概要
『姉ちゃんの恋人』とは、フジテレビ系列で2020年10月~12月に火曜ドラマ枠で放送されたドラマ。制作は、カンテレとホリプロが担当した。
主演は有村架純、脚本はNHK連続テレビ小説『ひよっこ』で有名な岡田惠和。有村と岡田のタッグは『ひよっこ』を含め本作で6作目のタッグとなる。
ハロウィーンからクリスマスにかけて女手ひとつで弟3人を養う“肝っ玉姉ちゃん”が職場の男性と恋に落ちながらも懸命に生きていくさまを描くラブ&ホームコメディ。
物語は長男・和輝の視点で俯瞰した姉・桃子と吉岡との恋愛の様子や、和輝の桃子に対する心情を独白するナレーションを挟んで進行する構成となっている。
主題歌は、Mr.Childrenの『Brand New planet』。
登場人物
安達家
両親は交通事故で亡くなっており、現在は長女・桃子、長男・和輝、次男・優輝、三男・朝輝の4人家族。
- 安達桃子(演:有村架純)
本作の主人公。
ホームセンター「T's Craft & Home」葛西店で勤務歴9年の女性。ホームファッション売り場担当。
高校3年生の時に両親を交通事故で亡くしたため、大学進学を断念。それ以降、和輝、優輝、朝輝の3人の弟たちを養うため、叔父の川上に紹介された「T's Craft & Home」に就職した。クリスマスプロジェクトを切っ掛けに出会った配送部の真人と価値観が似ていたことから、彼に恋をする。
仕事やプライベートで真人と交流を深めていき、彼に交際を申し込むが、過去に交際していた女性を守るために起こした傷害事件で前科があることを理由に、桃子に関わることはできないと申し出を断られてしまう。真人からの返事に落ち込むが、最後に観覧車で二人きりになり、恋人になれないという返事を受け止める代わりに、過去の傷害事件に対する真人の正直な気持ちを聞かせて欲しいとお願いし、真人から苦悩や絶望する気持ちを正直に教えてもらったことで彼の人柄に触れ、前言を撤回し、やはり恋人になりたいと再度交際を申し込み、受け入れてもらう。
- 安達和輝(演:髙橋海人(King&Prince))
安達家の長男。農学部の大学3年生。家族のために働き、大学にも通わせてくれた桃子に対して心から感謝している。姉思いで、いつか恩返しをすると心に誓っている優しい弟。過去に恋愛に失敗して傷つく桃子を見てきたため、桃子の恋の気配を感じ取って以降は心配が尽きない。
桃子から生きていくうえで大切な衣食住に関わる仕事に就くことを勧められており、食品会社への就職を希望している。
姉と交際を始めた真人に、姉を傷つけるようなことがあれば許さないと告げた上で、桃子との交際が上手くいくようにお願いする。
桃子の親友・みゆきが初恋の相手で、その思いを告白して交際を申し込み付き合うことになり、クリスマスイブの前日にお互いに交換したプレゼントが全く同じマフラーであったことで、互いを思う気持ちを確認して、キスを交わす。
作中では姉・桃子と吉岡との恋愛の様子や、桃子に対する心情を独白する語り手も務める。
- 安達優輝(演:日向亘)
安達家の二男。高校2年生。将来、建築や住宅デザインの仕事に就職すること見据えて国立大学を目指しつつ、学校が休みの期間限定だがアルバイトをして家計を助けるなど非常に家族思いの性格。
桃子らから「中(ちゅう)」と呼ばれることに不満気である。
- 安達朝輝(演:南出凌嘉)
安達家の三男。葛西北中学校の中学生。幼少期は身体が弱かったが、今では部活でサッカー部に所属し、FCヴォルクというクラブチームから入団テストを勧められ、入団後レギュラーになるほどたくましく成長している。
二人の兄たちがそうしたように、自分も家計を支えるために早くアルバイトをしたいと考えている。
T's Craft & Home 葛西店
桃子や真人たちが勤務するホームセンター。
- 吉岡真人(演:林遣都)
ホームセンター「T's Craft & Home」葛西店の配送部勤務の青年。桃子の恋する相手。
仕事に実直、常に低姿勢で笑顔を絶やさない。フォークリフトの腕が良く、夜勤の仕事も真面目にこなしている。これまで桃子との接点はなかったが、店舗内の各部署から選出されるクリスマスプロジェクトのメンバーに選ばれたことを契機に、桃子と出会う。
ライバル業者の「DIYホームセンター」との草野球の早朝試合に助っ人として呼ばれると、夜勤明けにピッチャーとして途中登板し、ノーアウト満塁のピンチをしのぐ大活躍をする。臼井によると高校野球でいいところまで勝ち進み、助っ人としてサッカー部の試合にも駆り出されていたほど運動神経が抜群。
大学卒業後、希望した食品関係の会社に勤務していたが、3年前、プロポーズを交わした女性・香里が男性2人組に乱暴されたため、彼女を守るのに道端にあった角材で男性たちを殴打して重傷を負わせたことから、刑務所に2年服役した過去があり、世間体から小学校の教員であった両親はともに教員を辞職、教頭であった父は世間からの非難に耐え切れず真人が服役中に自殺している。そのため、過去の傷害事件がトラウマとなって、「自分は幸せになってはいけない、他人と関わりを持ってはいけない」と考えており、桃子からの交際の申し出を断るが、桃子の「一緒に泣こう、一緒に笑おう」と寄り添ってくれる気持ちに触れ、再度申し込まれた桃子からの交際の願いを受け入れる。
- 高田悟志(演:藤木直人)
配送部勤務。真人がホームセンターに就職した当初から彼の前科を承知のうえで気さくに接するなど、彼の良き理解者。明るく饒舌。日南子には「好きになってくれる人が好き」と語る。8人兄弟の5男で、曰く「家庭ではあまり大事にはされていなかった」。
実は「T's Craft & Home」の現社長の御曹司で、現社長の会長就任に伴い次期社長に就任することが内定しており、社内や社員たちの内情を知るために身分を隠して葛西店の配送部で勤務していた。
社長就任の12月24日の開店前に花束を持って日南子にプロポーズし、今後も日南子が葛西店に勤務することを条件にプロポーズを受け入れてもらう。
真人の前では稀に「マナティ」と呼称する等子供染みた言動が多く、社長就任後もそれは変わらず真人から「子供か!子供社長か!」と窘められる始末。
- 市原日南子(演:小池栄子)
ホームファッション売り場のチーフ。仕事では頼りがいがあるが、恋愛に対しては不器用。
日頃からよく仕事を頑張っている桃子を店舗のクリスマスプロジェクトのリーダーに推薦するなど桃子を高く評価しており、真人に交際の申し出を断られ落ち込んでいた桃子を沙織と励ますなど面倒見もよい。
バーで偶然出会った悟志に一目惚れし、彼に積極的にアプローチをかける。悟志に交際を申し込んで以降は久々の恋愛に浮き足立って仕事でミスを連発し、悟志からハグされた翌日にはそのことばかり思い出し意味もなく職場内を歩き回るなど彼に夢中になっており、彼が12月24日で異動となることを知るとショックを受ける。悟志に異動のことを確認しようとした際、偶然彼がT's Craft & Homeの社長であることを知り、新社長の悟志が葛西店に勤務していたのは社内の内情を知る調査のためで、自分との交際はその調査の一環と受け止め、社長と従業員の恋愛が成就するはずがないと思っていたが、思いがけず開店前の時間に悟志からプロポーズを受け、今後も葛西店に勤務を許してもらうことを条件に、彼のプロポーズを受け入れる。
桃子の関係者
- 川上菊雄(演:光石研)
桃子の叔父。亡くなった桃子の父の弟。急遽働かなければならなくなった桃子の就職先にホームセンターを紹介した。
真人の保護司を務めており、彼の人となりを理解しているはずが、両親を亡くしてこれまで苦労してきた桃子が前科のある真人と交際することで更に苦労するのではないかと苦悩しており、二人の交際を素直に応援できない胸の内を真人の母・貴子に吐露する。また、黙っていることができないと、桃子の帰宅を待ち伏せし、うそをつくことができないからと真人には前科があることを桃子に正直に伝えている。しかし、桃子と真人がいざ交際することになると二人のことを応援する。
藤吉が貴子に気があることを察しており、貴子に思いを伝えるよう藤吉の恋を応援する。
- 浜野みゆき(演:奈緒)
桃子の幼なじみ。桃子が家族にも職場の仲間にも言えない悩みを打ち明けられる大事な存在。
自分の弟のように思いかわいがっていた桃子の弟・和輝から交際を申し込まれ、戸惑いを感じつつも異性として意識してデートを重ねるようになる。和輝との交際の件を桃子に好意的に受け入れられないのではないかとなかなか言い出せないでいたが、取り越し苦労で桃子からは二人の交際を祝福される。後日、クリスマスイブの前日に和輝とお互いに交換したプレゼントが全く同じマフラーであったことで、互いを思う気持ちを確認して、キスを交わす。
旅行会社勤務であったがコロナ禍の影響で会社が潰れ失業し落ち込んでいたが、イブの日に新しい勤め先が決まり、葛西店で開かれたクリスマスパーティーでそのことを桃子に報告し、二人で抱き合い大喜びする。
真人の関係者
- 吉岡貴子(演:和久井映見)
真人の母。元小学校教員。
3年前、真人の傷害事件が原因で教頭を務めていた夫とともに小学校教員を辞職したが、夫は世間からの非難に耐えられず自死してしまい、現在は社会復帰した真人とアパートで二人暮らし。弁当店「藤吉」にパート勤めをしている。傷害事件以降、塞ぎ込んでいた真人の行末を心配していたが、桃子が息子の恋人になってくれ、積極的に自分にも接してくれることを喜んでいる。
- 武部香里(演:小林涼子)
真人の元交際相手。パーティーなどの料理のコーディネーターとして働いている。
3年前、男性2人組から乱暴されたところを真人に助け出されるが、世間体を気にして警察に乱暴された事実はないと証言したため、真人が一方的に男性たちに暴行を働いたということで裁判が進められ、真人が実刑判決を受ける遠因を作り出している。