概要
赤いスーツにちょんまげ、仮面といういでたちの戦闘集団であり、今作における悪役のひとつでもある。
名前や服装から「忍者」をモチーフにしていると思われる。組織名の由来は「伊賀」から。
物語的な立ち位置も含め、どことなく「特撮における悪の組織」風。
総長であるコーガ様はコミカルな描写が目立つが、組織を裏切る者には容赦せず、見せしめとしてその伴侶を殺害している。また人の良心につけ込むような狡猾さを持っている。
(ただしコーガ様がやらせたという説明はなく、構成員の先走りの可能性もある)。
実は1万年前の古代シーカー族から分派した者たちの末裔で、ハイラル王国を敵視し厄災ガノンを崇拝している。
カカリコ村を訪れたあたりから敵キャラクターとして登場。メインストーリーを順当に進めていれば比較的序盤から現れる。
各地の街道でハイリア人の旅人に扮しており、話しかけると正体を現して襲い掛かってくる。
一般の旅人との違いは、(特に夜間に)敵が多く出たり、施設などが近くになかったりするようなところを1人で歩いている・近くを通った時に出る吹き出しにある程度パターンがある・どんなモブでも基本的に名前が表示される本作において、「旅人」という名前が表示されるという特徴がある。
ちなみに、女性の旅人であっても正体を表すと男性(ゲーム上の都合はさておき、単に男女で同じ衣装を身に纏っているだけ可能性もあるが)の団員になることや、『厄災の黙示録』ではコーガ様がある女性キャラクターに変装する場面が存在することから、変装術に非常に長けていることがわかる。
素早い攻撃とそこそこの攻撃力を持つため、ジャストガードや回避に慣れておらず、武器防具も不十分な序盤では即死になることも多い強敵となる。
が、進めていくうちに武装して喧嘩を吹っかけてきてはボコられて武器とバナナ(とルピー)を落とすだけのチンピラになってしまう。
また、どのような技術かは不明だが、瞬間移動など忍術のような技を使ってくる。
ストーリー上の直接の絡みについては後述する。
ルーツ
1万年前、古代シーカー族は厄災ガノン復活に備えて4体の神獣と大量のガーディアンを作り出し、無事にガノンを封印した。
しかし、その高い技術力が自国に牙を剥くことを危惧したハイラル王家から追放されてしまう。
その後、高度な技術を捨ててカカリコ村のように質素且つ平穏に暮らすシーカー族も居れば、自分たちを追いやったハイラル王家に恨みを持ち、ガノンを信仰するようになったシーカー族も現れた。
その一つがイーガ団の始祖である。彼らはシーカー族のシンボルである目の紋様を上下逆さにしている。
イーガ団のアジトはカカリコ村、つまりシーカー族の隠れ里と類似した装飾などが用いられており、関連を否が応でも感じさせるものとなっている。
団員
末端員
三日月型の首刈り刀、中盤以降は円形の鬼円刃、矢を連続発射するニ連弓を装備する細身の忍者タイプ。
瞬間移動や急降下攻撃、ダッシュ切り付け攻撃、空中で回転してから矢を放つなどかなり身軽。
旅人に扮しているのは全てこれ。見分け方は先述の通りで、リンクに好意的な反応(笑いかけたり手を振ったり)を示すことも多く、うっかり話しかけるとどうやっても戦闘になるので注意が必要。目の前でセーブとロードを行うと服装も変わるため、そちらでも判別可能。
ちなみに一部の構成員はバナナを99ルピーで売りつけてくるが、カラカラバザールでは20ルピーで買えることから完全にぼったくりである。
幹部
振ると真空波を飛ばす「風切り刀」を持った侍タイプ。
こちらも瞬間移動の術を使用してくるほか、土遁のような突き上げの術を使う。上昇気流が発生するのでパラセールで舞い上がることが可能。
末端員とは真逆のパワータイプであり、動きは鈍いが火力と体力が非常に高い。
最初はアジト内とカカリコ村のほこらチャレンジでしか出会えないが、アジト攻略後はフィールドにも出てくる。
余談
幹部と末端員は、倒すと所持していた武器とバナナ(ツルギバナナ)を落とす。
末端員は金額ランダムで少量のルピー(フィールド出現タイプと変装タイプでは後者の方が落とす金額が大きい)、幹部はこれに加え、非常に低確率で宝石を落とす。
まれに複数人がほぼ同時に出現することもあるが、ひたすら走って逃げ切ることも可能。
村などには入ってこないため、近くに村があり、体力や武器が不安なら逃げ込むのもいい手である。
なお、倒した後は魔物のように黒い塊になって消えるわけではなく、その場に座り込んでワープするという演出がなされる。
総長(コーガ様)
イーガ団の長を務めている男。巨大な鉄球を操り闘う。詳しくはコーガ様を参照。
アジト
ゲルド砂漠にほど近いカルサー谷の奥地にアジトを構えている。
ストーリー中、神獣ヴァ・ナボリスを鎮めるために必要不可欠な、ゲルド族に代々受け継がれる雷鳴の兜がイーガ団に盗まれたため、アジトに潜入して取り返すというイベントが発生する。
入り口周辺に末端員がおり、彼らを倒してアジト内部に潜入できる。アジト内には幹部がおり、周囲を巡視している。
幹部に見つかると通路が塞がれ、複数の末端員が出現し、周辺の幹部も集まってくる。
ちなみに内部はセーブ不可。入り口でセーブできるが、入り口に戻ると倒したイーガ団が復活するのでチマチマ倒すようなことはできない。
このエリアの幹部は通常より体力が高く、風斬り刀の斬撃を食らうとどんなに防御力が高くても問答無用で一撃死な上にミファーの祈りも妖精の復活も発動しないと言う鬼畜仕様。ただしこちらも「ふいうち」で攻撃力関係なくワンパンできる。
要はスニーキングミッションなのだが、実力と装備次第では全て殲滅して強行突破することも一応可能。しかし警備はそこまで厳重でもないので、素直に隠密行動をとる方がイージーである。
基本的な攻略法としては、(忍びシリーズ一式か忍び料理で足音を消し、)巡回ルートの途中にバナナを置いて気を引き、その隙に移動(ないし不意打ち)するというやり方となる。アジト内には大量のバナナが保管されているため、バナナの数は気にする必要はない。
アジト攻略後は旅人以外にも、末端員と幹部が仇討ちという名目で脈絡なくフィールドに出てくるようになる。(一部構成員は「バナ…ボスの仇!」と言って斬りかかってくるので、バナナを盗んだこともバレている可能性が高い)
「ハハハ!」(幹部は「ホッホッ」)という笑い声と、赤い札が舞うエフェクトが出現合図となっている。
本編の100年前にもゲルド砂漠に潜んでいたようで、末端員がゼルダを襲おうとするが、リンクが撃退するというエピソードが存在する。
所持武器
末端構成員
- 首刈り刀
引っ掛ける、すれ違いざまに刈り取ることを主眼に置いた、三日月型の刀身が特徴的な短剣。
攻撃力は16と序盤から手に入る武器としては高めだが、元々は一撃離脱を主眼としたものであり、刀身が細いので耐久力はいまいち。
- 鬼円刃
中盤以降はこれを主に所持している。
威力は40と通常武器の中では非常に高いがこれも耐久力は低い。
但し威力そのものは王家の剣より高いので、緊急用の武器としては使えないこともない。
なぜか鉱床に対する特効を持っている。
- 二連弓
小型の弓を一つに繋げた形をしており、獲物を確実に仕留められるよう一度に2本の矢を射ることができる特殊な弓。
威力は木の矢では14×2、木製なので耐久力は若干低めで、燃えるためデスマウンテン周囲などでは使えない。
二発放つが矢の消費は一本分で、直進性がかなり高いため狙撃にも使える他、古代矢を用いればガーディアン相手には心強い弓である。
アジト攻略後はちょくちょく末端員が襲ってくるため入手機会が多く、中盤以降での連射弓の中での使用率はリーバルの「オオワシの弓」と同じく高いというプレイヤーは多いだろう。
幹部
- 風斬り刀
両手剣扱いのため盾との併用は出来ない。
攻撃力は40だが、振ると真空刃を飛ばすこともできる(攻撃10)。
性能的には剣ビームを飛ばせるマスターソードの両手剣版量産品。耐久力は相変わらず。
溜め攻撃はハンマー投げスタイルではなく、居合い切りの要領で前方に斬撃を飛ばすもの。
近距離と遠距離を同時にこなせるが、敵から離れたところで振るだけでで真空刃を飛ばして耐久値を消費するため、あまり使われることが無い。
ちなみに前方に投げると風に乗って少し浮いたような独特な軌道を描く。
余談
団員一同バナナ(ツルギバナナ)が好物らしく、倒した際にドロップするほか、アジト内の至る所にバナナが保管されている。本作におけるツルギバナナは調理すると筋力増強の効果が出るため、効率を重視し、コンパクトな栄養源として好まれているのかもしれない。
瞬間移動やコーガ様が鉄球を操る際には赤い札が舞うエフェクトが起こるが、一回の使用で結構な枚数の札を消費していることがわかる。本作でのシーカー族の術は「魔法」ではなく「極めて発達した科学技術」であることが作中で明示されているため、イーガ団の忍術もシーカー族の特殊な技術に由来すると推測される。
先述の通り、アジト攻略後は基本的にどこにでも湧くが、火山地帯の過酷な環境下では体や武器が燃えてしまうためか出現せず、雪原地帯は変装した団員や簡易拠点にバナナを置いて罠を張るという手法を使い、極少数部隊の派遣に留まっている。ハイリア城内にも現れない。ただし、迷いの森など一部のマップは内部まで追いかけてくる。
基本的に街や村、馬宿の近辺には現れないが、そばの街道に現れることはある。
シーカー族は銀(白)の髪が特徴だが、イーガ団のちょんまげは黒髪になっている。仮面とスーツで顔を隠していること、変装が得意であることなどから地毛ではない可能性もある。
インパを訪ねてカカリコ村を訪れた後から、旅人に扮したイーガ団が現れるのだが、とあるほこらチャレンジで実はカカリコ村にイーガ団の内通者がおり、その内通者を通じてリンクの顔がイーガ団に知られた為に現れるようになったという経緯が明かされる。
つまりカカリコ村に行かなければリンクの顔は知られないため、村を一度も訪問しなければアジトに行くまで道中でイーガ団は現れない……という隠れた仕様がある。ストーリー上で行くように指示されるので、初見で回避できたプレイヤーはいないだろうが。
DLCの追加ストーリー「ウルボザの詩」では、総長が倒されたことで組織が崩壊したことが語られている(世間的には旅の剣士によって壊滅させられたと伝えられている)。ただし残党がアジトに集結している。
『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』ではMiiファイターの衣装に登場。見た目を戦闘員風にできる。ゼルダ姫の勝ち抜き乱闘にてトライフォースを狙う者たちの一派として、この衣装を着たMiiファイターたちが戦いを挑んで来る。
厄災の黙示録
「イーガ団総長! コーガ様がっ!」
「全員まとめて!」
「消してぇやぁるうぅっ!」
イーガ団を率いてコーガ様が登場。側近の新キャラ「スッパ」と協力者「アストル」も登場する。
厄災ガノンの復活を目論んでおり、ストーリーの至るところでリンクたちと激突する。このためブレスオブザワイルドよりも深く長くストーリーに絡んでくることとなった。
また、今作で「コーガ」の名称が襲名制である可能性が示唆されている。
ちなみに、本編で使われていた瞬間移動の術が、人間だけでなく物の移動にも用いられていることが確認されている。
本編でバナナが好きな様子が描写されていたが、「イーガ団は食いしん坊」と明確に言及されている。
コーガ様の出番が増えたことでブレワイよりもコミカルな悪役として描かれているのが特徴。
ストーリーに関するネタバレはコーガ様の項目を参照。
ティアーズオブザキングダム
引き続き登場。更にイーガ団の衣装は手作りであることが判明した(デザイナーを拉致して無理やり作らせていた)。
ブレワイの頃はゲルド族くらいにしか存在が知られていなかったが、現在では「ハイラルの破壊を目論む暗殺集団」として世間に知られている。
実際はそんな生易しいものではなく、偉大なお方が望む世界の終焉という実現に向けて動いている。
旅人や無機物に化けて街道を行く人たちを襲うことでも知られており『悪の組織』としての側面が強くなっている。
狭い地域であるが各地を支配して支部を築いており、ブレワイよりも幅広く活動している。すべての支部を攻略するとイーガ団の衣装が入手できる。
前作で大穴に落ち行方不明になっていた総長のコーガ様だったが、穴の先に広がっていた地下世界で生存しており、そこで発見されたゾナウ文明の遺産を利用し「イーガ団の地下進出」という計画を着々と進めている。
ティアキンのストーリー開始の数年前から地下で活動していたようで、ゾウナウギアや地下世界の理解度に関してはハイラル王国を大きく引き離している。
特にゾナウギアに関する技術力は相当なもので、1万年前の古代シーカー文明の様に、アッと言わせるような設計の車両を量産し団員達が乗り回している。これらの設計図も残されており、条件を満たせばプレイヤーも利用できる。
組織力も前作より強化されており、役割分担によって地下への補給や車両の整備を効率的に行ったり、新たにもたらされた情報を集約し素早く組織全体に伝達したりと非常に高度である。
地下だけでなく地上でも暗躍しており、リンクをおびき出すために新聞社に「ゼルダを誘拐した」という声明文を送ったり、喋るコッコがいると噂を流したりして勇者の命を狙ってくる。他にもロベリーが不在のアッカレ古代研究所を占拠したりした。
前作同様に団員達は普通に街道を歩いている旅人にも扮しており、話しかけると正体を現して戦闘となる。しかも木などにも化けたり、バナナを設置して罠を作ったりと作戦も進化している。怪しい旅人や物体には注意しよう。
メインストーリーでは特に絡んで来ず、エピソードチャレンジなどでリンクの命を狙って来る。
リンクの容姿を知らない構成員もいれば一目見ただけで判別できる構成員もいる。
更なる余談
ティアキンではイーガ団の衣装が実装されており、これを着ていると仲間と思って襲い掛かって来ない。ただしコーガ様と、檻の中に閉じ込められた偽ゼルダは騙せない。
始まりの台地にいる偽ゼルダは、普通に声をかけると戦闘になるが、イーガ団に化けると「そんな格好で近づいたら私がイーガ団だってバレるじゃない!」と女口調で怒られる。
ちなみに神々のトライフォースに登場するコイツも賢者の娘に化けていた側。ただしこちらはリンクを騙すだけで基本的には襲い掛かって来ない。
4コママンガ版では女装ネタが見られ、正体を明かしたのに口調が女のまま戻らなかった(リンク先参照)。
乱丸著『リンクの冒険』2巻には、ゼルダ姫に化けた魔物が登場する。ダンジョン内でリンクを騙して背後から襲い掛かって来たが、正体を見抜かれていたため返り討ちに遭う。
ちなみにこの作品のゼルダ姫は、変身魔法の使い手という独自設定がある。
未将崎雄著『リンクの冒険』には、ハイラル王家に仕える忍者集団「ハイラル忍軍」が登場している。見た目も戦闘スタイルも忍者そのもの。
姫川明著『時のオカリナ』に登場するシークは、独自設定としてガノンドロフに仕えている。別人に化けてリンクを騙し罠に掛けたりした。
また「シーカー族は遠い昔、一度だけハイラル王家から裏切られたことがある。その時に一族の紋章に一粒の涙が描き加えられた」という独自設定も存在する。