王家がトライフォースを保管するまでを描いている。
旅人リンクは侵略者ガノスの呪いによってクリスタルに閉じ込められたゼルダ姫を救うべく冒険に出る。そんな彼にスリを働いたのが浮浪児コムだった。逃げた先で魔物に襲われていたところをリンクに助けられ、以後はアニキと呼び慕うようになる。
コムは両親をガノスに殺されていた。リンクがガノス討伐に向かっていると聞くと仲間に加わる。
ダンジョン内で暗闇を歩いた時は、リンクの手を掴もうとしたがグニュっと柔らかいモノを掴んでしまい、リンクから「なんてとこさわってんだスケベ!!」と動揺された。
終盤では2つの伝説の秘宝(見た目は力と知恵のトライフォース)を集めガノスに挑む。リンクとコムたちの勇気によって3つ目の秘宝(勇気のトライフォース)が具現化し、そこから放たれた光でガノスを焼き尽くして勝利する。
バッドエンドではリンクが死亡する場合もあるが、コムだけは闇の中に幽閉されるなど命までは奪われない。
ノーマルエンドではガノスを倒すが配下の魔物たちが健在のため、リンクと一緒に魔物討伐に向かう。
トゥルーエンドではコムが恩を感じたゼルダ姫に養女として引き取られる。そして3つの秘宝は王家で保管される運びとなった。この秘宝はゼルダ姫によって“トライフォース”と名付けられた。
コムはゼルダ姫によって可愛らしいスカート姿に着替えさせられ、実は女の子だったことが分かってリンクを驚かせた。
更に本名がコミィ=インパと判明する。
つまりこの作品における“インパ”とは姓名であり、コムこそがインパの一族の始祖と言える存在だった。
なお少女であることの伏線として、「あた……おいら」という風に一人称を言い直す描写がある。
しごと大介&みなづき由宇「リンクの冒険」
「リンクどの なにとぞハイラルを」
1巻の冒頭のみ登場。原作と同じく初代ゼルダの悲劇をリンクに伝えた。
登場人物全員がふざけているというとんでもない漫画だが、インパとガノンだけは終始まともだった。冒頭でインパと会話するリンクはまともなように見えるが、このイベントの後で豹変するので騙されないように。
ちなみにコミカライズ版でも老婆の姿で最後まで生き残っていた貴重な例である。
暗黒トライフォース伝承
「――このハイラルにまたもやおそろしい影がうごめいております」
主にプロローグやエピローグの語り部として登場。劇中では旅立つリンクに向けてゼルダ姫のネックレスを託した。このネックレスには命が込められており、もしも手放してしまうとある場面でリンクが復活出来ないためゲームオーバーとなる(今で言う妖精を閉じ込めたビンに当たる)。
ゼルダ姫がリンクを好いているのに気づいているようで、前日譚で怪我をしたリンクの手当てをするゼルダ姫を見て微笑ましく思っていた。
バッドエンドではリンクがラスボスを道連れに死亡してしまい、ゼルダ姫も呪いが解けず永遠の眠りについたままとなる。リンクが死んだという事実を知らずにいられるなら、ゼルダ姫は眠ったままの方がいいのかもしれないとインパが嘆く。
未将崎雄
ゼルダの伝説
「これも宿命…姫さま…」
ゼルダの一族に仕える若い黒髪の女性。エプロンを付けているシーンがあり、保育士や家政婦のような雰囲気を醸し出した優しい顔立ちの人物として描かれている。メディアミックスでは上記の新・ゼルダの伝説に続く若い姿である。
16代ゼルダから仕えており、彼女がガノンに殺されてからは17代ゼルダ(16代目の娘)に仕えるようになる。リンクの素性を知っており、16代目に仕える一方で密かにリンクも見守っていた。捨て子だったリンクを引き取って育てており「お母さん」と呼ばれ母のように慕われている。
17代ゼルダがガノンに拉致され、国王は「各地に散ったトライフォースとの交換」を迫られる。しかし国王はそんな時間はないとして騎士団を率いてガノンの元へ乗り込もうとする。
インパは諫めたが国王は「わしと我が騎士団は無敵だ!」と一括して聞き入れなかった。結果、デスマウンテンに乗り込むも騎士団は壊滅状態となり、国王も廃人同然の姿で生き残った騎士たちと共に逃げ帰るという事態となった。
リンクの冒険
3年後を描いた続編「リンクの冒険」でも引き続き登場。
魔界の封印が大きく弱まり、ハイラル上空に現れ始めたことから異変を察知し、王家に仕える忍者集団「ハイラル忍軍」を動かしてリンクたちのサポートを行わせた(忍者には「インパ様」と呼ばれている)。
高長歩「魔性の影」
「真の力も真の知恵もそれなくしてありえない
真の勇気だけが暗黒の力を打ち倒し…このハイラルを闇の魔力から救うのだよ…」
『ザ・レジェンドオブゼルダ パーフェクト ファン ブック』に掲載された「リンクの冒険」の読み切り。リンクの回想にのみ登場。
リンクが旅立つ際に「魔の影がさすのは、人の心に弱さがあるから」だと説いた。これはリンクの心に深く刻まれており、ダークリンクと決着を付ける際にこの戒めが精神力を高め、見事勝利している。
黒き影の伯爵
「どなたか存じませぬが、ありがとうございまする
おお……そなた様は……」
ゼルダ姫の乳母だが、時のオカリナのような若い姿ではなく杖を突いて歩く老婆。
ガノン率いる<夜のものども>によってアッサム城が戦場となる中、国王を殺して化けたガノンが現れ、ゼルダ姫を騙して力と知恵のトライフォースをいただこうとする。
インパは即座に見破り、動いた老兵ジュゼッペが知恵のトライフォースだけ奪い返す。直後、ガノンの怒りを買ったインパは焼き殺されそうになるが、庇ったジュゼッペが命を落としてしまう。
インパはゼルダ姫に命じられ、知恵のトライフォースを持って隠し通路から逃げ去った。
時間稼ぎのために残ったゼルダ姫はガノンに囚われ、力のトライフォースも奪われてしまった。
その後、知恵のトライフォースを4つに分割し、兵士たちに命じて各地の迷宮に各省に託した。
インパ自身はモリブリンたちに追われていたところをリンクに助けられ、ホビット族の村で保護される。これによりリンクたちは、アッサム王家が崩壊したことを知る。
終盤では村はガノンの軍勢によって焼き払われ、長老も殺害される。インパは村医者の娘マイアと共に脱出した。
リンクの仲間である漁師グレッグと出会い、最後の知恵のトライフォースの欠片を発見する。
最後の欠片は迷宮にはなく、使命から逃げ出した兵士ラウルが所持していた。化け物だらけの迷宮に行く気にはなれず売り飛ばしてしまうつもりだったが、そんな悪人になることは出来ず酒に溺れる日々を過ごしていた。
ラウルは泣きながらインパに謝罪して来たが、インパは欠片を守っていたことは事実だとして咎めるようなことはせず笑って許したのだった。
そして最後の欠片はグレッグによって、ラストバトル中のリンクに届けられることとなる。
姫川明
時のオカリナ
「私はゼルダ様をお守りする者…。おまえのことは きのう城下町でずっと見させてもらった」
厳かだが柔和な雰囲気も持った女性として登場。戦闘シーンでは短剣を投擲したり、長剣を振るう姿が描かれている。
上巻では普通の女の子に化けて城を抜け出したゼルダ姫を密かに見守っていた。またゼルダ姫を守るためにゲルド族の刺客と戦ったリンクには最初から好意的だった。
ハイラル城が陥落しゼルダ姫と共に姿をくらました後は、カカリコ村を拠点にしていた。
当初は大人リンクを人に化けた魔物と見て襲い掛かるが、マスターソードを持っていることに気づくと村へと迎え入れた。ガノンドロフへの怒りからロクな食料も持たず冒険に出たリンクを叱咤する。
その後、リンクから修行を申し込まれた時は師として手合わせを行った。リンクが歯が立たないほどの実力を見せ、一瞬で高所まで昇る歩行術で翻弄する。
直後、井戸から現れたダークリンクとの戦いではリンクにアドバイスを送り、見事勝利に導いた(こちらが人の姿に化ける魔物だった)。
その後、成人の証としてリンクの耳にリングを装飾した(本来はシーカー族の儀式だがリンクが希望したため執り行った)。
ゼルダ姫の居場所は知っているが「今はまだ言えない」として口を開くことはなかった。
なお、リンクが最終決戦に向かう頃にはいつの間にか闇の賢者として覚醒していた。このためボンゴボンゴとの戦いはなく、代わりにダークリンクがその役を担った(井戸から登場するというシチュがボンゴボンゴと同じ)。
なお、この作品に登場するシークは「インパがゼルダに催眠術を掛けて生み出した別人格(これが「今はまだ言えない」理由)」「表向きはガノンドロフに仕えている」という独自設定がある。
シークには「シーカー族は遠い昔に王家から一度だけ裏切りを受けたことがある」「自分は王家の崩壊を知ってハイラルに戻って来た」という偽りの記憶が埋め込まれており、これによりガノンドロフの配下として最も安全な場所に身を隠すことができた。
このため当初はガノンドロフの手下としてリンクを罠に掛けたことがある(別人に化けて嘘の情報で誘き出した)。
ちなみに、こどもリンク時代にリンクから『おばさん』呼ばわりされてキレかけると言うコミカルなシーンがある。
ふしぎの木の実
「あきれたね! 賭け試合をするなんて。それがゼルダ姫の命を守る騎士のすることかい!?」
ゲームより登場が増えているものの、原典と同じくストーリーには殆ど絡んで来ない。
大地の章ではディンを保護するためにホロドラムを訪れ、素性を隠して旅芸人一座に入り込んでいた。
時空の章では賭け試合に参加したリンクを見咎め、商品の牛を両手で持ち上げて激怒していた。しかし牛は実家の祖母に送るために手に入れたものと知ると、家族思いだと見直している。直後にベランに憑依されてしまい、原作通りの展開となる。
小ネタ
- 時代や年代が異なりながら毎回のように勇者リンクが現れては魔王ガノンから封印の力を持つゼルダ姫を救うというお決まりのパターンについては、大体の作品で「生まれ変わり」「(王家の)子孫」など、ある程度納得いく形で理由付けされているが、インパについては特に作中で理由付けをされていない。
- 『時のオカリナ』では村を開放してもらったカカリコ村の人々からは感謝を込めて「インパ様」と呼ばれ親しまれているが、王国の兵士からは「インパ」と呼び捨てにされている。一部の作品で「シーカー族は『王家の下僕』である」とインパ自身も語っており、臣下ではなくあえて聞こえの悪い下僕という表現を用いる理由は王国内における彼女の複雑な立場に起因するのかもしれない。
- 当時発売されていた「時のオカリナ百科」では『代々王家に仕えているシーカー族の末裔』と語られている。