概要
南北朝臨済宗禅僧。伊勢国出。父は近江源氏佐々木朝綱。歴代天皇から国師号を7度にわたり賜与され、七朝帝師と称された。夢想派の祖。日本文化史に大きな影響を残した。甲斐平塩寺・空阿の弟子になり東大寺で受戒。後醍醐天皇に才能を見出された。足利尊氏、足利直義兄弟も尊敬した。
観応の擾乱では天皇の勅使を携え調停役を務め、高師直と直義の両者を裁いた。
人物
- 「仏界の相を愛すれば即ち魔界なり、魔界の相を忘ずれば即ち仏界なり、真実修道の人は仏界をも愛せず魔界をも恐れず」
⋯という言葉を残している。夢窓疎石は尊氏を「勇気・慈悲・無欲を備えた前代未聞の将軍」と評しており、マキャヴェリがチェーザレ・ボルジアを「理想の君主」と評したような、太平記に描かれる尊氏像とは異なる姿を見出している。
- 「それ道に去来生死の相なく、また安危治乱の変なし」
⋯辞世の句。仏の道に行く帰る死ぬ生きるの違いなく,また安全危険治まる乱れるの変化はない