概要
ベルギーの機甲戦力
第一次世界大戦以降、欧州の中小国では機甲部隊の編成が進むようになっていった。
ベルギー軍もそれら中小国同様に機甲戦力の導入を進めっていくこととなり、
当初はルノーFT-17を運用していたが、さすがに旧式化は否めず新たな機甲戦力を
模索することとなった。
ヴィッカースの輸出戦車
そこでベルギーはイギリスから購入したヴィッカース M1934豆戦車をベースに
13.2mm重機関銃を搭載し火力強化を図り、それに伴い砲塔も円筒型から箱型の
背の高い砲塔に変更したものを『T-15』として正式採用した。
しかし、元となったM1934豆戦車は二人乗りであることから運用上の問題が生じ
ヴィッカース社は三人乗りとして車長が指揮に専念でき、尚且つサスペンションの
強化と武装を40㎜砲搭載可能とした『コマンダータンク』を開発、
1938年に試作車が完成しベルギー軍は評価試験を行い良好な成績であったため、
正式採用及びライセンス生産の運びとなったが戦争の勃発により頓挫した。
量産
T-15は42両が量産され第一アルデンヌ猟騎兵師団と2個騎兵師団にそれぞれ配備された。
すべてが騎兵部隊の戦力となっていることからフランス軍のごとく偵察等の任務を
想定していたものと思われる。
性能諸元
エンジン:メドヴズEST 直列6気筒液冷ガソリンエンジン
重量:3.8t
全長:3.63m
全幅:1.89m
全高:1.90m
最高速度:64km/h
航続距離:230km
主武装:オチキス13.2mm重機関銃
副武装:FNブローニング 7.65mm機関銃
装甲:7〜9mm
実戦
本車の初陣は1940年5月10日に始まる西部戦線におけるベルギーの戦いである。
ドイツ軍のB軍集団第6軍を英仏を主力とする連合軍とともに迎え撃っている。
詳しい戦果等の記録は確認されていない。しかし、T-15はドイツ軍相手では
少々火力不足であったため、あまり活躍できなかったものと思われる。