概要
- 1898年に豆相鉄道として開業。以降会社名は変遷を重ね、1957年に伊豆箱根鉄道の路線となった。
- 東海道本線三島駅から修善寺駅までの19.8kmを結ぶ。
- 路線名は「駿河国」と「伊豆国」を結ぶことから付けられたが、現在は旧伊豆国内で完結している。かつて御殿場線下土狩駅が三島駅であった時代、そこに乗り入れていた時も駿河国はかすめる程度であった。
- 三島駅~三島広小路駅間に急カーブが多いのは、下土狩駅方面へ向かう線路を、現在の三島駅へ向かうルートに変更したため。線路跡は住宅地になっているが、一部遺構が現在も残る。
- 駿豆鉄道時代の1949年より、国鉄80系による準急列車が乗り入れを開始し、種別こそ違えど現在でも継続して行われている。
- 沿線に修善寺温泉などが存在することもあり同じ伊豆箱根鉄道の大雄山線と比較して観光色が強めである。また観光イベント等も行われている。
- 運行人員の削減が進んでおり、2009年に普通列車がワンマン化されている。また2020年2月からは一部の有人駅にて駅員配置時間を朝7時~8時30分のみに短縮するなどの動きがある。
運行形態
特急列車
- 東京駅から特急踊り子が毎日1日2往復、5両編成(10~14号車)で乗り入れている。土休日は臨時列車が1往復設定される。
- 駿豆線内の特急料金は区間に関わらず200円均一。定期券でも特急券を購入すれば乗車可能(ただし三島から以東は別途目的地までの運賃と特急料金が必要)。
普通列車
- 線内折り返しの普通列車はラッシュ時最短8分間隔、最長12分間隔、日中は15分間隔で運行されている。全車3両編成、ワンマン運転である。
- 三島-修善寺間の直通運転が基本だが、早朝には大場発三島行・修善寺行、最終三島発は大場行の区間運転がある。
- 夜間保線作業時間拡大とCOVID-19感染拡大による需要減少につき、2020年4月から2022年1月までは23時台の減便・最終電車の30分繰り上げ・行先変更(修善寺ゆき⇒大場止まり)を行い、一部有人駅の営業時間を大幅に短縮していた。→参考文献
使用車両
自社保有車
1300系
- 元西武鉄道新101系を改造をした車両。改造は西武鉄道で施工された。2両編成と4両編成を組み換え3両編成にし、余った分は三岐鉄道用編成へ活用された。塗装以外の外観は西武時代の面影がよく残っている。
- 駿豆線唯一のオールロングシート車。3両編成2本が在籍する。
- 2201編成は2008年12月14日より運行を開始。2016年12月10日からは、西武鉄道旧塗装のリバイバルカラー「イエローパラダイストレイン」として活躍中。毎年10月にはハロウィン装飾がされる。
- 2202編成は2009年5月に導入。白とライオンズブルー(西武鉄道のグループ統一コーポレートカラー)の伊豆箱根鉄道オリジナルカラーを纏う。
3000系
- 地方私鉄には珍しい自社発注車。3両編成6本が在籍し、普通鋼製の第1次型(3501編成~3504編成)と軽量ステンレス製の第2次型(3505編成、3506編成)の2形態が存在する。
- 車内は国鉄近郊形電車などと同じセミクロスシート。
- 3501編成は、1979年製造。中間車の座席が、かつて存在した快速列車向けに転換クロスシートに交換されている。2018年6月12日より、軌道線色になり活躍中。
- 3502編成~3504編成は、1980年~1982年に製造。3502編成は、逃げるは恥だが役に立つの撮影に使われ、ステッカーが貼られている。
- 3505編成は1987年製造。211系に似たステンレス車体になった。正面行先表示器は幕式。2022年1月からは、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」ラッピング車両となっている。
- 3506編成は1997年製造。スカートが設置され、パンタグラフも下枠交差形になった。行先表示器は正面と側面にあり、LED式。2017年4月8日からは、初のフルラッピング車両ラブライブ!サンシャイン!!「HAPPY_PARTY_TRAIN」となっている。これに合わせ、塗装もライオンズブルーから新ライオンズカラーである「レジェンドブルー」に変更。
7000系
- 一部座席指定制の快速運転やJR東海への乗り入れに対応する車両として製造。しかし、特殊なドア配置(後述)のためラッシュ時の乗降に難があることなどを理由に計画は頓挫(快速は1998年に廃止、指定席制度も同時に廃止)。このため2編成で製造中止となり、以降は3000系を再製造した。
- 車内はオール転換クロスシート車で、快速運転に対応するため、先頭車は片側3ドア、中間車は片側2ドアの特殊なドア配置になっている。この中間車が指定席車両であった。
- 製造は東急車輛製造(西武鉄道のかつての抗争相手であった東急電鉄の系列)が担当したが、実際は委託製造という形で新潟鐵工所(後の新潟トランシス)が製造している。気動車が主力製品である同社が近郊型電車を製造するのは非常に珍しく、他には北越急行と上信電鉄しか納入例がない。(但し製造銘板は東急車輌として付いている)
- 7501編成は、1991年に製造。2019年8月~2020年3月まで、Dr.STONEのラッピングが貼られていた。
- 7502編成は、1992年に製造。2017年11月より、前面がゴールド、帯がレジェンドブルー(紺色)に塗装が変更された。また、2018年12月13日~2021年9月20日の間は、劇場版ラブライブ!サンシャイン!!「Over_the_Rainbow号」となって運行されていた。その後、2023年6月23日より「幻日のヨハネ」フルラッピング車両「YOHANE TRAIN」となった。
ED32・ED33
- 元西武鉄道31形電気機関車。1948年に導入。令和においても稼働状態にある貴重な凸型電機機関車である。
- 主に大雄山線用5000系の検査に伴う大場工場入出場時の輸送と工場構内の入換、深夜の工事列車(レールやバラストを運搬)の牽引に使われる。
- 近年には2月14日のバレンタインデーに、「チョコ色の機関車」として記念ヘッドマークを装着してイベント走行している。(単機または重連)
- 2018年頃にナンバープレートが取り付けられた。それまでは車両にペンキで直接ナンバーが書かれていた。
乗り入れ車両
E257系2500番台
- 2021年3月13日より運行開始。特急踊り子用。
- 10~14号車の5両編成が乗り入れ、熱海で伊豆急下田発着の9両(E257系2000番台)と分割併合する。
- 房総特急として活躍したE257系500番台から改造された。
引退した車両
※イラストがある車両のみ掲載
1100系
- 元西武鉄道701系を改造した車両。1989年に4両のまま大場工場まで運ばれ、3両編成に短縮改造した。
- 3編成が在籍したが、1300系に置き換えられる形で2012年6月13日に運行終了。
- 引退時は西武鉄道時代の赤電塗装に塗り替えられたが、塗り分けラインが伊豆箱根塗装をベースにしたため、厳密には少し違った姿になっていた。
- 車番は1000系のものを引き継いでいるため、1009から始まり、1100を名乗る車両はいない。
185系
- 東京駅から特急踊り子として乗り入れていたJR東日本が保有する特急形電車。
- 11~15号車の5両編成が乗り入れ、熱海で伊豆急下田発着の10両と分割併合する。
- 11・12号車は自由席で、駿豆線内は特急料金不要で乗車できた(ただし定期券では乗車不可)。
- 土休日ダイヤでは修善寺駅停泊も設定されていた。
- 2021年3月12日に運行終了。E257系に置き換えられた。最終列車は伊豆箱根鉄道社員や地元住民が大場工場や沿線から見送った。
駅一覧
●:停車 |:通過
駅番号 | 駅名 | 特急 | 普通 | 乗り換え路線 | 駅員 |
---|---|---|---|---|---|
IS01 | 三島 | ● | ● | 東海道本線/東海道新幹線 | 有人 |
IS02 | 三島広小路 | | | ● | 有人 | |
IS03 | 三島田町 | ● | ● | 有人 | |
IS04 | 三島二日町 | | | ● | 朝 | |
IS05 | 大場 | ● | ● | 有人 | |
IS06 | 伊豆仁田 | | | ● | 朝 | |
IS07 | 原木 | | | ● | 無人 | |
IS08 | 韮山 | | | ● | 朝 | |
IS09 | 伊豆長岡 | ● | ● | 長岡温泉、三津、沼津方面 伊豆箱根バス | 有人 |
IS10 | 田京 | | | ● | 朝 | |
IS11 | 大仁 | ● | ● | 無人 | |
IS12 | 牧之郷 | | | ● | 無人 | |
IS13 | 修善寺 | ● | ● | 修善寺温泉、戸田、土肥、河津方面 伊豆箱根バス | 有人 |
※朝…7時~8時30分のみ駅員配置
※三島田町駅は2020年10月1日より朝のみ配置に変更
その他
- 各駅に設置されている自動券売機では三島駅連絡でJR線との連絡乗車券が発売されている。一方窓口では東側は常磐線我孫子駅まで、西側は大阪市内までの連絡乗車券も購入できる。この連絡乗車券の取り扱いは芥川龍之介が健在だった1925年頃よりあるらしく、修善寺温泉の新井旅館に行くための手紙に記述がある。
- 切符を磁気化して主要駅に自動改札機を導入してはいるものの、現時点ではSuicaなど交通系ICカードには非対応である。(近隣の熱海駅がJR会社間の違いでICカードの「関所」と化しているのも遠因であろうと思われる。上記の長距離連絡乗車券が残存している理由も同様)
- 昔から沿線の温泉を利用する湯治客の高齢利用者が多かったこともあり、1973年に日本の私鉄として初めてシルバーシート(高齢者優先座席)を導入している。(当時はまだ国鉄中央線にしか導入されていなかった)
- 下土狩駅~三島広小路駅間の旧線は、廃止後に復活する計画があった(下土狩線)。しかし、当時建設中の東海道新幹線と交差することになるため、中止になることが確実事であった。(それを承知の上建設強行した疑惑がある)
- 全国の鉄道会社に広がった「ハートのつり革」を最初に始めた路線でもある。同つり革は所属する10編成のうち1本しかなく、日によって設置車両が変わるのも特徴である。同路線でロケを行ったドラマ「ごめんね青春!」にも登場。
- ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」第6話の修善寺への旅行回に駿豆線が登場。ロケに使用された車両(3502編成)には、「この座席で撮影しました。」というステッカーが貼られている。ちなみに新幹線変形ロボ_シンカリオンでも当該のシーンがパロディとして登場。なお、主演の二人は2021年5月19日に結婚し、公式Twitterはこのようにコメントしている。
- 2022年1月から放送のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の舞台が沿線なことから、タイアップを実施、3505Fがラッピングを行っている。また、韮山駅近くに大河ドラマ館もオープンし、コラボ切符も発売。
- 上記大河ドラマのパロディとして、「伊豆箱根の13人」企画も行われた。駿豆線13駅を擬人化し、沿線のPRをするというもので、全3話のドラマもYouTubeで配信された。
ラブライブ!サンシャイン!!コラボ
- 沿線に存在する「伊豆・三津シーパラダイス」(伊豆箱根鉄道が運営する水族館)が「ラブライブ!サンシャイン!!」のAqours2ndシングル「恋になりたいAQUARIUM」に登場したことから、「ラブライブ!サンシャイン!!」のラッピング列車が3000系3501編成を対象に2016年4月27日~2018年4月1日まで運行していた。これは、バスやタクシー、船を含めても沼津・三島地区では最速である。
- 4thシングル「HAPPY PARTY TRAIN」のPVに駿豆線が登場したことから、2017年4月8日より3000系3506編成を対象にフルラッピングをしている他、伊豆長岡駅の駅舎にも同曲をモチーフにしたラッピングを施してある。2018年12月13日からは、三島駅発車メロディ(10時~15時の間)としても使用されている。
- 2018年12月13日より、劇場版ラブライブ!サンシャイン!!「Over_the_Rainbow」の公開を記念し、7000系7502編成がラッピング列車となって運行されている。当初は2020年3月までの運行予定だったが、COVID-19の影響を受けお別れイベントが延期。最終的に全般検査を受ける2021年9月20日まで走った。お別れイベントは結局行われなかったが、9月中はラッピング終了を記念した特別ヘッドマークが掲出された。
- かつては9人の等身大パネルが各駅に置かれていたが、無人駅が増えたため、現在は大場駅にローテーション設置されている。(※幻日のヨハネパネルはスタンプラリー実施のため、各駅に再び設置)
- ラブライブ!サンシャイン!!のスピンオフアニメ「幻日のヨハネ」も近隣市町で最速コラボし、3506Fにヘッドマーク掲出を皮切りに、2023年6月には西武鉄道と合同のスタンプラリーの開催、7502Fへのフルラッピング(YOHANE TRAIN)などを行った。
関連イラスト
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- 駿豆線
- 大雄山線
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鎌倉殿の13人/Dr.STONE/ホロライブ/鉄道むすめ/刀剣乱舞/弱虫ペダル:コラボした作品(ラッピング列車や切符など)