概要
「私は薔薇の花嫁。今日から私は、貴方の花です」
決闘の勝者と「エンゲージ」し、「世界を革命する力」を与える「薔薇の花嫁」。
紫色の髪に緑色の瞳・褐色の肌という容貌。
ウエーブがかった非常に長い髪を普段は編み込んでいる。
掴みどころがなく謎めいた雰囲気で、ウテナ以外の女子生徒には疎まれているが男子生徒に人気があり、西園寺莢一・薫幹からも恋心を寄せられている。
チュチュというペットを飼っており、日々温室でバラの世話をしている。
主体性が無く、決闘の勝者に従属するだけの生活を送るが、ウテナとエンゲージしたことで精神的な変化が現れるように思われたが・・・。
関連イラスト
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マハトマ・ガンジー 元ネタ説がある
ネタバレを含みますので閲覧には注意して下さい |
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「抑圧された自我」の象徴であり、この「自我の解放」すなわちアンシーの「(精神的)革命」が本作のテーマである。
よって、アンシーが主人公だとも言える。
(オープニングテーマ「輪舞revolution」の歌詞はウテナのテーマだと考える人が多いが、実はアンシーのテーマである)
[生徒会編]
彼女とエンゲージすると「世界を革命する力」が与えられると言われる「薔薇の花嫁」
鳳学園生徒会のメンバーでもあるデュエリスト達が繰り広げている決闘ゲームの優勝賞品である。
失われた王子様の力の結晶たる「ディオスの剣」を体内に宿しており、彼女とエンゲージしたデュエリストのみがその剣を抜く事が出来る。
物語開始時点では西園寺が彼女を『所有』していたが、西園寺がウテナに敗れた為、その夜から寮内のウテナの部屋に移り住み、ウテナに仕える事を告げる。
決闘で女の子を奪い合っているという事実に憤慨し、アンシーを運命から解放してみせると息巻くウテナの様を、従順に振る舞いながらも冷ややかに見ており、稀に酷薄な素顔を垣間見せていた。
冬芽に敗れたウテナの元を一旦は離れるが、再び立ち上がったウテナのひたむきさにかって自分が愛したディオスの姿を一瞬、重ね見てしまい、自分でも思いがけず、ウテナに加勢していた。
[黒薔薇編]
千唾馬宮を新たに薔薇の花嫁の座に据えようと目論む御影草時の繰り出す「黒薔薇のデュエリスト」達に命を狙われる事となる。
だがそんな事態すらもあまり気にならないのか、この時期は何故だかいつも眠そうにやたらとあくびや居眠りばかりしているが……。
実は現在、御影の傍らにいる馬宮はアンシーの変装した偽物である。眠そうにしてたのは一人二役(アンシーと馬宮)で忙しかった為。
[鳳暁生編]
ウテナと共に寮を離れ、兄・暁生の居る理事長室に移る事になる。
「十年後も笑って一緒にお茶が飲める友達になろう」と言うウテナに徐々に心を開いていっているかの様にも見えるが、一方で暁生に誘惑され、籠絡されていくウテナの様をどこか突き放した様な表情で眺めてもいた。
また一時期、理事長室に居候していた七実に暁生とまぐわっている姿を目撃されている。
兄妹二人で立派に近親相姦を地で突っ走っているのである
翌朝、何食わぬ顔で普段と変わらず、七実とウテナに接する兄妹に、七実は背筋を凍らせる。
[黙示録編]
影絵少女達の演劇「薔薇物語」で明かされたその正体は、かって民衆を守る事に忙殺されていた王子様を守る為に、王子様を封印した「王子様の妹」
王子様の妹なので、世界中の女の子の中で唯一、お姫様になる事が出来ない。
王子様を封印した事で「魔女」と罵られ、民衆の憎悪を一身に受ける事となり、常に百万本の剣にその身を貫かれる痛みに耐えている。
だが、彼女がそうまでして守った王子様=ディオスはいつしか純粋なひたむきさを忘れた大人となり、世界の果て=鳳暁生と成り果て、失われた王子の力を取り戻す為に、ひたむきな若者達=デュエリスト達による決闘ゲームを仕組んだ。
妹を救う為でなく、自らの野心の為に。
アンシーがエンゲージした者に与える「世界を革命する力」(「永遠のもの」「光り輝くもの」「奇跡」)とはアンシーの王子様になったことによって最終的に得る副産物でアンシー自体に何か特別な力があるわけではなく、(世界中の女の子をお姫様にする)薔薇の王子様を復活させることが決闘ゲームの当初の目的である。生徒会メンバーが世界を革命する力を欲したところでエンゲージしたら得られると思い込みアンシーの王子様になるという目的に辿り着けず、ディオスの剣は出現してもディオスの力は得られないが故にウテナに敗退している。
樹璃にいたっては「エンゲージしても奇跡の力なんてないと否定したい」がためにウテナに実力で負けることはなくても勝利することが叶わなかった。1度勝利した冬芽はある程度「王子様になる」という目的に近づいたものの、決闘勝利前までは薔薇園が領地のお姫様として扱っていたが勝利後はアンシーの目の前で他の女の子とキスする等空気のような扱いをしてしまいアンシーから理想の王子様でないと判断されウテナとの再戦でディオスの剣が消失してしまう。
アンシー本人は「王子様を封印して世界中のお姫様から奪った」だけであって魔術や呪いなど魔女らしい力は持っておらず、王子様の消失が物語における最初の世界の革命ともいえる。仮にアンシーが王子様を封印しなくてもすでに力を使いすぎて弱っていたディオスは死んでしまい、王子様がいない世界になっていたはずである。
アンシーとエンゲージしたウテナは世界を革命する力を求めていたわけではなくただ一緒にいる日常を幸せだったと言っており(その前に暁生はアンシーと一緒にいて疲れるはずと話しているがそれを否定している)力に固執していたわけではない。ウテナとエンゲージしたことによりアンシーの王子様を決める決闘ゲームはウテナが勝利し続けるも女の子であるために本物の王子様にはなれないジレンマが生まれ、暁生はその力を自分のものにしようと動き始めた。
ちなみに物語当初、生徒会編ではアンシーが暁生と一緒にいるところをウテナが一切関知できず、黒薔薇編からアンシーはウキウキで「週に一度は」逢うようになり、鳳暁生編ではアンシーが嫌がるそぶりを見せ、黙示録編では理事長館にルームメイトと一緒に引っ越して暮らすようになり毎晩理事長室に呼ばれるようになる。この度に例の行為が行われていたと想像できるが頻度が急速に上がり、37話では暁生とのドライブで苦しんでいるシーンがある。肉体関係により(お姫様にはなれないが)『女としての幸せ(心安らかに)』『男からの支配』を同時に植え付けられていたがウテナに影響されたせいか継続できなくなり、ドライブで外の世界(現実)の恐ろしさを教えられ再び暁生の支配下に留まるように強制的に説得されていたと思われる。
通常、血縁の近い者同士は遺伝子上性的好意を抱きにくいとされる。ましてや生まれてから片時も離れていない冬芽と七実、幹と梢もお互いに強い執着はあるものの肉体関係にまで発展していない。
アンシーの王子様との回想で「わかりました。これからは、あなたと共に生きてゆきます」と発言があるが生まれてからずっと共に育ってきた環境ならばまず出ない。
二人だけの兄妹との発言があり、仮に兄が正当な王子様ならば両親は王族であり、同じ両親であるならばアンシーは王子様と愛し合うお姫様でなくとも、王族の中での地位としてのお姫様に収まり、他国の王子ないし国内の地位の高い家に嫁がせるのが定番であろう。
しかし34話の回想ではディオスは王子様らしい豪華な衣装に対してアンシーは人里離れた山小屋にボロボロの服であり明らかに一国の姫の扱いではないことから兄妹とはいえ両親が同じではなく腹違いの兄妹だったのではないか、との仮説が生まれる。王である父親と王妃との間に生まれた暁生、もっと地位が低く側室にもなれなかった母親の間に生まれたのがアンシーであり、父親あるいは親族全員が亡くなってしまい一緒に暮らすようになったのなら上記のセリフや兄妹でもお互いを異性として見る可能性が生まれる。ログハウスに集まった王子様を求める民衆に「ディオスはもういないわ」と言っており(直前に「お兄様」と呼んでいる)、二人が兄妹であるという認識が民衆にはなかったことからもアンシーの存在は秘匿されていたようである。
暁生とアンシーの関係を知り、打ちひしがれながらも、それでもアンシーを運命から解放する王子様になる事を改めて決意し「世界の果て」との決闘に臨むウテナ、
だがアンシーはそんなウテナを……、
後ろから剣を刺し、そして.....
劇場版
紫の髪に緑の瞳・褐色の肌は変わりないものの眼鏡を外したストレートヘア。ドレスも赤一色のプリンセスラインだったのがタイトなラインに赤と白が基調の深い前スリットのワンピースと白いオーバースカートといった妖艶さが強いデザインになっている。額のビンディらしき模様も大きくなっている。
鳳学園の中を「自分は理事長(代理)の妹だから特別」と自由に出入りし、クラスの中にも同性の友人がいるなどテレビアニメ版よりも意思が垣間見える。エンゲージした相手の部屋に夜中に押し掛けるなど積極性が強く感じられるが何を考えているのかつかめないところは相変わらず。
…実は婚約者のいる兄が自分に並々ならぬ感情を持っているのは知っており、睡眠薬で眠らせた隙にあれこれしていたのを知りながら「自分の王子様だから何をしてもいい」と許していた。暁生は自分はそんなことが許されていい存在ではないと受け入れられず、混乱して画材のパレットナイフでアンシーを傷つけた後に転落死した。
作中ではその死体の場所の真上に十字の支柱が複数ある真っ赤な薔薇園が存在している。ウテナが学園の中で薔薇の刻印の指輪を見つけたのは暁生の死体が埋まっているであろう薔薇園の中の白薔薇である。アンシーが初登場し、気が動転したウテナがアンシーに掴みかかった後に水浸しにした薔薇園はその真上、学園で一番高い場所に位置している。
中学2年生なのに精神的に成熟しきっているのは変わりないが長い間生きていたであろう確証が他のメディアほどなく(鳳暁生が学園にいないと周囲にはっきり認識されていないためその頃から時間が止まっているかのよう)、学園の外が迫りくる城以外荒野が広がっていることから時間の経過によりディストピア状態だった可能性もある。
劇場版では一瞬、幼少期のアンシーが豪華なドレスを着て城の中に動けないディオスを匿っているシーンがあり、特殊な力を持ちつつも王族でお姫様だった可能性が高い(ハエの王を王子様に変えてしまった、という発言は冬芽と電話をする暁生である。アンシーにそのような自覚はない)。こちらはアンシーが本物のお姫様だったが側室との間に暁生が先に生まれてしまった可能性がある。故に彼は地位や力に固執して現実(写真)ではなく自分が描く理想(絵画)にこだわっていた、のかもしれない。王子様が死んでから「永遠のもの」「奇跡」「輝くもの」がある天空の城が現れ、薔薇の花嫁になった。
最終的に自分の王子様に別れを告げ、様々な妨害に合いながらウテナと共に学園の外を目指す。