”タバステウブサラ シギシギシギシギ・・・”
作詞:上原正三
作編曲:渡辺宙明
歌:こおろぎ'73
概要
不思議界フーマが侵略活動に際して用いる、ある種の魔力を持った歌。
武力行使により、標的とした惑星を壊滅させるのを常套手段とするフーマだが、一方では本曲を利用してその惑星の住人や動物を洗脳・凶暴化させ、間接的に滅亡へと導くのもまたフーマの得意とするところである。実際に作中でも、本曲によって引き起こされた「不思議ソング病」により、少なくとも2つの惑星が滅んでいることが明示されている。
また単に歌をそのまま用いるだけに留まらず、これに反応するビールスや不思議ソングフラワーの花粉も、同様に侵略活動にて利用される。
作中では不思議獣ペトペト、シギシギらが、この不思議ソングを用いた作戦に従事しており、このうち後者(と、不思議ソングフラワー)が登場した第20話のサブタイトルは、そのものズバリな「不思議ソング」である。
挿入歌
メタルヒーローシリーズでも度々見られる、「悪の組織のテーマソング」的な位置付けの本曲は、本作のパイロット版(第1・2話)の演出も手掛けた澤井信一郎の、「不思議」な世界観への拘りも強く反映されているといい、単なる挿入歌としてのみならず前述の通り、作中においても重要な役割を果たすものとして位置付けられている。
作編曲を手掛けた渡辺宙明は、そうした自身の作曲家活動の中でも今までに例のない性格を持つ本曲について、作曲を依頼された当初やや困惑気味であったことを後に明かしている。
メインスタッフでの打ち合わせの際、前出の澤井の「フシギな感じを出して欲しい。ブキミではなくてフシギですよ」との熱弁に触発され、作曲への意欲が俄かに湧き上がった渡辺は、このフシギな感じを出すに当たってまず音階から考えていったといい、最終的に中近東風音階とドリア旋法とを組み合わせることで、澤井の拘りに見事応える「フシギな」楽曲が完成するに至った。
本曲は、原曲以外にも様々なアレンジ・バリエーションが製作されており、後年リリースされたサントラ盤にも収録されている。中にはクリスマス回(第39話)にて使用された賛美歌風(歌唱:杉並児童合唱団)という変わり種も存在する。
また、初回から何度か使用されたバリエーションの一つとして、渡辺が歌唱も手掛けたものがある。これは本来、テンポ合わせ用に作られたガイド用の録音テープであり、初回の撮影に間に合わせるべく用意した後、コロムビアにて録音した正式版に差し替えることが念頭に置かれていた。
・・・のだが、実際に制作された初回ではなんと、このガイド用テープがそのまま劇伴として用いられており、渡辺を大いに当惑させる結果となった。これは澤井を始め、現場スタッフの意見が一致した上での決定であったとされ、後に渡辺も(練習不足なのもあってか)やや間の抜けた自身の歌声や、ヤマハポータサウンドによるチープで薄っぺらい演奏が、逆に敵方のフシギさを出すのにベターであったのかも知れないと、澤井の意図を分析している。
この他、とある回で使用されたピアノソロバージョンについては、渡辺が録音したBGMの中には含まれておらず、誰が演奏を手掛けたのか気になった渡辺が後に選曲担当の村田好次に問い合わせたところ、「僕のワイフが弾きました」という意外な答えが返ってきたという逸話も残されている。