概要
ゲームボーイで1992年に発売されたメトロイドシリーズ第二作である『メトロイドⅡ RETURN OF SAMUS』のフルリメイク作品。オリジナル版のサブタイトルは「リターン・オブ・サムス」だったが「サムスリターンズ」に改題されている。オリジナル版と同じく携帯ゲーム機であるニンテンドー3DSで2017年9月15日に発売された。
初代メトロイドは『メトロイドゼロミッション』でリメイクされていたが、それから約13年後にメトロイドⅡがリメイクされるこの話題には驚きを持って迎えられた。さらに同日には『メトロイドプライム4』も発表されたため全世界のメトロイドファンにとって記念すべき日となった。
ゼロミッション以来のサイドビュー探索アクション型のメトロイド作品となる。
概ねストーリーはオリジナル版を踏襲しているが、「スーパー」以降に構築された世界観を採り入れている為、オリジナル版をさらに再構築した様な形となっている。(例:ウェイブビーム・スペイザー・プラズマビームの複合やスーパーミサイル・パワーボムの追加、各メトロイドの戦闘スタイルの多様化など)
ニンテンドー3DSという事で、バーチャルコンソールのメトロイドⅡと今作を比べて遊ぶというのもオツなので興味のある方は両方手に入れて原作との違いを楽しんでいただきたい。
特徴
スーパー以降のアクションやアイテムも導入されているためオリジナル版に比べてアクションが多彩になっており、さらに新要素も採り入れられている。
新要素の1つ「エイオンアビリティ」は、下記のメレーカウンターを決めることでたまるエイオンを補充することで発動できるようになる。機能は隠された地形や地図の索敵ができる「スキャンパルス」、エイオンを消費して敵の攻撃を無効化するほか、メレーカウンターの威力を大幅に上げる「ライトニングアーマー」、攻撃系ビームの威力を上げ、通常ビームやミサイルでは倒せない敵を倒せるようになる「ビームバースト」、サムス以外の時間の進みを遅くする「フェイズドリフト」の4つがある。
また、「フリーエイム」機能が追加され、Lボタンを押すことで一時停止しながら360°どの方向にもミサイルやビームを打ち込むことができるようになった。
中でも新要素の1つで本作のキーアクションともなる敵の攻撃を跳ね返す「メレーカウンター」が大きな特徴。敵の攻撃に合わせてカウンターをすることで、大きな隙を作り大ダメージを与えることができる。
しかし、今作の敵はサムスを見つけると積極的に襲い掛かってくるため、タイミングを誤るとどんどんダメージを受ける。今作はノーマルでもかなり難易度が高いため、慣れないうちは死にゲーになりやすい。そのため、メレーカウンターを活用する必然性を身をもって知る事となる。メレーカウンターが上手くヒットすると自動的に照準が合う為すかさず攻撃するのがコツ。メレーカウンター後の一撃は問答無用の超火力攻撃であり、装備が充実していない段階では一撃必殺の方法となる。メレーカウンターの発動のタイミングは実戦で覚えるしかないが、敵が光って襲いかかる時がそのチャンスである。
なお、アイスビーム入手後、敵を完全に凍らせてメレーカウンターを決めるとアッパーで粉砕できる「アイスブレイカー」と呼ばれる隠しアクションが存在する。
なお、オリジナル版は複数のビームのうち一つしか装備できず、変更するには該当の場所まで戻らなければいけなかったが、今作はウェイブビームやスペイザーなどの通常攻撃ビームは複合タイプになり、その通常攻撃ビームと敵を凍結させるアイスビーム、ブロックやビームを引っ張ったりロープの様に使うグラップリングビームは装備切り替え式になった。なお、グラップリングビームはフリーエイム状態で該当するものに照準を向けると自動的に切り替わる。
同時発売のメトロイドのamiiboとの連動でプレイできる最高難易度「フュージョンモード」では初期状態だとザコ敵に一回当たるだけでほぼ瀕死になる。また、『大乱闘スマッシュブラザーズfor』のゼロスーツサムスのamiiboを使うとエネルギーが0になった際に自動的に最大エネルギータンク二つ分を回復するリザーブタンクが使える様になる。つまり、次にエネルギー回復するまでに1回だけ持ちこたえる事ができるのである。
探索においてもパズル要素が加わっており、従来の様にビームではない武器でないと開けられない各種色付きゲートや対応する武器でないと破壊できないブロックが各所に登場するほか、本作からは特定のビームでないと開けられない専用ゲートも追加されている。その他、移動中にエイオンアビリティを駆使する必要もある。
一定数のメトロイドを倒しより奥に進んでいくという流れはオリジナル版と同じだが、マップの構造は原作よりもかなり広くなり構造も大きく変わっている為(原作そのまんまではない)、既にメトロイドⅡをプレイした事がある人でも新鮮なものとなっている(リメイクでありながら完全新作の傾向がある)。また各エリアには何匹いるのかわかるようになった。メトロイドを倒した時に入手できるDNAを端末に読み込ませると抜け殻の位置がマップに表示される様になる為、次はどのあたりに潜んでいるか推測が可能になった。
サムス自身の強化や原作がGBというハードの性質で背景真っ暗、更に最早環境音なBGM、メトロイド遭遇時の恐怖感などが無くなっている為ホラー感はかなり減少した。ただし近くにメトロイドがいるとレーダーがピコピコ鳴るため心臓に悪い。
メトロイドは強力なボスとして再構築されているが、今回は新規の敵が新たなみんなのトラウマとなってしまった…。
メトロイド各形態の攻撃パターンは大幅に変わっており、ミサイルでひたすらゴリ押しとは中々いかなくなっている。わかりやすいところではメレーカウンターが通用しないパターンを織りまぜてくる。
また、複数戦う部屋があるエリアもあり、メトロイドが途中で部屋移動をする事もある。
原作ではただ浮遊移動してくるだけだったが、ハードの進化と技術の向上でアクションが増えており強敵感が増している。
メレーカウンターのチャンスを逃さずに発動させるとサムスのスタイリッシュなアクションによってメトロイドに連続攻撃できるので上手く見極めて狙いたい。
追加ボスもおり、中にはシリーズおなじみのあの強敵も登場する。さらにエンディング後のムービーでは後の作品に登場するあの生命体の姿を確認できる。
ボスの攻撃は初見殺しが多いが、幸い今回はボスに倒されてもその直前からすぐにやり直しができるため何度も挑戦してパターンを覚えていけばかなり楽になる。
ささやかなヒントとして「ゲームオーバーからのコンティニューはリトライポイントからの再開」である為、例えば不用意に部屋に飛び込んでボスに挑んで負けたとしても、リトライポイントはボス戦の手前からになっているので、再開時に挑む前に各種エネルギーや消費武器を回復した万全の状態にしておくと、ゲームオーバーになる度再開時はその状態からのリトライになるので覚えておくと有利に戦える。
今作でもクリアタイムに応じて最後の演出が変わるシリーズお馴染みの要素があり、クリア後のポーズは歴代メトロイドシリーズの公式イラストがモデルという懲りっぷり。
なお、アイテム収集率に関しては別の場所に反映されることになった。
その他
各エリアは基本的にはシームレスに移動できるが、エレベーターやテレポートステーションを使うとロードが発生するようである。かなり全体が広大になっているのでテレポートステーションはエリア間やエリア内移動のショートカットとして便利である。
また、いくつかテクニックをフル活用する必要があるが、タイムアタックで有用となるショートカットできるものが確認されており、最初から想定していたと推測される。
『メトロイドⅡ』でスタート地点の開始から主幹通路で流れるBGM「Surface SR388」は『サムスリターンズ』では表層エリアから少し潜った場所でのみ流れる。
待ちに待った公式リメイク
メトロイドⅡは長らくリメイクが待ち望まれており、非公式では熱心なファン達の手によるリスペクトを存分に込めたクオリティが高い非公式リメイク作品「AM2R」が10年ほどの時間をかけて製作されたが、配信から数日で任天堂のクレームによる配信停止で2016年にその幕を下ろした。
これには製作者を含めて落胆の声が多かったのだが、2017年に突如メトロイドサムスリターンズの発表で大きく話題となった。
公式によるリメイクの話題はAM2Rの製作陣をも歓喜させた。
開発は過去に「キャッスルヴァニア ロードオブシャドウ」などを手がけたスペインのゲーム開発会社「MercurySteam」との共同開発。横スクロール「メトロイド」の新作を模索するプロデューサーの坂本賀勇氏はNOE(ニンテンドー・オブ・ヨーロッパ)から、「MercurySteamがメトロイドのリメイクをやってみたいと言っている」という話を聞き、条件が噛み合ったことで2015年頃からプロジェクトをスタートさせた。
つまり、過去にメトロイドのフォロワー作品を手がけたMercurySteamが本家メトロイドを手がける事となった。
後に新作『メトロイドドレッド』をMercurySteamが再び開発協力しており、坂本氏曰く「サムスリターンズの開発がとにかく優秀でメトロイドという作品を物凄く理解している」と述べている。
なお、『サムスリターンズ(メトロイド2)』の続きは『スーパーメトロイド(メトロイド3)』になるが、サムスリターンズではエピローグに『メトロイドフュージョン(メトロイド4)』への伏線、さらにある要素にまさかの『メトロイドドレッド(メトロイド5)』を匂わせるものがあったため、ただのリメイクではない事が窺える。
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