概要
2005年の空港線開業を機に登場。2000系(ミュースカイ)の一部特別車版で、1200系(パノラマSuper同様、豊橋方にリクライニングシートの特別車2両、岐阜方に3ドアセミクロスシートの一般車4両で6両固定編成を組む。一般車は車番から「2300系」と区別され、資料によっては「2200・2300系」と表記されることもある。1700系就役時には1700系と連結された一般車のみを「2300系」と区別していた時期もあるが、いずれの場合も編成全体の呼称は特別車側の形式名に合わせられていた。
ラッシュ時を中心に一般車側に通勤形車両を併結するが、現状では特別車側(モ2200)、一般車側(モ2300)共に非貫通であり、前面中央部のプラグドアのようになっている部分はダミーである。当初この部分にはシートが貼り付けられていたが、3次車以降は撤去され窓ガラスが露出した外観になった。
実は一般車側(モ2300)は貫通幌の取り付けが可能になっており、前面貫通型の9R導入の暁には何か変化があるかもしれない。
従来の特急車両には何かしらの愛称が付されてきたが、本形式には特段の愛称は与えられていない。
沿線のファンの間では赤いミュースカイを略して赤ミューと呼ばれることが多い。
外観
ミュースカイの派手なメイテツブルーとは対照的に、従来の名鉄特急のカラーリングである白を基調とした名鉄スカーレットの塗装を纏っている。ミュージックホーンやフォグランプも勿論搭載。
2000系を原設計とした為、特別車に合わせて一般車も車体下部に裾絞りが設けられ、車体幅が最大2700mm(他のVVVF通勤車は2740mm)と狭くなっている。
1・2次車は白を基調に乗務員扉側面と車体側面上部のみ名鉄スカーレットを配したデザインで、特別車2両はドア付近に「1」、「2」と描かれたデザインとなっていたが、3次車以降は窓下にも名鉄スカーレットの帯を足したデザインとなり、特別車ドア付近の号車表記の装飾も廃止された。
一部特別車特急は特別車が必ず豊橋・中部国際空港寄りに連結されており、本形式は必ず1~6号車となるため号車番号表示はマグサイン風のステッカーが貼り付けられている。
幕についての説明は通勤車の新たな顔に譲る。
内装
特別車は2000系と共通仕様となり、展望席のない回転式リクライニングシート2+2列配置となった。
空港アクセス特急らしく機能性を重視しており、大型の荷物置き場と多言語対応のLCDが特別車に備えられた。なお自動放送は永遠のライバルよろしく日英のみの模様。
車内チャイムも2000系と共通で、中部国際空港行き以外の車内チャイムは1600系と同じ曲を使用している。
一般車は同時期に製造された3300系初期車と同様の転換式クロスシートとロングシートを交互に配置したセミクロスシート。
案内装置は1・2次車は3300系と同じ2段表示LEDだったが、3次車からはLCDに変更された。
3300系と共通仕様のためカーテンが省略され、UVカットガラスが採用されている。
機器類
こちらも3300系と共通仕様である。IGBT素子のVVVFインバータ制御・WN駆動で、モーターは3500系以来伝統の定格出力170kW×4、台車は住友金属工業製SUミンデン台車。
ブレーキは回生ブレーキ付きの電気指令式空気ブレーキ。3100系、3150系との併結が可能だが、起動加速度と非常減速度に差異がある(本形式は2.3km/h/s・4.2km/h/s、3100系・3150系・9100系は2.0kmh/s・4.0km/h/s)ため起動加速度と非常減速度が抑えられてしまうが、比較的停車駅数の少ない優等列車での運用が中心となるため影響はほとんどないとされる。
製造年次による差異
全車が日本車輌製。特急車であるがゆえ、通勤車のステンレス化後も本系列は普通鋼製となっている。
1700系との共通運用が始まった2008年のダイヤ改正後は名鉄瀬戸線の置き換えに専念していたが、一段落した2015年度より1200系のリニューアルと並行して後期車を追加投入。流石に足回りの老朽化が進んでいた1030・1230系を置き換え、名鉄特急の編成保有数トップに躍り出た。さらに2020年度には癖の強い性能から一般車との相性が悪かった1700系を置き換えるため(特別車のみの)6・7次車を新造し、現在に至る。
1次車
2004年度に製造された2201F~2204F。
座席数が2次車以降と比べ1列多く、荷物置き場が少なく座席背面のチケットホルダーが装備されていなかった。2次車製造後に2次車と同一仕様に合わせられた。
一般車は3300系1・2次車と3150系1次車同様転換クロスシートが2+2列配置で、クロスシート部分に吊り革は装備されていない。当初はオーロラビジョンR-STAYを方向幕に採用していたが、2024年に特別車側のみフルカラーLEDに更新された。
2次車
2007年度に製造された2205F~2209F。犬山線・河和線系統への導入を目的とした増備車。
特別車の座席を1列減らし荷物置き場としたため窓配置が変わっている。
一般車はクロスシート部分にも吊り革を装備したが、代わりに座席は1+2列配置に減らされた。
当初常滑駅~中部国際空港駅間で流されるBGMが『八十日間世界一周』のテーマ曲「Around the World」だったが、すぐに従来車と同じBGMに変更されたとされる。また、方向幕は1次車同様特別車側のみフルカラーLEDに更新済み。
3次車~5次車
2015年から2018年にかけて製造された2210F~2213F。1030・1230系の置き換えを目的とした増備車。
デザインが一部変更され、前面スカートの形状が変更されたほか側面窓下にも名鉄スカーレットの帯を配したデザインとなった。1・2次車も後にこのデザインに変更されている。
行先表示器はフルカラーLEDに変更され、一般車の車内案内表示器もLCDに変更された。
また特別車には1人掛け席が各1列追加され、1次車製造時の座席配置に戻された。後に1・2次車も同一の座席配置に変更されたが、2次車はもともと荷物置き場だった名残でこの座席のみ窓がない。
30番台(6・7次車)
2200系30番台(※)の2231F〜2234Fは、2000年代に組成変更で誕生した1700系に由来する編成。
一般車は1700系特別車との組成のために2008年に新造、特別車は1700系特別車の代替目的で2019・2020年に新造。特別車と一般車で車齢がズレている。
※ 名古屋鉄道においては他の2200系と区別されておらず、一般車側の旧来からの呼称から30番台と呼称されることがあるが、日本車輌の車両出場状況には2230系という記述がみられる。
運用
中部国際空港の開港を見据えて開発された以上、当初は専ら空港特急に宛がわれていたが、2次車導入後は全車特別車特急が淘汰されたことに伴い西尾線を除く特急運用のある全線に進出することになった。朝夕の多客時には3100系・3150系ないし9100系と連結して8両編成運用にも充当され、本線特急の土休日は日中でも8両編成が増えている。
一方、早朝深夜には特別車を締め切って特急以外の間合い運用に入ることもしばしば。2021年ダイヤ改正からは「一部特別車急行」の運行も開始された。
余談
名古屋鉄道において「2200」「2300」を名乗った形式は過去にも存在する。元来名古屋鉄道では2000番台は制御車・付随車に附番されていたため、電動車で2200・2300を名乗ったのは2200系が初となる。
- ク2200形:瀬戸電気鉄道キハ300形のエンジンを取り外し電車化したもの。1964年に福井鉄道に譲渡され初代140形となった。
- ク2230形:名古屋鉄道(初代)デボ650形の電装を解除し制御車化したもの。1950年代後半に3700系に機器を供出し廃車となった。
- ク2300形(初代):初代モ800形の派生形式の制御車。片運転台車で後に電装されモ830形となった。
- ク2300形(2代目):愛知電気鉄道電7形(モ3200形)の電装を解除し制御車化したもの。末期は瀬戸線で特急運用に就き、1978年の瀬戸線昇圧に伴い廃車となった。
- ク2330形:知多鉄道デハ910形の電装を解除し制御車化したもの。1965年から1966年にかけて瀬戸線転入に際し再電装されモ900形となった。
関連タグ
名古屋鉄道(名鉄) 名鉄特急 特急形電車 転換クロスシート 2200系
パノラマカー(7000系・7500系・7700系) 北アルプス(キハ8000系・キハ8500系) パノラマDX(8800系) パノラマSuper(1000系・1200系・1600系) ミュースカイ(2000系)…先輩・同輩
名古屋本線 豊川線 常滑線 空港線 河和線 知多新線 犬山線 広見線 津島線…運行路線(※広見線は現在定期運用無し)