ミュースカイとは
ミュースカイは、名古屋鉄道(名鉄)が運行する2000系電車の愛称であり、中部国際空港と岐阜・新鵜沼などを結ぶ全車特別車列車の列車名でもある。
列車名「ミュースカイ」は、名鉄の頭文字「M」を表し、特別車の別名にも使われているギリシャ文字「μ(ミュー)」と、空港アクセス列車ということで、空を意味する英語「sky」を合わせた造語である。
車体概観
名鉄伝統の「赤」を捨て、空港特急として空と海をイメージした白+青の塗装を採用した。また、フロントはポリカーボネートで形成した。
名鉄としては極めて斬新なデザインである。
JRの253系と似ていたため迷列車界隈でコラ画像が作られたのは公然の秘密。
編成
デビュー時
中部空港ク2000-モ2050-モ2100岐阜
2000系は2005年2月17日の中部国際空港開港を前に行われた1月29日の改正で運行を開始。
当初は3両編成で、6両で運用される場合もあった。1・2次車合わせて10編成が製造された。
MT比を1:1とするため、モ2050・モ2100は最も岐阜寄りの車軸のみモーターを搭載していない。
現在
中部空港ク2000-モ2050-モ2150-モ2100岐阜
繁忙期の乗車率が非常に高かったため、翌2006年5月頃より4両編成への増結工事が始まり、7月までに全編成が4両化された。過渡期には7両編成での運行もされた。
なお、3次車2編成は当初から4両編成として製造されている。
新たにモ2150形を新造し、既存編成のモ2050とモ2100の中間に組み込み。MT比の関係で、中部空港寄りの台車のみモーターを搭載。またモ2050に搭載していたパンタグラフをモ2150に移設している。同時に既存車両の荷物置き場を増設し、その部分の窓のカーテンは閉め切られている。
車体傾斜
名鉄では試作車1600系1601Fの結果を踏まえ、本格的に空気バネによる車体傾斜方式を導入した。
これにより、カーブの多い常滑線などでも制限速度を本則+10km/h程度向上させている。同時に常滑線で高速化工事が行われ、120km/hでの走行が可能になった。一部のカーブにはM式ATSに加えパターン式ATSも設置し、2000系の制限速度向上に対応している。
なお、車体を傾けた状態で建築限界をクリアする為に車体傾斜装置を搭載しない他の電車より一回り車体断面が小さく押さえられている。一部特別車方式の構成としている1700系・2200系も2000系と断面は同一である。
連結について
運用
普段から重連で運行されている列車と、繁忙期のみ重連になる列車が存在する。現在は名鉄名古屋~中部国際空港のみの運転だが、朝夕のみ名鉄岐阜・新鵜沼・新可児(平日のみ)で運用されている。ただ日中は名鉄自身も観光面で猛アピールしているはずの犬山(新鵜沼)方面への運行がなされていない為に東海地方以外の利用客の取り込みが出来ていないという『ねじれ現象』を生む結果となってしまった。
前面貫通
ミュースカイは名鉄で唯一、重連時に貫通扉を使用して編成間の行き来が可能な電車である。
前面の貫通扉が左右に開き、内部に格納されている幌などが自動で接続される構造となっている。
2200系の貫通扉状のものは飾りであり、----なんとワレメまで再現されているが----内部は非貫通構造で開くことはできない。
また、6000系前期・中期車や1700系にも貫通扉が設置されているが、非常用としてのもので連結時に編成間の行き来はできない(ただ6000系も初期の頃は編成間の行き来が可能だった)。
他系列との連結
通常の営業運転では2000系同士でしか連結しないが、ECB方式を採用した3500系や3100系など3R・9R…といった電気指令式ブレーキ車同士での連結が可能な構造である(性能は抑えられる)。試運転や回送列車としての運転の際、他系列と繋ぐ。
2021年には9500系との併結営業運転が行われたほか、2023年には3500系と繋いだ団体専用列車の運転も行われた。
電磁直通・空気ブレーキを採用している旧型の6000系など「6R車」、5300/5700系など「SR車」との連結はできない。
内装
内装は2200系特別車に順ずるが、青系のモケットを張り「空港特急」としてのイメージを演出している。またトランクなどを置くための荷物スペースも用意されている(こちらは2200系や1200系の改修後にも採用されている)。
名鉄は7000系パノラマカー登場以来「前面展望」をトレードマークとしてきたが、ミュースカイは構造上運転席の後ろで「かぶりつき」を行っても、前方を見ることは全くできない。
その配慮か、車体妻面にはディスプレイが設けられ、乗り換え案内などの情報を表示する合間に前面展望映像などを流している。
ただし操作は車掌が行うため内容はまちまちで、車掌によってはロゴマークを表示し続けるような場合もある。
列車名変更
2005年に運行を開始した当初は「中部国際空港発(行き)快速特急」と「中部国際空港発特急(朝時間帯)」に充当されていた。(※)
しかし、特急運用の整理により2009年10月3日のダイヤ改正より従来車両愛称だった「ミュースカイ」を種別名とし、全車特別車列車を現す種別としての使用を開始。2000系ミュースカイが名鉄唯一の全車特別車となった。
※「快速特急」は名古屋本線を走る一部特別車の列車と混在しており、種別名に「快速」が入っている(=乗車券だけで乗れると認識されやすい)事から2000系への一般車乗客の誤乗が多かった。この類の誤乗はJRのホームライナーでも起こっている。
ラッピング電車
名鉄では様々なラッピングを2000系に施してきた。
何故か2011Fが充当される場合が多く、それゆえ同編成は「レイヤー電車」などと言われることもある。
2000系とは別に2200系・3700系でもラッピングが行われ、毎年ラッピング電車3編成体制。名鉄沿線で春から夏にかけての風物詩となっている(2012年は3700系に代わって3500系が使用されている)。
車体ラッピング
なぞの旅人フーラッピング
2006年、空港線開業1周年を祝い、車体に中部国際空港の公式マスコットキャラクターであるなぞの旅人フー、なぞの荷物持ち、なぞのトリなどをラッピングした車両を運行した。
編成は語呂合わせのため2006Fが充当された。
2008年、空港開業3周年を祝い、「フーサンタ」号として2006年時のキャラクターに加え新規追加された公式キャラクターも交えたクリスマス風デザインのラッピングを施した車両を運行した。
編成は2011Fが充当された。
ポケモン電車
おそらく名鉄で一番力を入れているところ。
ポケモンスタンプラリーにあわせて毎年夏に「ポケモンラッピング」を行い、恒例となっている。
2007年はポケモンミュースカイ号の愛称で運行。
編成は2011Fが充当された。
テレビ愛知の「ラブピカProject」とのタイアップ企画だった。
2008年はポケモンミュースカイ2008号の愛称で運行。
編成は2008Fが充当された。
2009年はポケモン・ギザみみピチュー号の愛称で運行。
編成は2012Fが充当された。
編成は2011Fが充当された。
2011年はポケモン ゼクロム号・レシラム号の愛称で2編成が運行。
編成はそれぞれ2004F・2005Fが充当された。
2012年はポケモン 聖剣士号の愛称で運行。
編成は2010Fが充当された。
エヴァンゲリオン特別仕様ミュースカイ
2020年1月14日~3月17日まで運行されていた特別仕様のミュースカイ。
対象編成は2007F。
「エヴァンゲリオン中京圏プロジェクト」及び「シン・エヴァンゲリオン劇場版」とのタイアップで、対象車にエヴァンゲリオン初号機カラーのフルラッピングが施工された。同時に車内もわずかながら装飾が施された。
ヘッドマーク装備
車体ラッピングとは別に、先頭貫通ドア付近にのみヘッドマークをラッピングした編成が多数運行されている。
主なものは以下
祝・空港線完成ヘッドマーク(2005年/200F)
グッドデザイン賞受賞記念ヘッドマーク(2005年/2002F)
ローレル賞受賞記念ヘッドマーク(2006年/2011F)
知多新線開通&ビーチランド30周年記念号(2010年/2006F)
中部国際空港(セントレア)開港15周年記念ヘッドマーク(2020年/2008F)
編成表
←中部国際空港 名鉄岐阜・新鵜沼→
形式 | ク2000 | モ2050 | モ2150 | モ2100 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
MT構成 | Tc | M | M | Mc | |
搭載機器 | CP | CP | CP,VVVF/SIV,PT | VVVF/SIV,PT | |
第1編成 | 2001 | 2051 | 2151 | 2101 | |
第2編成 | 2002 | 2052 | 2152 | 2102 | |
第3編成 | 2003 | 2053 | 2153 | 2103 | |
第4編成 | 2004 | 2054 | 2154 | 2104 | |
第5編成 | 2005 | 2055 | 2155 | 2105 | |
第6編成 | 2006 | 2056 | 2156 | 2106 | |
第7編成 | 2007 | 2057 | 2157 | 2107 | |
第8編成 | 2008 | 2058 | 2158 | 2108 | |
第9編成 | 2009 | 2059 | 2159 | 2109 | |
第10編成 | 2010 | 2060 | 2160 | 2110 | |
第11編成 | 2011 | 2061 | 2161 | 2111 | |
第12編成 | 2012 | 2062 | 2162 | 2112 |
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