概要
JR東海東海道本線、熱海~函南間にある鉄道トンネル。1934年(昭和9年)12月1日に開通した。
全長7,804m 入り口名盤には7,841mと書かれている。熱海駅~函南駅の区間はほぼこのトンネルで占められている。
JR東海の在来線では最長で東海道本線にしても最長トンネルである。開業当時は上越線の清水トンネルに次いで日本で2番目に長いトンネルで 鉄道用複線断面のトンネルでは当時日本最長だった。東海道新幹線で最長の新丹那トンネルも平行している。
かつては丹那盆地にトンネルを掘ることは不可能とされており、東海道本線の沼津駅~国府津駅は丹那盆地を迂回するルートで建設された。
丹那トンネルの開通により、こちらのルートを東海道本線と呼ぶようになり、旧ルートは御殿場線と改称した。両駅間の線路形状が緩やかになったことで、列車のスピードアップと、屈指のお温泉街である熱海市のアクセス向上を果たした。
ただし、割を食う形で御殿場線はローカル線に転落。太平洋戦争時には複線だった線路も単線化してしまい、現在は毎時1~2本という低頻度な運行形態に落ち着いている。
工事中に水難事故が多発し、多くの水害に見舞われた。また、トンネル上の丹那盆地は豊富な地下水を有し水田の他ワサビ栽培が盛んであったが、トンネル掘削後は地下水が大量に流失し一気に枯れた土地となってしまう。後に金銭補償はされたものの土地の水は2度と戻らず、丹那盆地の民は間期の副業であった酪農に仕事をシフトしていくこととなった。
また、トンネル掘削中には北伊豆地震にも見舞われている。この地震でトンネル周辺の地盤は2mもずれてしまい、トンネルそのものの崩落は無かったものの、ずれたルートを繋げるためにこの時点で未掘削だった箇所は若干S字にカーブしている。
新丹那トンネル
延長7,959m 東海道新幹線 熱海~三島間にある東海道新幹線では最長のトンネルである。当初は弾丸列車のトンネルとして計画されて掘られた。
日本坂トンネルなどと共に、弾丸列車用のトンネルが新幹線計画に転用された例の一つである。
新幹線区
函南駅から伊豆箱根鉄道駿豆線大場駅方面に下ると新幹線区と言う住宅地がある。かつて新丹那トンネル掘削に携わった作業員たちの官舎があった。工事完了後に住宅地に変わった。正式な地名は函南町上沢だが バス停には「幹線上」「幹線下」のバス停があり、新幹線公民館もある。