概要
土鬼は民族名で、「ドルク」と読む。民族名のみならず、国名としても単に土鬼と呼ぶことが多い。土鬼諸侯国と略す場合もある。包括的な歴史における国土、国名を指す場合は「土鬼諸侯国連合」だが、作中では帝政を執っている為、作中における現国名を指す場合であれば「土鬼諸侯国連合帝国」となる。2代前は皇帝ではなく土王と呼ばれる王族が治めていたとされており、帝国ではなかったため、また別の国名が使われていたはずである。全体的な風俗は南アジア・中央アジアを思わせるものが多い。風の谷がある辺境地域からは腐海を隔てた南にある。
国家元首は神聖皇帝。統治者としては2代目だが、皇帝は旧世界の技術により長命を維持しているため、帝政になってから既に数百年を経ている。
現在の神聖皇帝は2人で、初代神聖皇帝の息子達である兄のナムリスと弟のミラルパが兄弟で皇帝を継いでいる(いわゆる共同君主)。しかしそれは表向きで、実権は強大な超常能力者であるミラルパにある。
トルメキアと双璧を成す、作中屈指の大国であり、皇帝領、7つの大侯国、20余の小侯国、23の小部族国家の計51ヵ国の集合体という、連合国家の体を成している。
神聖皇帝を頂点に、宗教権威たる僧会が官僚機構として国政を取り仕切っている。
その昔は、「土王」の一族たるクルバルカ家が土鬼の地を治めていたが、初代神聖皇帝によって滅ぼされ、現在の国家体制が形作られた。
首都は「旧世界の墓所」がある聖都シュワ。土王時代から首都は変わらない。
物語は3巻~最終巻まで全てこの土鬼を舞台に進んでいく。
聖都シュワにある墓所の主との契約により、旧世界の技術を駆使できる。
その技術は、防毒マスクでも防げない瘴気を放つ粘菌や、人造の不死身兵士ヒドラ、巨神の復活等、禁忌とも言える禍々しい技術も含まれる。
以上のように、技術面では敵対国トルメキアに対して優位に立っているとも言える(しかしこれらの技術は皇帝や僧会によって厳しく制限されているため、トルメキアに対し絶対的優位をもっているとは言い難い面もある)。
また連合国家ゆえに纏まりに欠け、内部抗争が絶えない。敵対するトルメキアも王族同士がいがみ合うが、土鬼では皇帝兄弟同士の対立に加え、僧会、諸領、諸部族同士でも諍いが続くという複雑かつ深刻なものであり、それ故、宗教的権威も利用した恐怖政治による統治が行われていた。ナムリスは「最初は名君だったミラルパだが、(争いをやめない)愚かなままな土鬼の民をやがて憎むようになった(故に恐怖で支配した)」と言っている。更に「父・初代神聖皇帝がかつて土王を倒し自らの帝国を築けたのも、クルバルカの歴代土王達の圧政と狂気に疲弊した土鬼の民が新たな王を望んでいたからに過ぎない」とも述べている。土鬼の根底にあるこの問題は、土王時代から本質的に変わらなかったようである。
世界の秘密を握っている国であるため、主人公ナウシカはかなり序盤から土鬼の地へ渡り、その後は作中で一度も風の谷へは戻ることはない。
関連タグ
作品:風の谷のナウシカ
技術:巨神兵