子狐(鈴奈庵)
こぎつね
『東方Project』の書籍作品『東方鈴奈庵』に登場するキャラクター。同作第十八話及び第十九話(「 狐疑逡巡する貸本屋 」前後編)のエピソードに関連するキャラクターである。
個人名は作中では語られていないため、pixivではその正体と登場した作品名から「子狐(鈴奈庵)」と呼ばれている。
人間の里に子供の姿に化けて入り込み寺子屋で様々な勉強にいそしむ子狐で、国語や算数、歴史などをはじめ人間の文字も学んでいる。その際に、障子紙をメモがわりにした事で怪異として人々の目に触れることとなり、これを発端として『鈴奈庵』のエピソードの一つが語られることとなるのである。
人間の里に入って勉強をするという熱心な一面の他、「 その御札 こわくなし 」などの言葉を障子紙に書き込んで自分を暴こうとする博麗の巫女をからかってみるなど、強気な一面または子どもらしい悪戯っぽい一面も持つ。
後に本居小鈴のアイデアもあって、障子に謎の文字が書かれるという怪異は終息するのだが、その後も勉強にいそしんでいた様子で、エピソードの経緯から小鈴との縁も生まれている。
同門の子供たちは障子に書かれている内容から子狐を警戒していない様子で、子狐もまた子供たちの輪に馴染んでいる様子である。特段の悪意があったわけでもないようで、小鈴の見立てでは「 邪気が無かったから 」博麗霊夢の御札が効果を発揮しなかった。
容姿など
化けている姿においては、おかっぱ頭に子供の和装を纏い、外出時には草履をはいている様子。背丈は小鈴の胸元ほどの背丈。イメージカットであるが、狐としては子狐という事もあってか、まだ一尾である模様である。なお、『東方Project』においては極めて格の高い狐の妖怪として九尾の狐である八雲藍や、管狐である菅牧典が登場している。
子狐本人としてのセリフなどはなく、具体的なキャラクター性なども余り描かれておらず、正確な性別も不明である。他の子供たちと比較してもその容姿は中性的に描かれている。また他のモブキャラ同様、キャラクターの個性が明確に表現される部位である「目」が描かれていない。
なお、この子狐は寺子屋の子供だけではなく別の人物にも化けていた可能性がある。この人物は『東方Project』全体を通して、よく妖怪(おもに狐や狸)にその姿を模されることがある。例えばこのキャラクターやこのキャラクターなど。ただし、同エピソード中では子狐本人が化けたものであるかどうかの明確な言及・描写などはない。
同エピソードでは人里の文化や人々の日常や考え方などの一部をはじめ稗田阿求や霊夢の人里との関わり等が描かれている。また寺子屋が主舞台ともなっているため、セリフなどはないが寺子屋で教師を務める上白沢慧音と思しき人物も複数の場面で登場している。子供に語りかける優しい霊夢の姿も垣間見られる。
人里風景、寺子屋の教育環境、子供たちの日常など人間の里にまつわる様々な表情が描かれており、大人や子供たちの服装、振り子時計やノートなどの小物を通して人里における周辺の文化的な要素についても細やかに描かれているエピソードの一つともなっている。
加えて『東方Project』の世界観における妖怪と人間の関係性についても語られており、阿求と小鈴の会話では阿求を通して幻想郷の「 ルール 」が語られる一方で実際の妖怪たちについて個別的な視点に立つ小鈴を通して妖怪の多様性と対応の在り方の様々なあり方が模索されるなど、『東方Project』における今日の幻想郷の世界観もまた様々な視点から語られている。
特に小鈴と阿求の妖怪観等の違いは本エピソードの一つ前のエピソードでも語られており、その際は小鈴がその力を使って妖魔本に触れることによる影響を懸念する阿求に、小鈴が阿求の活動の観点から言葉を切り返すなど、本エピソードに繋がる二人の視点などの違いが現れるものとなっている。
「能勢の黒札」
作中、小鈴が「 狐狸を退ける御札 」として「 能勢の黒札 」を用いている。実際には小鈴手作りの御札であり「能勢の黒札」ではないのだが、小鈴はある意図をもって怪異の現れている障子に御札を張る事にしており、寺子屋で警戒に当たる霊夢を納得させる意味も込めてこの札の名前を用いた様子である。
能勢の黒札とは、仏教日蓮宗における「能勢妙見堂」にまつわる御札で、魔よけの御守であり、狐憑きを祓う効果があるとされていた。その霊験は稲荷大明神の系列に基づく。能勢妙見堂は元は今日の大阪府(豊能郡能勢町)に本堂を置くものであるが、江戸時代には能勢氏の江戸屋敷(現在の墨田区本所)に別院が建立され、「能勢の黒札」は江戸でも流行したという。
特に能勢の御札には火災除けの効果もあるとされ、密集した市街構造であった江戸における大火除けのお守りともされた他、その後関東大震災や第二次世界大戦などの苦難にあい様々な宝物を火災で失う中、江戸時代から守られてきた本尊である妙見尊像は焼けることなく残っているなど、火難に対する加護を与えるものともされている。
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