あらすじ
とある王国にある田舎村、テネル村。
その村に、気が弱く影の薄い少年がいた。
その少年には一人の妹がいたが、ある日妹がオバケの呪いにかかってしまい、まともな言葉が喋れなくなってしまった。
「このままでは妹はおしゃまな美少女からお笑い系少女になってしまう!!」と家族は大慌て。
呪いにかかった妹を救うため、少年は父親がたまたま拾ってきた壺から出てきたヘタレな魔王と取引し、妹の呪いを解いてもらう代わりに魔王の子分となる。
少年は自分の影に憑りついたペラッペラ魔王に命ぜられるまま、世界征服の旅に出ることになる…
…どこかおかしい部分があるような気がするが、そんな話なので仕方がない。
概要
開発元はツェナワークス。
何気にPS2史上初のRPGでもある。
人形劇のような独特の雰囲気を持ったファンタジーRPGで、プレイステーション2最初期の作品。
『MOTHER』などのような、一見して平和な舞台ととぼけたキャラクターが特徴。
PS2最初期の作品ということもあってか、ゲームとして未完成な部分も見られる(特にグラフィックは、PS用ソフトの『FF9』などの方が美麗なレベル)。
また、シンボルエンカウント方式なのに避け切れないほど大量のシンボルが発生(やがてプレイヤーよりも足が速くなる)、それに加えダンジョンでのカメラワークとミニマップの不便さ、ロードなどストレスがたまる面もあり、人を選ぶのは間違いない。
しかし、人形劇のような可愛らしさがあるキャラ、和みと毒の共存した独特の雰囲気、今尚笑えるギャグ要素、濃いキャラクター、名曲揃いなBGMとなど魅力的な部分も多くあり、発売から実に20年以上経過した今でも根強いファンを持つ隠れた名作である。
通称「世界一地味な神ゲー」。
特に「物語」と、勇者や魔王といった「登場人物」について独特の角度から、そして非常に深く書き込まれたストーリーは必見。
終盤では厚手のハンカチのご用意を。
CMで伏線が張られている。
主な登場キャラクター
ルカ(デフォルト名)
この作品の主人公。16歳。
やたらと影が薄くスルーされがちで、しかも何かと不幸な目に遭ってしまう苦労症の少年。
なよっとした体つきで、赤毛に緑の目を持つ。
その他、不自然なほどに「無個性」であり、属性も得意不得意の無い「透明」。
魔王であるスタン曰く、「(取り憑くには)いいスタイル」らしい。
また、妙な人間からの人望が厚い。
作中ではプレイヤーの選択肢以外にセリフは無いが、表情は豊か。
だがその大半が困り顔。
困ったり慌てたりする様子が非常にかわいらしい為、投稿されるイラストも数多い。
ただし、選択肢に出現する台詞には結構はっちゃけたものも多く、時に魔王をドン引きさせることもある。
初期装備はまさかの「拾った枝」。
なお、ナレーションでは一貫して「少年」と呼ばれる。
スタン
本名、スタンリーハイハットトリニダード14世。
一応、300年前に勇者ホプキンスに倒されたという大魔王「ゴーマ」の生まれ変わり。
強大な力を持っているが中途半端に復活しているため、ルカの影にとりついている。
そのため見た目は、ジャック・オ・ランタンのような顔をした真っ黒な一旦木綿でしかなく、ペラッペラなその姿に魔王としての貫禄は皆無。
ハロウィンの時期になると急にボク魔イラストが増えるのは彼が原因。
見た目に反して態度がデカくて口が悪く、いかにも小物な悪役臭がする。
悪口語録は無限大で、ロザリーと喧嘩になるとすさまじい勢いで罵詈雑言を生み出す。
村人に大笑いされて大いに凹んだりする人間くさい一面もある。
ルカのことは常に「子分」と呼び、何かとこき使っているがたまーに誉めることもある。
状況次第で手を貸してくれることもあり、有象無象のオバケなら一撃で消し飛ばす力を持つ。
また、ストーリー進行に応じて(ルカの)HPを消費して必殺技を放つことも出来る。
投稿されるイラストの多くはルカやロザリーとのコンビでの物だが、影関連でコラボしているものも。
ロザリー(ロザリンド)
金髪金瞳の女勇者。22歳。属性は青。
勇者大学卒業のエリートで確かな実力を持っているが、右手にレイピア、左手にはピンク色の傘を持っているというちょっと変な格好。
普段はしっかり者のお姉さんといった調子の人物で、ルカのことをよく気にかけている。
しかし、スタンとは相性が悪く、レベルの低い口喧嘩を繰り広げる。
実はおだてに弱かったり、上手く乗せられて気がついたら不本意な事をしていたりと、なんだかんだ言って彼とは似たもの同士である。
実はその影はピンク色。
数年前、スタンが封じられていた壺を空けてしまい、取り付かれてしまいそうになっていた(スタン曰く、「ホイホイ壺を空ける方が悪い」)。
しかし、スタンは「ウエストが太い上に尻が垂れている」彼女のスタイルが気に入らず、自分から離れてしまう(ちなみにその際ロザリーは激怒し、スタンを壷に入れて谷底へ蹴落としている)。
この影響で、影が蛍光ピンクに染まってしまったのだ。
影がピンク色であるのは勇者として致命的であるため、それを隠す為に傘を常に持ち歩いていたわけである。
影を元に戻すためにスタンを探し続けていたところ、ルカ達と出会い、「復活しなければ元に戻せない」と言い張るスタンのために、勇者でありながら魔王の復活に加担する。
登場人物の中でも人気はかなり高い方で、ロザリー一人のイラストも多い。
キスリング
フルネームはグッテン・キスリング。45歳。属性は黄色。
知る人ぞ知るオバケ研究の世界的権威、と自称する(変態)サイエンティスト。
ロザリー達についていけばより多くのオバケと遭遇できると思い、知識探求のために旅に同行。
もじゃもじゃの髪と髭、ぼろぼろの服装、不気味な笑顔と明らかに真人間ではない風体で、その外見の通りかなりの変人。
しかし、学者ということもあってか分析能力は高く、所々でその鋭さが発揮される。
所々だが。
マルレイン
ルカ達の住むとある王国の王女様。
赤いドレス、金髪の縦ロール、華奢で白い肌、赤い目といかにも王女らしい王女。
ワガママで気が強い上に世間知らずだが、ルカの母のために苦心するなど健気な一面がある。
ツンデレという言葉が見事なほど当てはまり、プレイヤーからは「ツンデレラ」と呼ばれることも(このゲーム発売時には「ツンデレ」どころか「萌え」という言葉すら広まっていなかった)。
基本的にルカは、スタンよりもマルレインにこき使われている。
自称魔王に捕まっていた所をルカ達に救出されるが、そこでスタンが一悶着起こしてしまい、その責任を(ルカが)取る事になり旅に同行する事となる。
戦闘には参加しないが、彼女のビンタはルカの残りHPを1にまで減らす威力を持つ。
投稿されるイラストの多くはルカとセットのもので、ものの見事に王道カップルである。
物語における最重要人物の一人であり、彼女の存在そのものが「ボクと魔王」の物語の中核といっても過言ではない。
その辺の事情もあり、プレーヤーからは彼女が本作のヒロインとして認識されていることが多いようだ。
ビッグブル
フルネームはビッグブル・ブルドーザー。年齢は「忘れた」。属性は赤。
強敵と戦うことがなによりの生き甲斐。
体育会系という言葉が相応しく、豪快な性格。
語尾に「~ッス」と付ける。
欠点としては常に汗臭いことぐらい。
元々は「巨牛魔王」という自称魔王達の一人だったが、ルカ達にノックアウトされてしまう。
その後、スタンの心意気に惚れ込み、仲間として旅に同行することになった。
ルカ一行をやくざか何かのように認識しており、ロザリーのことを「姐さん」と呼んだりする。
その中心にいるはずのルカに対しては、何故か目下扱いで「舎弟」と呼ぶ。
リンダ
スタンを師と仰ぐ魔族の女の子。年齢は「ひ・み・つ」。
アイドルを目指し路上でひたすらライブをしていたが、誰も寄り付かず落ち込んでいたところでルカとスタンに出会い、スタンから歌のレッスンを受ける。
それから歌と魔王としての才能が開花し、歌で町の人々を洗脳するまでに成長。
『最後の試練』と称しルカ達に勝負を申し込むが負けてしまい、至らぬ自分を磨く為に旅に同行する。
世間一般に「萌え」という言葉が広まる前に町全体をその色に染め上げた時代を先駆ける人物。
三角関係のエピソードは必見。
エプロス
念入りなヘアセットと派手なメイクを施したマジシャンの男性。年齢は不明。
魔力の探求をしているうちに、いわゆる裏事情に精通するようになった。
「幻影魔王」という自称魔王の一人だが、自分の強さよりも別のことに興味を示す。
サーカス団の団長とは古い仲。
ルカ達一行の中では珍しくツッコミ一筋の人物で、その外見に反してロザリー並に常識的。
他のキャラクターには無いミステリアスな雰囲気の為か、何気に人気は高め。
単体のイラストが多い。
魔力の探求をしていた割にMPが0であることはしばしばネタにされる(ただし、本ゲームではMPはPTメンバー全員で共有しているため、魔法は使える)。
ナレーター
CV:坂東尚樹
厳密には登場人物ではないが、シュールな内容を淡々と読み上げる姿勢が一部で人気。