概要
苫小牧市の北西部、白老町にほど近い、樽前山の南南西1kmほどの場所に位置している。
標高は684mと低いが、登山道が存在しない完全なヴァリエーションルートの山となり、エゾヒグマの出没も後を絶たないことから、登山難易度は超2000m級の山々にも匹敵するとされる。
知名度が低い上に難易度のわりに標高が低いこともあって、趣味の登山家からはほとんど見向きもされず、登頂を試みる登山者は業務上の必要性からやむを得ず登頂することとなった地質学者やその随伴者にほぼ限られる。
中山の「山」は日本語ではなく、アイヌ語の「ぬぷり」であり、日本語とアイヌ語が混在する名称の山として、大変珍しい存在である。
事件・事故
登頂ルートとしては正規の登山ルートに沿って樽前西山に向かい、そこからなだらかな斜面を藪漕ぎして向かうのが通常である。それ以外のルートを試みる場合、予想ルートから外れた場合は滑落事故の危険が常に伴い、これまでに数多くの死者が出ている。
これ以外に、エゾヒグマによる襲撃も度々発生しており、ヴァリエーションルート故に救助もほぼ望めないことにも注意が必要である。
1998年5月にはルート上を歩いていた東北大学の准教授の男性が、白骨化した成人の遺体を発見した。遺体をDNA鑑定したところ、札幌市内で行方不明となっていた当時18歳の女性のものと発覚。死体遺棄事件として捜査が行われた。
この捜査の途上で現場に向かった刑事の男性がメスのエゾヒグマに襲われ、片目を失明する大けがを負っているほか、現場検証に立ち会う准教授に同行した博士課程在学中の男性が滑落により死亡する二次被害も出ている。
1999年1月、苫小牧署は千歳市内での強姦致傷事件で逮捕された20代の男が事件に関与している可能性があるとして裏付けを進めた。任意同行の結果、男は1997年秋ごろに被害女性と面識を持ち、強姦したことを認めたものの、殺害と遺棄については否認を続けた。
その後の裁判で、札幌地裁はこの男について被害女性への強姦と逮捕監禁で有罪判決を下したものの、殺害と遺棄については証拠不十分であり、また男の体力を考えれば単独で被害者の遺体を背負って現場に遺棄しに行くことは客観的に見て困難であるとの理由から無罪とした。男はその他の事件と合わせて15年間服役し、出所しているが、今なお殺害と遺棄については黙して語らず、真犯人はこの男なのか、他の協力者によるものなのか一切分かっていない。
2008年にはこの事件の被害者の女性が地縛霊として中山岳に彷徨っているとの噂を信じた中学3年の男子5人が夜間に集団遭難する事件が発生した。失踪25日後に中山岳の南西を通る送電鉄塔の下で全員が発見され、ドクターヘリで搬送された。栄養状態は比較的よく、何らかの方法で食料を得ていたと考えられたが、5人はいずれも「洞窟内で風雨をしのいでいたところ、後からやってきた白いワンピースを着た髪の長い若い女性から毎日食べ物を差し入れてもらっていた。女性には脚がなく、スカートから上が地上に浮いているような奇妙な歩き方をしていた」という不可解な証言をしている。