『我欲を満たさんと他者の命を奪い、罪を隠す為にその亡骸を畜生に食わす……』
「人の皮を被った悪魔が……ならばこの伊集院が、真の悪魔というのを見せてやる」
『永遠に続く苦痛と絶望の中、泣き喚きながら貴様には死んでもらう』
南雲「いかにも、初めましてムッシュ。拷問士の伊集院さん」
「じゃあ、やってねぇっていう証拠出してみろ」
「目ぇ見りゃわかんだよクソ野郎。舐めんじゃねぇぞ」
「どうするって……そりゃあ、悪知恵しか浮かばない脳みそを、空っぽにしてもらうんだよ」
「もう鼓膜を食い破ったのか…… 流石の活きの良さだな」
「おい外道。テメェの中に入ってるのは何だ? 当てたら許してやる」
「コオロギだと? じゃあ証拠見せてみろ」
「見せれねぇのか。じゃあ駄目に決まってんだろ」
「俺は証拠至上主義なんだよ。ここだけはお前と同意見だわ。さあ、死んでくれ」
対象
大学生の里崎真衣をはじめ自身の美容院でアルバイトをしていた女性を少なくとも5人は異常性癖を満たす為に刺して瀕死にした挙句、共犯の「うえだワニ園」の園長が保有するワニに生きたまま食わせるという連続殺人を働いた上、事件を調べていた依頼人の知人の探偵に逆ギレし同様にワニに食わせて殺害した猟奇殺人鬼の水前寺智光に執行。
天羽組の南雲梗平の担当美容師も被害に遭った為、彼と共闘する形で捕獲した。
概要
以前の直腸スコープの発展型で、蟲屋の利平の協力の元、エンマコオロギを満載した虫籠に特殊なチューブをセットし、それを罪人の耳に押し込み、虫籠を熱することでコオロギを罪人の脳内に移動させ、耳から脳みそを食い荒らさせるというもの。
経過
突入時、水前寺は大型クロコダイル2匹を向かわせていたが、1匹は南雲の火炎瓶で丸焼きにされ、もう1匹は銃でハチの巣にされた。
まず共犯の鰐園園長の植田は伊集院によりワニの生簀に叩き落とされ、ワニの餌にされた。そして水前寺自身は南雲による強烈なアッパーカットをモロに喰らい気絶。伊集院に捕獲された。
水前寺を拷問室に叩き込んだ伊集院は踵落としで水前寺を叩き起こし罪の意識を問うが、罪の意識以前に水前寺は壊れたスピーカーのように証拠証拠と喚き散らした。「ならば『やっていない』と言う証拠見せろ」「目を見れば(やったか否か)わかる。舐めるな」とキレた伊集院は早速刑を執行。さらにコオロギが出てこられないよう、流川が耳と鼻を縫い合わせた。
伊集院は意趣返しのために水前寺に脳の中に入っているものを見せろと聞く。水前寺はコオロギがいると泣き叫ぶも脳内のコオロギを取り出せるわけがなく、「証拠がないから無効」の意趣返しを喰らい、13時間後目から涙の代わりに脳漿をぶちまけて死亡した。
今回の登場人物
- 水前寺智光(すいぜんじ ともみつ)
今回の断罪対象その1。美容院のオーナー店長。
その正体は自分が好意を持った人間が苦しむ姿に興奮する嗜虐趣味を持つ猟奇殺人鬼であり、真衣と幸子を含む5人の女性スタッフを襲い、女性の髪の毛を掴んだ状態でワニに食べさせる形で殺害していた。また、その時掴んでいた髪の毛をコレクションにする癖がある。
- 植田(うえだ)
「うえだワニ園」の経営者。
水前寺の猟奇殺人に協力しており、自分の経営する園で飼っているワニ達に遺体を食べさせている。その為、水前寺から謝礼として金を貰っている。
最期は伊集院によってワニの水槽に突き落とされ、無惨に食い殺された。
- 里崎(さとざき)
今回の依頼人。妻を飲酒運転の事故で失い、男手一つで真衣を育てた。真衣が行方不明になり、探偵をやっている友人の菅田に依頼するが、菅田も行方不明になってしまう。
その後、菅田の妻から菅田の手紙を貰い、伍代に接触し、彼から事件の真相や真衣達の最期を知った。伍代の紹介で伊集院の元に訪れ、真衣と菅田の敵討ちを依頼した。
- 里崎真衣(さとざき まい)
今回の被害者その1。里崎の娘で、大学生。父の誕生日プレゼントを買う為、社会経験も兼ねて大学近くの美容院でアルバイトを始めた。しかし、水前寺に襲われ、ワニに食い殺された。真衣の髪の毛は水前寺がコレクションしていたが、白永によって里崎の手に渡った。 また、水前寺に襲われる前、父の誕生日プレゼントとして御猪口を購入していた。
- 菅田(すだ)
今回の被害者その2。里崎の学生時代からの友人であり、真衣とも交流があった。
職業は探偵であり、伍代とは情報仲間。
里崎からの依頼で水前寺を尾行していたが、水前寺に捕まり、ワニに食い殺された。
亡くなる前、殺される事を想定し、伍代の連絡先を書き記した手紙を妻に託した。
- 幸子(さちこ)
今回の被害者その3。名前のみの登場。
天羽組のシマである美容院で働いている女性美容師。南雲の担当スタッフであり、南雲曰く「可愛くて華奢で良い子」との事。
真衣と同様、水前寺に襲われ、ワニに食い殺された。
- 菅田の妻
菅田の死後、里崎の元に訪れ、夫から託された手紙を渡した。
- 白永(しらなが)
伍代の知り合いの空き巣のプロ。水前寺の美容院に侵入し、真衣の髪の毛を盗み、里崎に渡した。
今回のゲストキャラ。天羽組の武闘派構成員。
自分の担当であった幸子が水前寺に殺された事を知り、彼女の仇を討つ為、ワニ園に訪れ、偶然出会った伊集院達に同行。水前寺達が放ったクロコダイルを火炎瓶やピストルで一掃し、水前寺を殴り倒した。その後、「伊集院さんに預けた方が(水前寺は)えげつない死に方をする」と、水前寺の身柄を伊集院に譲った。幸子の事をよっぽど大切に思っていたらしく、去る際は彼女の名前を口にしながら大泣きしていた。
モデル
手にかけたのは主に女性で、証拠隠滅のためにワニに食わせていたという犯行の類似から水前寺のモデルはおそらく1930年代のアメリカの連続殺人鬼「ジョー・ボール」だと思われる。ジョー・ボールは姿を見せなくなった「ソーシャブル・イン」という名のボール自身が自営していた酒場のウェイトレスの1人に失踪届けが出されたことと、女の手足を放り投げている姿を見たという噂から警察の捜査がボールの店に及び、保安官2名が店を尋ねた時レジスターの下に隠してある銃を取り出し自分の心臓を撃ち抜いて自決している。
そのあと、酒場で雑用係として働いていた男の供述によれば当時の捜査官に「店の裏側で5頭のワニを飼って凌辱して殺した女性を食わせていた」、「ボールは少なくともこのこの女性2名以外に、少なくとも20名の女性を殺害した上、ワニたちの餌にした」と証言したとのことだった(この証言をした雑用係の男も、ボールが殺した女性2名の死体遺棄を幇助した容疑をかけられた)。
しかし、実際にはワニが女性たち誰か1人でも食べたという確たる証拠は得られなかったためかボールが証拠隠滅で飼っていたワニたちはそのあとテキサス動物園に引き取られている。
おそらく(酒場ではなく美容院だが)自分の店を経営していたところと自分の欲を満たすために女性に手をかけていた部分は水前寺が、証拠隠滅のためワニを育てていたという要素は共犯である植田に引き継がれたのだろう。
ちなみに似た事件をかなり前に取り上げている
関連タグ
有刺鉄線:同じく罪人が快楽殺人鬼。