概要
2012年7月3日ごろ、「真夏の夜の淫夢」タグが付く、淫夢界隈では名作とされている音MAD動画を中心に、突如として大量削除される事態が起こった。
消される動画はジャンル・再生数(主に数千から数万、中には10万以上のものも)を問わず
- 可愛いキャラクターから突然淫夢動画に切り替わる一転攻勢系の音MAD
- 最初から最後までホモしか出ない純粋ホモ系音MAD
- 淫夢本編
など、淫夢タグの付く動画が削除されている。
ユーザー達があの手この手で再UPをするも、ことごとく運営によって削除を受けてしまっている。
早いものでは10分と経たないうちに消されてしまうものもあった。
UPしては消され、UPしては消されと、完全に運営とユーザーとのイタチゴッコ状態である。
なお、「ホモコースト」の語源は第二次世界大戦中にドイツがユダヤ人等に対して組織的に虐殺を行った「ホロコースト」をもじったものである。
経緯
何故このようなことが起きているのかを簡単であるが、以下に示す。
ニコファーレ体験デー事件
2011年7月18日、運営が「ニコファーレ」という施設を建設。
ニコニコ動画の動画をみんなで大画面で視聴できるという施設だったが、鯖強化、タグ荒らしなどの荒らし対策の要望が多い中、プレミアム会員による会費等から得た収入を投じて建設されたこの施設は、ユーザー達からすれば望まない無駄なものだった。
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早速例のアレ・なんJによる荒らしが始まり、2011年10月1日の「第1回ニコファーレ体験デー」のイベント中に、「真夏の夜の淫夢」タグの動画などが大画面で再生される。
それに便上するかのように10月29,30日の第2回体験デーでは、ニコファーレを設立した運営への報復と言わんばかりに、淫夢動画ばかり再生されることになり、「ホモ動画上映イベント」と揶揄されるようになってしまった。
30日の観客動員数は空席が目立つほど激減し、当然、運営からすればイベントは大失敗に終わってしまった。
ニコファーレ記録動画削除
そんな、運営の黒歴史とも取れる、イベント時の生放送を記録した動画が、イベント後にアップロードされる。
この動画は後にアップロード者によって削除されたが、イベントからおよそ7か月後の2012年6月29日、削除されたはずの第2回ニコファーレの様子を記録した動画が、その1~その7に分割して再アップロードされる。
しかし、何故かその1、その6を残して削除。淫夢厨側には、運営の恥部・黒歴史の隠ぺいではないか?と疑われた。
淫夢MAD一斉削除
それに続くように、第2回ニコファーレで再生された、淫夢タグの付く音MADが、突如として一斉に管理者削除される。
削除された動画はアップロードされてからかなりの日数が経っており、性的な内容が含まれる等の規約違反によって管理者削除を受けるには遅すぎるものばかりであった。
このような、私怨とも取れる運営の対処に納得出来ないユーザーは、削除された動画を再アップロードするも、運営に短時間で削除されてしまう。
再アップしては消され再アップしては消されの小競り合いが続く。
運営が「霊夢 so クッキー☆」「タドコロスイッチ」など、再生数・コメント数・宣伝ポイントの高い動画をピンポイントで削除するようになる。
レスリングシリーズとばっちり削除
兄貴誕生祭を始めとしたレスリングシリーズ動画も何故か大量削除される。淫夢の弾圧を少しでも中立な削除だとアピールするための見せしめの削除とも言われている。
淫夢にレスリングも加わり、運営との戊辰戦争は危険な領域へ突入する・・・。
これが 騒動の経緯である。
過去の大量削除との違い
「ニコニコ動画」の歴史においては、陰部・性器などが動画に映りこんでいたことを事由として動画が削除されることが頻繁にあった。特に黎明期には、18禁アニメが丸上げされるだけでなく何時間も存命したすえ総合ランキング入りすることもしばしばで、愉快犯のアップロードと運営の削除のいたちごっこがあった時代もあった。
これらはどこをどう見ても申し開き不可能というか、アップロード者も視聴者も削除されることを前提で楽しんでいた。「シコシコ動画」などと呼ばれたこともある。
また、過去の大量削除事件として、2007年頃起きたらきすた削除戦争や、エア本大量増殖事件、デスノート、ひぐらしのなく頃にMAD大量削除などが挙げられる。
これらは(エア本はともかく)権利者側が大々的に動き、アップロードと削除のいたちごっこが始まった事案である。「シコシコ動画」削除と異なるのは、これが権利者側(なりすましも含む)により権利者側の削除として明記された形で動画が削除されていたことである。
今回、『真夏の夜の淫夢』関係動画が大量削除されている理由は、上述の規約違反・著作権者削除とは異なる。アダルトビデオを素材としているとはいえ、性器はおろか肌がほとんど露出していない動画や、男性の喘ぎ声を加工して、それと分からないように使用している音MADまで管理者削除の対象となることはニコニコ動画の歴史にはなかった。
加えて、前述のように削除対象がいったい何なのか一切明記されていないことも含め、「私怨」、または感情的な削除という不信感をユーザーに与えている 。
なぜ運営の私怨ととれるのか?
先ほど上記に
性的な内容が含まれる等の規約違反によって管理者削除を受けるには遅すぎるものばかりであった。
と記した。
とは言ったものの、やってることは確かにホモ○ックス、性行為である。この内容は確かに規約違反に入るので消されてもしようがないが、問題はそれが「淫夢タグが付く動画を集中的に削除している」 と言う点である。
一部のMMD動画では布越しで性器の形が見て分かるほどの性的な内容を含む動画や、淫夢本編の動きをコピーしたMMD動画は削除されずに残っている。
他にも、「紳士の社交場」タグ、ニコ生なども淫夢より過激と言っても過言ではないほど規約に反する動画は削除されずにたくさん残っている。
それに対し、淫夢タグが付く動画に関しては、本編(編集で性器は隠している)はもちろんのこと、本編映像を用いたMAD動画ですら削除されるという、管理者にしては中立性を欠いた行為が目立っている。
当初は運営が優秀なスクリプトを開発して削除されているように思われたが、再生数などが高い人気の動画をピンポイントで消すようになったので、どうやら手動で、人為的に削除しているようである。
以上が、今回の騒動で「運営の嫌がらせに間違いない」「運営が恣意的に動画を削除してないか?」と言われている理由である。
もし本当にこのような理由なら、もちろん納得しない者が多いだろうし、動画の大量再UPなど一部の淫夢厨のヒートアップも想像に難くない。
淫夢動画は中には無修正で上げる規約違反もあるため、運営が内容も見ずに消したくなる気持ちも分からないでもないが、削除するならするで、正当な理由をつけるべきであるし、同じように性的な内容を含む他ジャンルの動画も公平に削除すべきである。
今回の騒動はもちろん淫夢厨が悪くないとは言えないが、このように抑え付けるだけでは、火に油を注ぐだけである。
"正当性"の主張
真夏の夜の淫夢タグの住民の一部は非常に動きが活発で、他タグの動画によく"出張"することがある。MADの元ネタ、台詞が棒読み、「なんでもしますから」などの淫夢語録、果てはサブタイトルが『真夏の夜の……』だったばかりにおもちゃにされ荒れに荒れた動画もある(淫夢とは全く無関係)。
こうしたイキすぎた荒し行為が一般視聴者に大きな不快感を与えている。様々な自分たちだけの「大義名分」の下で、ボーカロイドや実況、果ては政治カテゴリにまで荒らし行為を行うものもおり、「淫夢厨は害悪」と捉えるユーザーもいる。
それゆえに今回の大量削除は「因果応報」と感じているユーザーも見受けられた。
一方で、この問題の核はユーザーのマナーの問題であり、動画そのものを削除するのは問題のすり替えなのではないかという意見もある。なぜならば、淫夢系ホモビデオを好んで視聴するユーザーが、必ずしも他動画に凸するわけではないからである。
極端な話、当時問題だった「何にでも東方ネタを持ち込んでくる東方厨」を槍玉に上げ「東方プロジェクトは荒らしコンテンツだから全て削除するべきである、またそうされても自業自得である」などという言説を叫べば大バッシングは間違いないしまた納得できるわけもないだろう。
それと同様淫夢系動画の削除は根本的な解決策ではないとする意見である。
そして根本的な原因は、ろくに荒らし対策もせずにニコファーレ設立と言う資金の無駄遣いから来ているという意見も存在しており、大量削除の切っ掛けとなったニコファーレでの淫夢動画再生も荒らし対策を行わない運営側への批判目的だと言われ、荒らし対策は行わないのに逆恨みで動画削除を行うのはおかしい、悪いのは動画ではなくそれを使って荒らすユーザーなはずである。
また、「仮に東方MMDなどで運営批判する動画を作り、それをニコファーレで流しまくっていたとして運営は東方動画を消しまくっただろうか?恐らくないだろう」という意見が存在する。淫夢動画だけでなく、「マナーの悪いユーザー」に対しての迅速かつ効果的な「荒らし対策」が求められる。
その後
続いて2012年末よりエア本の大量開示(エアコースト)が始まったうえに、レスリングシリーズや裏御三家の衰退と相まって例のアレジャンルは大きく変容した。しかし、この大量削除をもってしても、当時絶頂期にあった淫夢の勢いを削ぐことはできず、ますます勢力を拡大していった。
もしエア本並の大規模規制を行った場合淫夢は壊滅したかもしれないが、運営としても広告費でなりたっている以上、淫夢民の数の多さには屈するしかなかったのかもしれない。
これ以後も様々な理由(著作権侵害や名誉毀損など)で定期的に淫夢動画の大量削除が起こり、その都度ホモコーストが叫ばれることとなる。しかし多用されるうちに用法が陳腐化していき、中には「ゲームのアカウント名に淫夢用語を使おうとしたら登録拒否された」「生配信に淫夢語録でコメントをしたら配信者に消された」程度のこともホモコーストと呼ばれることがある。ホモはせっかち。
モロホースト
2024年10月前後にKBTIT動画の大量削除が行われた。淫夢界隈がAI拓也で盛り上がっている最中の出来事であり、数万再生クラスの動画が次々に消えるなど、久々にホモコーストと呼ぶに相応しい規模の削除となった。一連の出来事はタクヤさんが「激エロのモロホスト」と自称していたことを絡めて「モロホースト」と呼ばれる。
ただしこれは運営による強制削除ではなく、タクヤさんがTwitter上で関連動画に苦言を呈したことを受け、訴訟を恐れた投稿者たちが一斉に自主削除をしたものである。タクヤさん直々の抗議という影響力は大きく、人気作の大量消滅に加えて新作の供給も激減し、一時はAI拓也どころか淫夢コミュニティそのものの存続も危ぶまれる状況となった。そんなものなくていいから…。
しかし同年11月、タクヤさんがご主人様から「お前は俺の奴隷なので人権侵害されても怒る資格はない」と制裁されるというエロゲーのような事態が発生し、自主規制の流れは沈静化することとなった。人権侵害自体は何も解決していないため全く褒められたことではないが、権利者がより上位の権利者から制裁されてホモコーストが中止されるという、極めて稀有な事例となった。終わり!閉廷!