「この世で唯一価値のあるモノは―――」
「善人です この私のような」
概要
カラス銀行に所属しているギャンブラーの一人。ランクは1/2ライフで職業は神父。
伊藤班が担当権を保有しており、劇中では御手洗が担当に着く形で主人公の真経津と対決した。
神父という職業柄ということもあり穏やかな話し方をするが、その本性は神の狂気的な信奉者であり、自身を善人として疑わず容赦なく悪を罰しようとする異常者。神父らしく折に触れて神の許しを得るよう諭すような言い方で、全方位を煽る等、少なくとも善人と言い切れる人格ではない。
懺悔室で告白された罪を第三者にリークするなど悪を罰するためには手段を選ばず、そのことが原因で追い詰められ自殺した人物も多い。
一方で咎人と認定しなかった相手には神父らしく話を聞くこともあり、御手洗が現状に迷っていることに気付いた際には「その迷いに蓋をして誤魔化さず、目を逸らすことなく自分の心を見つめ続けろ」とアドバイスを送っている(迷いを持つ御手洗が足を引っ張る可能性を考慮したためでもあるが)。
懺悔室に来る人間に対しては内心は「まともな奴が懺悔などするわけがない(懺悔するような罪など犯さないか、自首等の自裁を行うはず)」「罪を告白したつもりで許された気になってるだけのやつら」と軽蔑している(少なくとも作中に出てきたのは犯罪や虐待を正当化しようとするような救いようのない連中ばかりだった)。
「堕ちた者達は堕ちる事に慣れ、自ら出向いた懺悔室の中でさえ己に嘘をつく」
「見守っている近くの人間の苦言より、実在すら怪しい他人の甘言を信じる」
「…その究極系が、"神は全てを赦される"」
「だがほんの数秒だけでもその曇り切った脳みそを正しく使えれば分かるはずだ」
「神様がどうこう以前に!!!人が許すワケねェだろォがバアァァァアカ!!!」
実力としては1/2ライフということもあり高く、真経津との読み合いでは(真経津の狙い通りだった部分はあったものの)終盤まで圧倒していた。
また驚異的な動体視力を有しており、真経津の手の動きからカードの配置を当てるほどの正確性を持つ。それだけでなく、持ち前の狂気と話術で真の目的を悟らせることなく人を操ることができるなど敵にすると実に厄介な存在と言える。
活躍
伊藤班のギャンブラーとして対抗戦で宇佐美班の真経津と「ブルー・テンパランス」で対戦。事前にゲームの仕様書を読んでいた御手洗から罠の存在を知らされたため、比較的有利な状態で戦いに望むこととなった。
序盤は読み合いに勝ち石を増やすと同時に、真経津にも自身の選択肢を増やすためだけに石を渡すという異常性によって真の目的を隠しつつ優位に立った。
その強さから御手洗も「真経津さんを倒すのはこんな人かもしれない」と、邪悪が渦巻くギャンブルの世界において(過剰とはいえ)善性で戦う彼に期待を抱くようになる。
しかし、減圧で苦しむ真経津の姿を見る天堂の顔は邪悪な笑みを浮かべており…
(この先76話以降のネタバレ注意!)
「君は神を信じている でもそれはどこか遠くの存在なんかじゃなく――」
「君は 君自身を神として信仰している」
「『神』ってのは ただの一人称だ」
真経津が暴いた天堂の正体、それは自らを神として信仰している狂信者だった。
そのため、言動こそ「神の法を絶対とする狂信者」そのものだが、実際のところは「神なんてここ(頭)から出て来れないのだからどう扱ったってかまわない」と宣う「超独善的な無神論者」
自身を神とする天堂は存在を誇示することなく、懺悔室で吐き出される罪を犯しておきながら裁きも受けず許された気になろうとする身勝手な懺悔と言う名の吐瀉物を元に、その懺悔した人物に近い人間にその情報をリークする(懺悔室で聞いた事は内容の重軽問わず、当然ながら同僚にさえ決して漏らしてはならない機密事項である)事で人の罪を晒しあげさらに話術で誘導して自殺に追い込み、それでも自罰(自殺)しないクソ相手には自らの手を汚して本人の言う悪を排除してきたのだった。
その後真経津に石を増やされるものの、実際にはそれは天堂の掌の上の行動であり、その目的は「互いの石の差を保ち続けることで真経津を減圧のダメージで戦闘不能にする」こと。
御手洗に聞かされていた罠は「石の差が100を超えると勝者側の天秤が通気口を完全に塞ぐ」というものであり、これを防ぐためにリードを保ちつつ差が100を超えないよう調整していた。
だが天秤のルールを把握した真経津が徐々に優位に立つようになり、石を増やされただけでなく上着を使いカードを隠されたことでカードの配置を把握できなくなってしまった。
安全策を取り端のカードを選ぼうとするが、真経津が点差を調整しこの状況を作り出していたことを御手洗から指摘されてしまい、頭に血が上り真経津の挑戦を受ける形でカードを選び、結果差が100を超え真経津の通気口が塞がる形となった。
しかしそれこそが真経津の策略であり、加圧状態から一気に減圧状態まで下げることで肺の中で空気が一気に膨張、潜水病に近い多大なダメージを食らうことになってしまった。(破裂かそれに近いダメージを負ったと思われる)
自身の敗北に激しく狼狽するものの、最後は全てを知って操ってみせた真経津の姿に神を見出し、加圧から減圧への変化のダメージにより戦闘不能になり敗北した。
以降の安否は不明だったものの、真経津と交流を結んだようで102話で彼のマンションを訪れた獅子神と村雨の前に姿を現した。世界の中心を自分であると考える黎明とは折り合いの悪さを見せたものの、天堂が暴いた罪人を黎明が監禁するという極悪コンボの提案により和解に至った様子。
ゲームの後遺症かは不明だが目のマークが描かれた眼帯を右目に着けており、負けた事で残高を吐き出してしまったのかランクも一番下の5スロットにまで落ちている。意外にも他が1/2ライフなのを気にしているのか、ランクを言う際にやや居心地が悪そうな素振りを見せるなど、他の面子同様人間らしさが垣間見られるようになった。
その後は5スロットを蹂躙した(オークション行きのギャンブラーの中に彼の被害にあったと思われる人物が何人か見受けられ、特0が「なんで今日はこんなにクズが多いんだ」とボヤき、全員が同じ奴に負けたであろう怨嗟を吐いていた事で「運が悪いだけか」と言っている)ようで、4リンクにまでランクを戻している。当初4リンクにいた村雨と並んでとんだランク詐欺である。
さらに真経津の1ヘッド初戦と時を同じくして1/2ライフに復帰。「強敵と相対し生存した適者は、敗れる前よりもはるかな強者として君臨する」という宇佐美の判断で宇佐美班が彼の担当権を獲得。
宇佐美班所属のギャンブラーとして古巣である伊藤班との解任戦に村雨とタッグで挑むことになる。
余談
- 基本的に彼の言う「神」は自分のことを指しているが、「神は頭の中から出て来れない」理論に則り、相手の「抑圧した感情」や「信念」を「神」と言い換えることがあるため、「神の声を聞け」が「自分(天堂のこと)の言うことを聞け」「お前の本当のやりたいことはなんだ?よく考え直せ」「お前の信念を貫け」の三通りの意味を持つ。そのため必要に応じて読み替えないと彼の言っていることが理解出来ない事がある。
- また、この応用で「自分の中で肥大化した敵のイメージ」も一纏めに「その怪物か妖怪のような相手も頭の中から出て来れないんだから現実ではない、もっとしっかり相手をみろ、目の前の相手は頭の中のソレじゃない」と語っている事もあるなど、自身を神と称する自意識過剰な人格に反して「頭の中」と「現実」の区別をかなりしっかり隔絶させている絶妙なバランス感覚を持っている
- 「神」を僭称する者には「絶対に自分の過ちを認めない」というような悪癖がよくあるが、彼の場合「神は万能だ、当然反省もできる」という理屈で「過ちは過ち、未熟は未熟として認めて改善成長できる」という非常に厄介な性質を持っている。人として真っ当といえばそうなのだが
- 某ゲームの説明にも使われた「持たざる者は持たない故に自由で、だからこそ持つものを討つ」という文言を「生ゴミの自己弁護」「出来ることは周りを巻き込んで自爆するだけ」「危険である以外注目される術を持たない哀れな存在」と吐き捨てている場面が存在する(尤も発案者も「現実にそんな甲斐性のある奴隷なんかいないが、ゲームだから夢を持たせた」と言っているが)
13巻巻末おまけ漫画のネタバレ注意
- 教会の目の前で開催された異教の祭を見て動揺するも(なぜか)「神待ち」と考え、カソックの上半身をはだけさせて櫓で太鼓を叩くという奇行に出た。
その様子を見た真経津・獅子神・村雨・叶が4人揃って見なかったふりを決め込むほどの狂人ぶりである。その後も神輿に乗るという奇行を重ねたが、本人は楽しかったようである。