CV:楠見尚己
概要
『龍が如く5』に登場する福岡・永洲街のタクシー会社「永洲タクシー」の社長。
永洲街で自暴自棄になっていた鈴木太一こと桐生一馬を、何らかの事情があったと察して、自身の会社に迎え入れるという懐の深い人物だが、酔っ払うと絡み上戸になり面倒臭くさくなるとという欠点を持っている。
また、かつては元走り屋で、永洲街に蔓延る走り屋集団「永洲デビルキラー」の創設者にして初代リーダー。
元々デビルキラーは車と走りを愛する健全な走り屋で、バイトで稼いだ金で車を改造し、交通量の少ない時間や場所を徹底的に調べたり、コースには無線を持った監視役を置いて走る責任をチーム全員で背負う等、無法者なりに超えてはならない一線を引いた集団だったが、次第に反社同然の組織となった。
そんな彼は既婚者時代、ドライブ中に妻共々、無茶な運転をしていた走り屋の追突事故に巻き込まれ、それ以降は「もしかしたら自分が加害者になっていたかもしれない」という思いから無茶な運転に対してトラウマを抱える様になってしまい、走り屋を辞めてしまう。
そして、植物状態となった妻の入院費を稼ぐべく、自身と同じくそんなデビルキラーに見切りをつけた仲間と共に永洲タクシーを起業した。そして中嶋はそんな組織を自分の作ったデビルキラーを潰して欲しいと桐生に懇願した(この時、中嶋も自分の蒔いた種を鈴木に押し付ける事になった事に謝罪した)。
本編では、東城会と山笠組の戦争を止めるため、永洲タクシーに辞職願を提出した桐生に対し、それを突っぱね、「鈴木さんはウチの社員ばい。何があっても帰ってきい」と激励を送った上で桐生にタクシーを貸し出し、彼を見送った。
その後、『8』のエンディングノートにて再登場。
今でも現役で働いており、刑事の伊達真から「鈴木太一の件で話がある」と、横浜・伊勢佐木異人町のキャバクラに呼び出された。
しかし、伊達と話す中、『極道である事を桐生から聞かされた筈が、知らない』等、桐生の記憶と異なるすれ違った言動を見せ、次第に伊達が話す鈴木太一が別人だと否定し、その場を後にしようとした。
以下、ネタバレ注意
しかし、刑事として数々の修羅場を潜り抜けてきた伊達は、中嶋が横浜に向かう道中で多々良ひそかがアップロードした桐生の生存を示す流出動画を見たのではないかと問いかけた。
伊達の推理通り、中嶋は伊達より連絡を受けた当初、純粋に桐生の事を偲ぶつもりで横浜に向かっていたが、道中、多々良の動画を見てしまう。動画のアップロードと前後して伊達の連絡が来た事に加えて、伊達が元より本当に桐生と知り合いか確信が持てない事から、警察が桐生の事を追っているのではないかと疑念を持つ。もし自分が些細な事でも桐生の事を話せば、彼の身を不利にすると考えた中嶋は、突然予定をキャンセルするのも不自然な事から、敢えて事実と異なる話をして情報をすれ違わせる事で、人違いでその場をやり過ごそうとしていた。
しかし、中嶋の真意を見抜いた伊達は、警視庁も福岡県警も桐生が永洲タクシーに在籍していた事を掴んでいない事を説明した上で、中嶋と桐生の出会いの詳細とその情報を桐生本人の口から聞いた事を明かして足を止めさせた。そして、中嶋も伊達を信用できる人だと感じ、桐生が永洲タクシーから去った後の事を語り始めた。
桐生が永洲タクシーを去った後、中嶋はテレビのニュースで会社の面々と共に桐生が神室町で極道相手に戦った事と彼の本名や素性を知る。東城会の四代目会長を務めた程の伝説の極道だったという経歴に驚きを隠せなかった中嶋や永洲タクシーの社員達だったが、そもそも永洲タクシー自体、社長の中嶋を含め後ろめたい過去を持ち、脛に傷を持つ者が多かった事から、最終的に桐生の事を警察に届け出さないと決め、会社全体で示し合わせていた。
しかし、それから数年後、今度は桐生が広島で死んだという報せを受ける。それを額面通り受け止めていた中嶋は、多々良の動画を見た事で混乱しつつも、伊達に「結局、桐生一馬は…鈴木さんは…今も無事に生きとるとやね!?」と尋ねる等、伝説の極道では無く、自分の部下だった一介の男として桐生の事を今尚、案じていた。
尋ねられた伊達は、「ノーコメントって事にさせて下さい」と肯定も否定もしない答えを返す。
それを聞いた中嶋は、一度は困惑するも、暫くして「なるほど!そん言葉だけで十分ばい!」とその言葉の意味を察する。その上で伊達は、アサガオの子供達を守るために沖縄を離れ、福岡で自暴自棄になっていた自分を中嶋が会社に誘ってくれた事を桐生は今でも恩に感じていると伝言という形で伝える。
そして、それを聞いた上で、中嶋は自身も伊達に対して桐生への伝言を頼み込む。
「鈴木さんはウチの社員ばい。何があっても帰ってきい」
それは嘗て桐生が永洲タクシーを去る前に言った言葉で、それは今も有効だとして、困った事があれば、九州には何時でも自分が待っている事を伝えてくれる様、頼む。
桐生自身、事情があったにせよ、自分を案じて送り出してくれた中嶋に礼を言えなかった事を悔いており、すぐ傍で話を聞くしかない今の自分に代わって恩義を伝えてくれた伊達に深く感謝していた。
余談
演者の楠見氏は過去作にて、東城会直系嶋野組組長・嶋野太役で出演してるが、中嶋とは正反対の極悪人である。