概要
その名の通り交通事故の処理・原因調査にあたる車両である。
国費導入分では、4種類の表示が可能な電光掲示板を装備した車両を『事故処理車』
多種類の表示が可能な電光掲示板を装備した車両を『誘導標識車』といって配備名目を分けているが、現場ではどちらも同じように運用されている。
また、都道府県費で導入される車両では、電光掲示板を装備していなかったり、電光掲示板の形式が大きく異なったりと、地域差が見られる。
積載性の高さや室内の広さを生かして交通取締や検問・資器材搬送等、マルチに使用される。
パトカー同様赤色灯やサイレン・マイク拡声器等緊急走行用装備を備えているため、必要に応じて緊急走行する場合もある。
主な使用車種は国費ではキャラバン・ハイエース・ボンゴ等、ワンボックス車が中心となる。
また、誘導標識車の中には高速隊向けにランドクルーザー等のSUVが配備されることもある。
事故処理車・誘導標識車
トップ画像にもある通り、いわゆる「事故処理車」といって多くの方がイメージする車両であろう。ワンボックス型で、後部に電光掲示板を装備し、事故現場において後続車へ注意喚起を行うのが、この車両である。
電光掲示板
電光掲示板のうち、事故処理車に装備されるものは、赤色LEDによって事故、検問、→→(右矢印)、←←(左矢印)の4パターンを表示することが可能となっており、前後方両面に映し出すことができる。
一方、「誘導標識車」のものは、事故処理車と異なり、後方のみ映し出すこととなるが、緑色・橙黄色・赤色と3色LEDで表示することが出来、事故処理車よりも多様な表示をすることが可能。
かつては電光掲示板ではなく、バスや電車方向幕同様、幕式掲示板が主流であった。
サーチライト
夜間、事故現場を照らすためのもの。車両前部に設置されることが多い。リモコン式で左右360°に回転。仰角90°・俯角40°と幅広い角度に照射することが可能。
通常のパトカーにも、助手席下部のメタルコンセントに繋ぐことで電源を得る、小型の探索灯は装備されているものの、手持ちで照射しなければならないうえ、そこそこ重量があるため、現場では事故処理車・誘導標識車のサーチライトが重宝される。
ステレオカメラ車
事故現場における採証活動用ステレオカメラを装備した車両は「ステレオカメラ車」「ステレオ・カメラ・カー」等と呼ばれる。
外観的な特徴として車両上部屋根がスライド・開閉する様になっていることが挙げられる。
この開閉する屋根よりステレオカメラを持ち上げ、事故現場の立体写真を撮影。事故原因究明に用いることとなる。
ステレオカメラ車の場合、現在ではハイルーフ仕様ワンボックスカーが用いられるが、以前は通常ルーフ仕様が用いられていた。
また、ごく初期のトミカで販売されていた"日産キャブオール事故処理車"も、ステレオ・カメラ・カーがモチーフとなっている。
多目的事故処理車
一部警察本部(警視庁や神奈川・茨城・徳島県警等)高速隊に配備された車両。通常事故処理車や誘導標識車と異なり、トヨタコースターや日産シビリアン等のマイクロバスをベースとした大型車両である。
車両後部に大型の幕式表示板を装備している。
さらに、伸縮式ハロゲン投光器までも装備・夜間帯における交通事故処理を目的として配備されたようである。
サインカー
事故処理車の親玉ともいえる車両。トラックをベースとして、車両後部に大型電光掲示板を搭載した、大型の標識車である(近年では表示板にフルカラーLEDを採用している)。
大規模災害や交通規制などの際、ドライバーに対し交通情報を提供することで交通の流れを円滑にすることが目的である。
警視庁では都費で「交通情報提供車」として、中型トラックをベースとした車両を各交通機動隊や高速隊に配備している。
交通鑑識車
平たくいえば機動隊に配備される「投光車」を白黒塗装としたものである。夜間、数百m先でも新聞が読める程の照度を有するハロゲン投光器を装備している。
警察本部にもよるが、轢き逃げや死亡事故等、重大な交通事故が発生した場合に出動する交通鑑識が運用することがある。
このため、車内には赤外線カメラ(衣服に付着したタイヤ痕等を可視化する)や3Dレーザスキャナ(現場状況を3次元的に捉えることが可能)等、採証機器を搭載していることもある。