「これこそが、存るべき未来の姿……」
「変える事など、許されぬ……」
CV:不明
概要
厄災ガノンの信奉者。占い師。『ゼルダ無双 厄災の黙示録』における黒幕である。
イーガ団と手を組み厄災ガノンを復活させようと暗躍する。謎の黒いガーディアンを通して未来を知り、それが変えられることのないように行動する。
一方でコーガ様たちに対して「元よりお前達には期待などしておらぬ」「大望のためにはお前たちが必要」と言い放つなど含みのある言動を取る。
常に黒いローブを身にまとっており、顔色は悪く痩せこけている。ブレスオブザワイルド本編におけるハイリア人とは異なり、黒髪に金色の目が特徴。
活躍
魔物の群れによって迷いの森を占拠することで退魔の剣士の誕生を遅らせていた。
そして第3章「コログの森解放戦」にてリンクとゼルダを待ち構え、英傑たちの分身を生み出してリンクを打ちのめす。そして厄災封印の要たるゼルダを始末しようとするが、リンクがマスターソードを引き抜いたことで形勢逆転される。
アストルの知る未来は断片的なものに過ぎず、リンクが退魔の騎士とは知らなかったのだ。そのことに気づくも時既に遅く、リンクによって撃退された。
以降はしばらくリンクたちの前に姿は見せず、イーガ団のもとで暗躍する。アストルは「イーガ団の勝利」を予言するが、結果は惨敗。ウルボザ駆るヴァ・ナボリスでアジトに乗り込まれ、応戦に出たコーガとスッパも命からがら逃げ出すという結末となった。
悠々と二人の前に現れたアストルは、当然のことながらスッパに胸倉を掴まれて難詰される。しかし「私と手を切ることは厄災ガノンを敵に回す」と脅しつけて黙らせる。
その後、目論見通り厄災ガノンを本来の歴史より早い段階で復活させることに成功。
イーガ団は先の戦いで戦力が弱まっていたため、厄災ガノンを強化するべく生贄に捧げた。これにはコーガ様もスッパも看過できず反旗を翻され、一戦交えることとなる。
DLC第二弾「追憶の守護者」では、先の戦いでイーガ団が敗北したため戦力としての利用価値が薄れたので、厄災ガノンの力を引き上げるために生贄に捧げたことが語られている。
しかし、運命はすでに変わっていた。同じ未来からガノンの手の内を知る未来のテラコの手引を受けたリンクと英傑たちは生き残り、なおも大厄災に抗っていたのである。アストルはハテノ砦の戦いにてカースガノンたちを復活させリンクを追い詰めるが、その危機において、本来はまだ沈黙していたゼルダの霊力がついに覚醒。カースガノンたちを打ち破られ、再び墓穴を掘る結果を招いてしまったアストルは逃げ帰ることに。
結末
「私が貴様らを消す!」
「……それが、運命(さだめ)だ!!」
最後の戦いでは上記の台詞を言い放つと、カースガノンや憑依ガノンをけしかけてハイラル連合軍と死闘を演じる。しかしリンクとゼルダの前に膝を突き、ガノンに選ばれた自分が負けるはずがないと取り乱してしまう。ガノンの怨念が憑依していた黒いガーディアンに二人の始末を命じるが、直後、吸収されて身体を乗っ取られるという末路を辿った。皮肉にもイーガ団に対する行いが自身に帰って来た結果となった。
元々は小さな村の占い師であり、ガノンの怨念を宿した過去のテラコ(憑依ガノン)と接触したことで「自分は厄災ガノンに選ばれた」と思い込むようになったらしい。最後の戦いでは憑依ガノンに指図していたことから「自分がガノンを従えている」とまで思い込んでいた節がある。
過去作で言えば『トワイライトプリンセス』のザントに近いタイプのキャラといえ、借り物の力を振りかざし、自分は選ばれた存在とうそぶき、挙句の果てに用済みの駒として処分されるというゼルダシリーズでも珍しい救いようのない「悪」であった。
その後
「おのれ…おのれっ!」
「貴様らの運命(さだめ)…ここで断ってくれる!」
エンディング後にプレイできるバトルチャレンジにも何度か敵として登場しており、「再びハイラル城に現れた」という記述からして何かしらの理由で復活したようである。もう一つのラストバトルを描いた「決戦!ハテノ砦」では圧倒的な手勢を率いてリンクたちを襲撃。「これこそが、あの日見た光景…!」と狂喜するが、ハイラル連合軍の前に次第に追い詰められ、一度撤退するも敗北した。
「この私が…厄災ガノンに選ばれし私が…」
「こんなところで負ける筈がないっ…!!」
借り物の力ではどうやってもリンクたちには勝てないのは当然の帰結だったが、彼は最後までそのことに気づけなかった。
更にその後
DLC第一弾で追加されたバトルチャレンジ「Exハイラル征服戦」では味方として登場(操作はできない)。このバトルではコーガ様か厄災ガノンを操作してリンクたちを倒すというif展開となっている。最初はリンクを含めた英傑たちとインパを倒し、続けてハイラル王を倒し、最後にゼルダとテラコを撃破すればクリアとなる。その際に「これこそが私の望んだ世界」と狂喜するので、言葉通りに受け取ればハイラルを滅ぼすという目的はアストルの願いだったようである。
ちなみに救援に駆け付けると「貴様の手を借りずとも切り抜けられる」とツンとした態度(強がり)を見せる。意外にも厄災ガノンに対してもこの言動を取る。
DLC第二弾ではゼルダ姫が覚醒した後、始末するべく襲い掛かって来るサイドストーリーが描かれた。ゼルダを操作してアストルを撃破することが達成条件のため必然的に一騎討ちとなる。敗れた後は悔やみながらも撤退した。
借り物の力とはいえアストル1人でコーガ様やスッパを圧倒していたことを考えると、覚醒したゼルダの力がどれだけ凄まじいものかよくわかる。
過去
ある占い師の集団は、ハイラルの滅亡を口にして厄災ガノンを信奉していた。そこへガノンの怨念を宿した黒いガーディアンが現れ、未来の一端を見せる。
それは厄災ガノンの力の一端でもあり、占い師たちはすっかり見惚れてしまう。
直後、黒いガーディアンから発した怨念が占い師たちの肉体に入り込み次々と命を奪っていく。誰もが命惜しさに逃げ惑う中、ただ一人だけ恍惚とした表情で破滅の未来(映像)に見惚れる男がいた。
飛び交う怨念を前に一人生き残った男は厄災ガノンの力を得、占い師たちの屍には見向きもせず黒いガーディアンを連れてその場を後にする。そしてガーディアンの導きによりイーガ団と接触するのだった。
これが厄災の信奉者アストルの誕生である。
前述のようにアストルはハイラルの滅亡を望んでいた節があり、厄災ガノンの信者たちの中でも狂信者的な立ち位置だったのだろう。彼が怨念の力を得たのも、厄災ガノンと共鳴するものがあったからだろうか?
余談
前々よりブレスオブザワイルドの考察の1つとして「100年前に厄災復活の予言をした王国の占い師は実は厄災側の人物であり、神獣やガーディアンを予め発掘・整備させておくことで、厄災復活時に円滑に乗っ取れるよう仕組んだのではないか」というものがあった。
そのため、本作のPVでアストルが初登場した際、いかにもな装いからその占い師ではないかという予想を立てる人も多かった。
ゲーム内でも中盤で占い師と呼ばれるので、予想が的中したと思ったプレイヤーもいただろう。
しかし実際にはアストルは占い師ではあるものの国に仕えていたわけではなく、ガノン信奉者になった時期も厄災復活の予言よりずっと後だったため、予言の占い師とは無関係であった。
予言の占い師は本作中には登場せず、上記の考察の真相は未だ闇の中である。
なお、「小さな村の出身」「小さなガーディアンと行動を共にする」「超越存在から力を授かる」という部分はリンクやゼルダと共通する。
出身地やガノンの信奉者となる前の経歴は明示されておらず、プレイヤーの間でも様々な説が唱えられている(有名なものとしてはアデヤ村出身説など。ただし、そもそも地図にすら名前がないほどの小さな村や、ハイラル王国外出身の可能性もある)。
『ティアーズオブザキングダム』ではこの人物がたびたび「世界の終焉」を口にしており、アストルの役回りにも通じる言動を取る。
アストルと出会った歴史では改心したのに、出会わなかった歴史ではアストルのようになってしまうという、どこか皮肉な道程である。
名前の由来はおそらくギリシャ語やフランス語で星・天体を意味する「Astre」から。占い用の道具として天球儀のようなものを持ち歩いており、星占いをしていると考えられる。