誘導分岐
原義は「現代風」というほどの意味。
解説
「現代風」といった意味合いの歌曲の形式。神楽歌や催馬楽といった従来の歌曲を「古様」と呼び、これに対してより現代的な流行歌を指している。主に七五調四句の形式で歌われたが、八六調や和歌を題材にしたもの、不定形のものまで含む形式の自由さがある、まさに当時のヒットソングである。主役は歌であるが、扇や鼓で拍子を取るものから楽器の演奏を伴うものまであった。
貴族たちが好んで唄ったほか、端者や雑仕といった身分の低い人々にも流行したという。特に、遊女や傀儡子(くぐつ、人形劇や曲芸を生業とする者)、白拍子といった芸能の民が、主な今様の伝承者、担い手であった。
早くは『枕草子』や『紫式部日記』等に記載がある語で、平安時代の中期に成立したと考えられている歌曲の形式。平安時代末期に大発展し、鎌倉時代にかけて栄えた。中でも後白河天皇は今様のパトロンとして知られ、今様集「梁塵秘抄」を編纂した他、自らも昼夜を問わず唄い熱中したという。
現代では源平合戦や鎌倉時代を舞台にした時代劇でお馴染みである。
遊びをせんとや生まれけむ 戯(たはぶ)れせんとや生まれけむ
遊ぶ子どもの声聞けば わが身さへこそ揺るがるれ
(-大河ドラマ『平清盛』「梁塵秘抄」より)
(訳例)遊びをするためにこの世に生まれてきたのか 戯れるために生まれてきたのか
遊ぶ子供たちの無心な声を聴いていると、私の体も自然に動き出しそうになってくる
冠者は妻設けに来んけるは かまへて二夜は寝にけるは
三夜といふ夜の夜半ばかりの暁に 袴取りして逃げにけるは
(-大河ドラマ『太平記』「梁塵秘抄」より)
(訳例)若様なら女漁りに出かけたぜ 騙して二晩も寝たのだが
いよいよ結婚を迫られる三夜目の明け方に 袴を引っ掴んで逃げやがった
関連タグ
後白河天皇:愛好者。歌集「梁塵秘抄」を編纂した。
平清盛(大河ドラマ):OPで今様の一節が使われている。
白拍子:男装して今様や朗詠を唄いかつ舞う当時の歌手兼踊り手。