概要
本名「波野哲明(なみののりあき)」。1955年5月30日生まれ。屋号は「中村屋」。定紋は角切銀杏、替紋は丸に舞鶴。父は17代目の中村勘三郎(本名・波野聖司)。妻は7代目中村芝翫の次女。前田愛(女優、『キノの旅』の主人公キノの声優)は嫁(長男・6代目勘九郎の妻)。余談だが次男・中村七之助も歌舞伎俳優ながら声優の経験がある(かのAGOこと御門として)。
生まれながらにしての役者で、全ての人との出会いを芸の肥やしにしようとするプロ意識の塊とも言える人物で、数多くの女優との逢瀬をたびたびスキャンダルとして報じられてきたが、18代目勘三郎を深く知る人物からは「不倫なワケがない」とのコメントが大部分であった。
また、歌舞伎の新しい可能性・表現法を常に模索しており、中でもニューヨーク公演ではニューヨーク市警を登場させるという演出を取り、多くの関係者を驚かせた。
晩年は難聴などの闘病が続き、2012年12月5日急性呼吸窮迫症候群のため急逝。享年57。あまりに早すぎる死に歌舞伎関係者・芸能関係者の多くが悲しみに打ちひしがれた。逝去前には待望の初孫の誕生と長男の勘九郎襲名があったが、それから一年と経たない出来事であった(この孫、七緒八は生誕時には曾祖父(7代目芝翫)もいたが、一年で祖父と共に相次いで亡くすことになる)。
なお、晩年ハイハイをし出した頃の七緒八を可愛がる映像が残されている。2017年2月、七緒八が6代目勘九郎の前名を受け継いで3代目勘太郎を、その弟で勘三郎の死後に生まれた哲之が中村長三郎を襲名し初舞台を踏むことが予定されている。哲之の「哲」の字は言うまでもなく、勘三郎の本名「哲明」からつけられたものである。
人物像
多芸多趣味な人物で、中でも大の長嶋茂雄ファン。メジャーリーグにも非常に精通しており、別荘をアリゾナに所有していたのでダイアモンドバックスの大ファンでもあった。
さらにこの年代の人物としては比較的珍しいゲーム好きで、『ドラゴンクエストⅢ』を予約購入するほど。芸能人(しかも歌舞伎役者)で非常に困難だった発売日購入を果たした事からワイドショーに出演。
「これは子供用じゃなくて自分用」
…とは18代目勘三郎の言葉。
友人も多く、大竹しのぶなど彼と言葉と酒を酌み交わした女優か数知れず、同性も宮藤官九郎、明石家さんま、佐藤浩市、立川談志、笑福亭鶴瓶など年齢も幅広かった。