概要
味覚が鈍く、複雑で繊細な味を感じ取ることができない、または味の感じ方や好みが極端に変わっていて、周囲と合わないような様子、そのような人のこと。
いわゆる「舌が肥えている」とは反対の存在だが、沢山のものを味わってもなお味音痴という人はいる。
味を感じるのは「味蕾(みらい)」という舌にある味覚器官である。味音痴の人(味覚障害の人)は、この味蕾の細胞が正常に働いていない、造られていない状態といえる。
出身の地域や育ってきた環境によって食べ物の味やその捉え方が異なる(例えば関東では濃口醤油が、関西では薄口醤油が好まれるなど)ため、一概に周囲と違うように感じるだけでは味音痴とはいえない。
同時に、食品会社などの官能調査員(味や匂いを自分の感覚で分析する専門家)と一般市民では当然味覚の鋭さに差があるように、食事そのものの経験が少なかったり、似た味のものばかりを食べているので他の食べ物に慣れていなかったりするときも、必ずしも味音痴であるとはいえない。また、語彙に乏しく、味を言葉でうまく表現できない場合は味音痴ではない。
実際に味音痴かどうかは、周囲との比較に加え医師の診断が必要である。
味音痴の原因
以下が主な理由として考えられる。
- 偏食の結果、他のものの味がわからなかったり極端な感じ方をする
- 食事や食べ物の味に興味が薄く、食べられれば何でもいいと思っている
- 濃い味に慣れてしまっているため、薄味では味がしないように感じる
- 実際に味覚や嗅覚に異常がある
- 貧乏、貧困を経験しているため食せる範囲が広い(いわゆる貧乏舌)
1の場合、単なる好き嫌いだけではなく、非常に味覚や嗅覚が敏感なため他の食べ物を受け入れられず、結果として味音痴(食べ物を一つの指標だけで感じ取ろうとする)に陥っていることもある。
また、マヨラーなど「一つの味の濃いものだけを食べ続ける」ような場合は1・3の両方に該当するといえる。
2の場合、味の許容範囲が広く、ある程度何を食べてもおいしいと感じるため、他の人がまずいと思っているものでも気にならないということがある。また、「味そのものは普通に感じているが、実際の食事ではそれほど気にしない・気を遣って味が気にならない振りをしている」といった場合も見られる。
3の場合、地域差や育った環境も影響するため、必ずしも味音痴であるとは限らない。
「濃くてまずい」「薄くておいしい」は同時に成立するので、この場合は繊細な差がわからないことを指す。
極端な味つけを好むせいで味覚障害が起こるという事例は、近年では10代・20代にも増えてきていると言われている。
4の場合、ここで取り上げている味音痴とは少し話が変わってくる。
何を食べても全く味がしなくなった、甘みや酸味など、特定の味が分からない(いつもと違う味がする)、普段と比べて調味料が増えたなど、もともと味音痴ではない人が味音痴になってしまった場合は注意が必要である。
細胞の再生に使われる亜鉛が不足すると、真っ先にダメージを受けるのが味蕾の細胞である。そのため、亜鉛などの栄養素が不足すると味覚障害が起こりやすい。
他にも、ストレスで神経の動きが鈍ること、鼻炎などで嗅覚が鈍ること、ドライマウスなど、口の中(口腔)の環境が悪くなることなども原因とされる。また、薬の副作用で味覚障害が起こることも確認されている。
1・3のような偏った食生活が原因で細胞が破壊されている場合ももちろんある。いずれにせよ、味が感じにくくなったと思ったら病院で相談するのが望ましい。
創作での味音痴
創作においては、味音痴なキャラクターが作中で「不味い」と言われているものを普通に食べている(ときに好んでいる)というシチュエーションが度々描かれる。また、壊滅的に料理下手なキャラクターが作ったものでも(周囲の面々がその不味さに悶絶する中で)物ともせずに食するという光景もしばしば見られ、両者が揃って登場するというシチュエーションも多い。
また、味音痴と料理下手を兼ね備えているキャラクターが、「自分が食べて大丈夫なんだからこれで大丈夫だろう」と他の人が食べる場合はどう考えても大丈夫ではない料理を出すというパターンも存在する。
なお、現在のpixivで「味音痴」ないし「味覚音痴」で検索すると高確率でヘタリアの味覚音痴コンビが引っかかる。
類似のタグで味音痴コンビ、味音痴兄弟、味音痴の楽園というのもある。
関連タグ
料理下手:味音痴と一緒に兼ね備えていると最悪の結果になる特徴。
貧乏舌:何を食べても美味しいと感じるある意味幸せな人の事である。