概要
未成重巡であり、改鈴谷型とも呼ばれる。1942度戦時建造計画で2隻計画されたもので、戦時消耗の補充のための建造であった。魚雷発射管が3連装から4連装に、後マストを4番砲直前に移動させた以外は最上型と同じ構造だった。これまでの軍縮条約に縛られた重巡とは異なり、無条約時代に入ってから計画された日本海軍唯一の重巡であったが、1番艦である伊吹(重巡洋艦)が進水した時にはミッドウェー海戦の敗北などで日本海軍の航空戦力が弱体化していたため、急遽伊吹を空母として完成させるよう計画が変更された。
重巡としての伊吹は20cm砲10門、魚雷発射管16門と強武装であり、搭載される機関も高出力な物が予定されていたため、重巡として完成していれば連合艦隊の中核として雄姿を誇ったであろうことは想像に難くない。
2番艦の第301号は起工直後に中止されている。名称は不明であるが、一説によれば、「羅臼」を予定していたという(中には「鞍馬(伊吹の候補名の一つでもある)」や「生駒」も候補に挙がっていた)。後に「生駒」は雲龍型空母の未成の6番艦に「鞍馬」は建造を取り止められた7番艦に使用された(尚こちらは不確実である)。