概要
1965年に札幌市交通局が導入したA830形を譲り受けたもの。
当時札幌市電では多数の連接車が在籍していたが、地下鉄の開通と路線廃止で車両が余剰化していた。A830形も休車となっており、美濃町線の輸送改善用として輸送力の大きい車両を探し求めていた名古屋鉄道が譲り受けた。
譲り受けられたのは東急車輛製造で製造されたA837-A838・A839-A840・A841-A842の3編成で、戸袋窓以外の側面窓を開閉可能とし、各扉に折りたたみ式ステップの追加、車体色のスカーレットへの変更などの改造を施工している。
北海道由来の車両であることから沿線住民からどさんこという愛称で呼ばれた。
入線後
ラッシュ時の混雑緩和に絶大な威力を発揮したが、電装品が600V専用であり田神線を経由して各務原線新岐阜駅まで直通する運用に就かせられないため、モ880形の就役後にモ871-872が廃車された。
1996年から97年にかけて残存した2編成に対して冷房化を施工。同時に車体更新も行われ、特徴的な前照灯の配置を除き札幌時代の面影が完全に失われた。
2000年に機器類の1500V対応化とワンマン化が行われ、モ880と共通運用が組めるようになった。
しかし2005年の岐阜600V線区全廃で運用路線を失い、対外譲渡も模索されたが両数が少ない連接車であることからついに引き取り手は現れず2006年に全車両が解体処分された。
モ875の前面部分がカットモデルとなって美濃駅跡で保存されている。