概要
別名命命鳥(めいめいちょう)、生生鳥(せいせいちょう)。
極楽に棲む鮮やかな人面鳥で、なぜか頭が二つある。かつては雪山(せっせん。ヒマラヤ)で暮らしていたらしい。
気持ち悪い見た目だが害を為す存在ではなく、キレイな声で「他を滅ぼすは己をも滅ぼし、他を生かすは己も生かす」と仏の教えを伝え、これを聴いた者に仏法僧の三宝を念じさせるとされる。
周りを大事にしようね。
日本では「ぐみょうちょう」とか「ぐみょうのとり」と呼ばれるが、サンスクリット語(古いインド語。梵語)ではジーヴァンジーヴァカ(Jivamjivaka)、中国語ではコンミンニャオ(Gongmingniao)、韓国語ではコンミョンジョ(Gongmyeongjo)と呼ぶ。
ものがたり
それぞれの頭にはカルダとウバカルダという名前があり、片方が眠れば片方が起きているというように別の意思を持っているとされる。
しかしとにかく仲が悪かったため喧嘩ばかりしており、そんなこいつには釈尊ことブッダが弟子に語った法話が伝わっている。
カルダはある時、摩頭迦という美味しい果実を食べた。しかしウバカルダは眠っていたので食べようがなく、そんなものを一人占め(?)したカルダに対して恨みをもった。カルダは「体は共有しているのだから、摩頭迦を食べれば自分とウバカルダ双方が満腹になり、利益になる」と考えていたのだが、ウバカルダは単に「そんな美味いものを俺が寝ている間に食いやがって!!」と怒っていたのだ。
まあ食べ物の恨みとでもいうことなのか、ウバカルダはなんとしてでもカルダに仕返しをしてやりたいと考え、カルダが眠ったスキに猛毒の実を食べた(巧みにカルダを唆して食べさせたと解釈されることもある)。
体を共有しているので、毒に当たればカルダを道連れにできると考えたウバカルダの報復だったが、これを知ったカルダは死に際に
「怒り、貪り、愚かさには徳はない。これらは自他を傷つけ、滅ぼし、不幸にするからだ」
と諭して息絶えた。当然ウバカルダもその直後に死んだ。
これは要するに「身勝手な言動は互いを傷つける」という戒めだが、そこは宗教的なお話。
釈尊(ブッダ)はカルダを自身に、ウバカルダを提婆達多(だいばだった。ブッダの元弟子だが離反して別の派閥を立ち上げた。ちなみに姻戚上ブッダの義兄弟)に例え、「わたしが仏法の尊さを説いても、提婆達多はそれを恨み、我々に害を与えようとしているのです」とした。
これは「なぜブッダと提婆達多は対立しているのですか?」という問いに対するアンサーであり、「元々不仲だった共命鳥の頭それぞれがこの二人になったから」と託つけたのであった。
関連タグ
迦陵頻伽:同じく極楽浄土に住んでいるとされる鳥。人面鳥だがセイレーンに近いビジュアル。
人面鳩:極楽からやって来たとされる人面の金ピカな鳩。こちらは仏教ではなく都市伝説に近い存在。
ジヘッド:頭が二つある・それぞれの頭は不仲という設定つながり。