概要
サイド1付近の隕石群の中にあった幻のコロニー。元々はサイド1建設のために設立されたバナール1と言う名前の開発基地で、サイド1建設終了と共に放棄されたが密かに残留を続ける者や不法移住者が集まって生活を続けており、遂には外界との接触を断って狩猟採取レベルにまで退行した独自の生活様式を営むようになっている。内部には中世の建物や神殿が存在する。
そして、科学技術の精髄たるスペース・コロニーの中に居住しているのに「科学技術を捨てて自然と共存する」ことを理想とするやや矛盾した思想を持った人々である光族が住民の主流となっている。この光族の教えがコロニー内部で広められている為に、生活水準は低い。また力によってこの教えを他のコロニーに広めるか否かで争いが起きている。光族以外にもアルツトの民と言う人々が存在しており、彼らは昔に戦乱を起こした為に「子捨ての森」と呼ばれる地域へ追放されている。
かつてのコロニー建設用ロボットであるキャトルはご神体として安置されていた。
第1次ネオ・ジオン抗争ではエゥーゴのアーガマ隊とネオ・ジオンのエンドラ隊がここに来た事で戦闘が起きている。
0091年には、放射線により住民の疾病率が高いにもかかわらず、「光族の教え」のせいで疾病にも民間療法レベルでしか対応出来ず、若い世代は通信機や電波の存在すら知らず、外界と連絡する場合は宇宙船で先方に直接出向かなければならないなど、さまざまな問題が発生している。
ムーンムーンの誕生
ムーンムーンを舞台にした漫画作品『機動戦士MOONガンダム』ではムーンムーンがいかに誕生したのかが描かれた。
かつて建設資材として解体される予定だったバナール1をカミーグ・リゾートと言う遊園地経営会社が買い取ってまるごと遊園地に改造しようとしたが、初期の頃のコロニーなので外壁が後のコロニーよりも薄く、放射線対策が不十分などの問題で恒久的に使用は無理と言う政治的判断により遊園地化計画は頓挫、カミーグ社は多大な損失を被った。
そしてラプラス事件後の連邦政府との裁判が長期化していく中でカミーグ社はバナール1の強制徴用を回避するために、当時の各コロニーで再び発生していたヒッピーたち1000人ほどにここの入植権を二束三文で売り渡した。その後カミーグは数年の裁判で損失のほとんどを取り戻している。
そして理想的な環境だったバナール1に移住したヒッピーたちはやがて複数のコミューンを統合し、独自の文化を持った理想郷を築き、バナール1はムーンムーンへと名を変えたのである。
内部の神殿や建物は遊園地になる予定だった頃の名残で、石造りに見えて実は強化プラスチックで出来ている。
恐るべき事実
実は子捨ての森の木々は医学生上がりのヒッピーが品種改良で生み出したもので、建物の材料にもなるこの木は高純度のコカインであるハイ・コカインの材料であり、機械に精通しているアルツトの民はハイ・コカインをメディシンと言う裏組織を通じて外部に密輸・密売することで、ムーンムーンの為の生活物資や資金を得ていた。
またこのハイ・コカインには強化人間製造に用いる向精神薬と同じ成分ベタナールを含んでおり、ムーン・ムーンの住民たちは川の水や空気を通してこれを無意識的に微量ずつ接種し続けてきた結果、天然の強化人間となっていたのである。
宇宙戦国時代では
後に住民たちはザンスカール戦争のどさくさで地球に移住したが過酷な環境に耐えられず、コロニーと同じような環境の海底都市リュグージョに引きこもっている。しかし宇宙世紀0169年では木星共和国との取引で再び宇宙へ上がりたい支配者層と地球に順応し残留を希望する「地表同盟」の間で諍いが起きている。