伊達直人とは、辻なおき作画・梶原一騎原作のプロレス漫画『タイガーマスク』の主人公である。
CV:富山敬 (ただし、数話ほど森功至が代役を務めていた。)
概要
孤児院「ちびっこハウス」で育った孤児。
小学生の頃、動物園の虎の檻の前で中学生3人をやっつけた素質を見込まれ、悪役レスラーの養成機関である「虎の穴」にスカウトされる。
「虎の穴」を卒業後は、その類稀なる素質を見込まれて、「タイガーマスク」の名を与えられ、世界中のマット界を震え上がらせる悪役レスラーとして猛威を振るう。そして素顔の伊達直人に戻った時は、ファイトマネーを匿名で「ちびっこハウス」や各地の孤児院に送り続け、恩返しをしていた。
しかし「ちびっこハウス」が借金で窮地に陥ったことを知り、本来「虎の穴」に収めなければならない上納金を返済に充ててしまったがために、「虎の穴」の穴から裏切り者の烙印を押されてしまう。ファイトマネーの上納は「虎の穴」の鉄の掟であり、それを破った者には死あるのみであった。
地獄の制裁によって刺客を送られ続ける直人は、どうせならばせめて孤児院の子供たちに誇れる戦いをしたいと決意し、悪役レスラーから脱却して正義のレスラー「タイガーマスク」としてリングで戦おうとする。
当初は悪役レスラー時代の癖が抜けきらず、つい反則技を反則技で返してしまったり、クリーンファイトにこだわり過ぎたりもしていたが、多くのレスラーたちとの戦いを経て成長し、テクニックでも反則技でも一流だったルー・テーズの再来を目指すこととなる。
子供たちに血を流す姿を見せたくないと思っているため、彼らの前では自分がタイガーマスクであることをひた隠しにしており、支援金も「親戚の遺産が転がり込んできた」と嘘をついていた。
子供たちからも、優しくて気前がいいが、どこか間が抜けた「キザ兄ちゃん」と呼ばれ慕われていた。
原作とアニメ、それぞれの結末
アニメ版は展開が早く、原作の連載を追い越してしまったためにオリジナル展開に突入。そのまま最終回を迎えたため、原作とアニメでは全く違った結末になった。
原作版
世界タイトル戦では、勝利まであと一歩と迫ったところで、対戦相手の反則によってタイトル奪取を逃してしまった。
再戦のチャンスは与えられたが、その当日、子供を庇った直人は車に撥ねられてしまう。死の間際に虎のマスクを川へと投げ捨てたため、伊達直人の死と共に、タイガーマスクも誰にも正体を知られる事なく、この世から消え去ったのだった。
原作版の続編にあたる『タイガーマスク二世』では主人公亜久竜夫が直人の遺志を受け継いで2代目タイガーマスクとなっていた。
アニメ版
虎の穴の総帥が自らリングに立ち、最強最後のレスラー「タイガー・ザ・グレート」として立ちはだかる。
あくまでクリーンファイトに徹しようとするタイガーマスクだったが、グレートの苛烈な反則攻撃に、ついにマスクを引きはがされ、その素顔を公衆の面前に晒されてしまう。それは、支援してきた孤児院の子供たちに、自分の正体を知られてしまうことでもあった。
もうヘタレで優しい「キザ兄ちゃん」ではいられない。そう悟ったタイガーマスクは、「虎の穴からもらったものを全て叩き返してやる。そして俺は伊達直人に返るのだ」と宣言。グレート以上の残虐ファイトを繰り出し、ついには相手を絶命させてしまう。
我に返ったタイガーマスクは、自らの行いを恥じ、マット界からも子供たちの前からも姿を消すのであった。
過酷な展開ではあるが自身の半生にけじめをつけたその結末は、原作者からも高く評価されている。
その一方で、アニメ版の続編にあたる『タイガーマスクW』では直人に代わるタイガーマスクとなった東ナオトが終盤でタイガー・ザ・グレートの孫と対決していたが、その結末は直人とは真逆と言えるものであった(ただし決着が付いた後日に海外へ旅立つ点については同じ)。
補足及び余談ではあるが、「W」も1作目同様これで最終回・・・ではなく、直人の弟分であり彼をよく知る高岡拳太郎の妹の娘(姪)にあたる高岡春奈が、元虎の穴の人物であるミスXによって新たに旗揚げした女子プロレス団体(もちろん虎の穴とは無関係)の選手としてリングで戦う話で最終回を迎えている。こちらもこちらで(1作目と比較して)最終回としての真逆ぶりが顕著に表れている。しかもそこにはミスXの秘書を務めている2代目ミスターXの姪もおり、虎の穴に関係のあった者(厳密には初代とは別人等の違いはあるが)の姪同士が、立場は違えど今度は同じ仲間となっている。
タイガーマスク運動
2010年末から「伊達直人」を名乗って児童養護施設にランドセル等を寄付する人が出現。
タイガーマスク運動と呼ばれる。
pixivにはこの話に関連したイラストもアップされている。
なお、この運動がニュースやワイドショーで取り扱われた際は、タイガーマスク本人にもインタビューが行われたが、演者の富山氏が既に故人となっていたためか、ほんの数話ほど代役を務めていた森功至氏がインタビューに答えていた。