九九式狙撃銃
きゅうきゅうしきそげきじゅう
全長 | 1,118mm(短小銃型) |
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1,258mm(長小銃型) | |
銃身長 | 657mm(短小銃型) |
797mm(長小銃型) | |
重量 | 3,800g(短小銃型) |
4,100g(長小銃型) | |
口径 | 7.7mm |
使用弾薬 | 九九式実包 |
装弾数 | 5発 |
九九式狙撃銃は旧来の九七式狙撃銃の後継として製造された7.7mm口径の狙撃銃である。
製造された九九式長小銃及び九九式短小銃の中で射撃試験の結果が特に優秀な個体を選び、銃床等を念入りに仕上げた上で狙撃眼鏡を取り付けて配備された。
九九式長小銃ベースの狙撃銃は、長小銃自体の製造数が少ない為極めて少ない。
九九式狙撃銃はあくまで狙撃銃として専用に製造されたものでは無く、量産品から選抜したものであった。
その為、原型となった銃と同様に長小銃型や短小銃型の他に、モノポッドの有無、フロントバンドの形状の違い、対空サイトの有無などバリエーションは多彩であった。
狙撃銃としての特徴は次のとおり。
槓桿
槓桿は下向きに曲がった専用のものが使用された。
槓桿は遊底そのものに取り付けられているため、当然九九式小銃として製造されて射撃試験を受けた時とは異なる遊底が取り付けられているが、精度を損ねず確実に操作できるよう調整されていた。
狙撃眼鏡
狙撃眼鏡は工具を使わずに容易に脱着ができた。
装着場所は、左側に大きくオフセットしほぼ機関部の横と言っても過言ではない場所に取り付けられた。
これは銃弾を装填する際に挿弾子を真上から差し込むので、それを避けるためであるが、同じく真上からの装填が必要なM1Dなどと比較しても大きくオフセットされている。
このため、狙撃眼鏡を使用する際には頬付けが困難で、M1903A4やM1C/D、或いは戦後の64式狙撃銃のように頬当て(チークパッド)が大々的に支給された形跡も無く、当時の射手はさぞ苦労したことであろう。
主に倍率4倍の九九式狙撃眼鏡が使用されたほか、少数の銃のみ倍率2.5倍の九七式狙撃眼鏡が充てがわれた。
狙撃眼鏡は東京第一造兵廠と、日本光学、東京光学、榎本光学、富岡光学、東京芝浦電気(マツダ銘)、高千穂光学等の民間企業で製造された。
九九式狙撃眼鏡のレティクルは、九七式狙撃銃と弾道特性が異なるため新たな様式を採用している。
レティクルの調整はごく少数試作された物を除けば調整は不可能で、射手は距離や環境に応じてレティクル上の目盛りのみで修正しなければならなかった。しかしながら、鏡胴の気密性は極めて良好で製造から70年以上経過した現在でも光学系に問題がない個体は多い。
通常の九九式小銃の照星と照門は残され、狙撃眼鏡の故障時やごく近距離の射撃時は通常型と同じように扱うことができた。
銃床
銃床は、特に念入りにフィッティングが施された。精度の向上には明確な効果があったとされている。
しかしながら、銃身を機関部と銃身先端部の2箇所で固定していること、銃身そのものが細い事等の理由から湿度変化で曲がる被筒や銃床の影響で、環境によって着弾点が大きく変化する。但し、これは同時期の狙撃銃はすべてこのような構造であったため、九九式狙撃銃に限った問題ではない。