概要
山神さまによって開かれたと伝えられる世界。
中央と四つの領(東領・西領・南領・北領)、それを区分する十二の郷によって構成される。
作中で登場した施設
中央
山内の中心部。各領はここを中心に四方の山の外側に位置して隔てられている。
中央山を中心に四家の当主の邸宅がある。
- 招陽宮(しょうようぐう)
族長一族の皇太子、次の金烏となる「日嗣の御子」たる若宮の住まい。
- 朝廷(ちょうてい)
山内の政治の場。
大門から入ってすぐの空間が吹き抜けになっており、それらを囲むように何層にもわたって欄干が取り付けられ、その一階一階に各部署が構えられている。
・守礼省(しゅれいしょう)
・兵部省(ひょうぶしょう)
兵部省の部署のひとつに民生寮がある。
- 紫宸殿(ししんでん)
金烏陛下の正殿。政治の場である朝廷の中心地。四家を集めた御前会議などが行われる。
- 大極殿(だいごくでん)
大門から反対の北側最上階にある金烏の玉座の間。
- 桜花宮(おうかぐう)
日嗣の御子の后「桜の君」が統括する宮。桜の君の住居。また日嗣の御子が后を選ぶために開かれる場でもある。藤花宮を中心に左右に懸け造りの建物の春殿・夏殿・秋殿・冬殿が位置している。
- 藤花宮(とうかぐう)
桜花宮の中央、藤花殿の奥に位置する大紫の御前の住まう後宮。
- 勁草院(けいそういん)
宗家近衛隊山内衆を育成するための養成所。中央山に位置する。
- 明鏡院(めいきょういん)
長束が院主をつとめる院。
- 鴻臚館(こうろかん)
人間界で暮らす天狗の接待のために作られた施設。中央花街より低い位置にある。
- 女工場(じょこうば)
元遊女たちが生活している場所。中央にいくつかに分けて設けられている。
・第一女工場(だいいちじょこうば)
・第二女工場(だいにじょこうば)
- 凌雲宮(りょううんぐう)
凌雲山の峰にある離宮。
出家した宮烏が移り住む寺院のある静かな場所。
・凌雲院(りょううんいん)
譲位を行った金烏代のために設けられた後院。
・紫雲院(しうんいん)
凌雲院の隣に建てられている出家した女官のための寺。
・紫苑寺(しおんじ)
数代前の内親王が山内における医薬の発展を願って建立した寺。
- 哨月楼(しょうげつろう)
中央の高級花街にある店。
四家四領 / 確認されている地名
四家の当主がそれぞれ収める地。
それぞれが直轄地と3つの郷に分けられている。
【北領(ほくりょう)】ー北家
・ 垂氷(たるひ)郷
・ 風巻(しまき)郷
・ 時雨(しぐれ)郷
その他確認されている地名 ・ 霜原(しもばら)
【南領(なんりょう)】ー南家
・ 川狩(かわがり)郷
・ 吹井(ふきい)郷
・ 南風(はえ)郷
その他確認されている地名 ・慶勝院(けいしょういん)(寺院)
【西領(さいりょう)】ー西家
・ 有明(ありあけ)郷
ー鹿鳴寺(ろくめいじ)
【東領(とうりょう)】ー東家
・ 鮎汲(あゆくみ)郷
ー海鳴寺(かいめいじ)
・ 永日(ながひ)郷
・ 東風(こち)郷
宗家と大貴族四家
- 宗家(そうけ)
金烏、つまり族長の一族のこと。
遥か昔、山神様がこの地にご光来した時、自らの代わりに山内を整する事を命じられた金烏が、現在の宗家の始まりだと言われている。
中央山の北側の領地を治める北本家。代々当主は羽林天軍の長、大将軍を務める。分家に北四条家(きたしじょうけ)など。
中央山の南側の領地を治める南本家。天狗との交易の主導権を有する。唯一外界に出ることが許されている。
分家に南橘家(みなみたちばなけ)など南本家の側近として長く仕えている一族がいる。
中央山の西側の領地を治める西本家。
中央山の東側の領地を治める東本家。分家に東清水家(ひがしきよみずけ)など。
門関連
外界と通じる門。山内には三つあると伝えられている。
- 第一の門…禁門(きんもん)
山の中心、金烏の住まう御所の奥深くにある禁域の頂上に続くように建てられている門。
- 第二の門…朱雀門(すざくもん)
外界の天狗との交易を行う際に使用される門。
- 第三の門
未確認で地下街が所有してるとされる。
谷間関連
- 谷間(たにあい)
遊郭や賭場なども認められた裏社会。
表社会とは異なるものの独自のルールが確立された自治組織。
- 地下街(ちかがい)
谷間に住まう者を統括する幹部の住処。
別の種族関連
- 猿(さる)
外界と山内のはざまの神域に潜み暮らす種族。八咫烏の肉を食し、凶暴化。
- 天狗(てんぐ)
人間に化け人間界に住む。八咫烏と交易する。
神関連
- 山神(やまがみ)
山内に豊かな土地と実りを与える八咫烏全ての神とされる存在。
外界(がいかい)関連
山内の外側にある世界で、人間や天狗が住んでいる。通常は門を通る事でしか行けない。
- 山内村(さんだいむら)
山奥にある小さな村。一方を龍ヶ沼、その他三方を山に囲まれた集落。
- たばこ屋カネイ
安原はじめの店。
作中で登場した用語
- 八咫烏
山内の世界の住人たち。
卵で生まれ烏の姿に転身するが、通常は人間と同じ姿で生活を営む。日が暮れると転身する力を失ってしまう。
多くの宮烏は基本的に鳥形になることを恥と思うのがこの世界の普通。
・宮烏(みやがらす)
貴族家生まれの八咫烏の事。
中央貴族は四家を中心とする家柄の貴族。
地方貴族は郷長家などの家柄の貴族、地家(じけ)と呼ばれ田舎者とされる。
・里烏(さとがらす)
町中に住み商業などを営む者。
・山烏(やまがらす)
地方で農産業などに従事する庶民。
・馬(うま)
一般的な動物の“馬”ではなく鳥形(ちょうけい)になった八咫烏を馬と呼び、乗り物又は車を引かせる。
馬となる八咫烏は生活に余裕がなくなった最下層の者。裕福な者と契約して人形(じんけい)を取ることを捨て馬として生きている。
- 羽衣(うえ)
体から意図的に生み出し身に纏う、体の一部とも言える黒い衣。鳥形に転身する際には身に付ける必要がある。
- 斬足(ざんそく)
死刑、山内追放の次に重い刑罰。三本目の足を切り落とし強制的に鳥形を取らせ、生涯にわたって馬としての労役を課す刑。二度と人形には戻れなくなる。
- 金烏(きんう)or金烏代(きんうだい)※*
この地を司る族長一家「宗家(そうけ)」の長。
金烏代は真の金烏が生まれなかった際の“代理”。
- 真の金烏
八咫烏とは全く違った生き物。
何十年かに一度の割合で山内に生まれる、八咫烏を統べるための全てを兼ね備えた存在。通常の八咫烏には出来ない不思議な力を持ち、奇跡を起こす。
真の金烏は禍(わざわい)を呼ぶと言われるが、実際は非常事態に対処するために真の金烏が生まれる。
- 赤烏(せきう)
族長を金烏と言い表すことから、皇后は赤烏と呼ぶのが正式の呼び名である。
一般に「大紫の御前」と呼ばれる。
- 白烏(はくう)
神事を司る長であると同時に宗室典範の審判者。
- 黄烏(こうう)
文官最高の称号。金烏から政治的な実権をすべて全て委ねられた百官の長。
博陸侯(はくりくこう)は黄烏の尊称。
- 青烏(せいう)
現在はあまり使われないが、かつては皇太子を表していた。
- 黒烏(こくう)
現在はあまり使われないが、軍権を握る一番の者を指していた。
- 落女(らくじょ)
戸籍を捨て男として朝廷で働く女。落女になると二度とただの女に戻れない代わりに、朝廷においては男と同等の扱いをされる。皇后付きの女官である事が多い。
- 山内衆(やまうちしゅう)
宗家近衛隊。養成機関である勁草院で三年間、訓練を積んだ者だけが成ることが出来る。
- 藤宮連(ふじみやれん)
普段は宗家女房として仕えているが、有事の際は警護や戦闘にあたる者達。
自ら鳥形になって戦う事もある。
- 羽林天軍(うりんてんぐん)
中央鎮護のために編まれた軍。大将軍が取り仕切る。別名『羽の林(はねのはやし)』。