「俺は薙切えりなを、妻として娶る」
概要
CV:福山潤
「真夜中の料理人」の中でも頭角をあらわしている青年。日系アメリカ人で歳は創真世代より4つ上。
かつては母から虐待を受ける毎日を送り(後に母は死亡)、アメリカ滞在中の城一郎に拾われ育てられていた弟子で、実の親同然に彼のことを慕っていたが、15歳のときに城一郎の妻・珠子が急逝し、シングルファーザーとして実子の幸平創真を育てるべく城一郎が自分の前から去ってしまったことから、創真に強い嫉妬心を抱いている(城一郎も朝陽が望むなら日本に連れ帰ろうとしたが、創真への嫉妬から拒否して独り立ちを選んだ)。
なお、「朝陽」という名は本名だが、「才波」は城一郎の旧姓を勝手に名乗っているだけの通り名(城一郎も一応許可はしていた)であり、「才波朝陽」は彼の戸籍上の本名ではない。(日本人の名前であることについて生前の母親も同じく日系人と思われるが、もしくは父親に肖ったのか理由は不明。)
創真たち遠月92期生「玉の世代」が高等部2年に進学して間もない頃に城一郎と再会、非公式の食戟を挑み圧勝した後、「鈴木」の偽名で遠月に講師として潜り込む。
その目的は「神の舌」の持ち主たる薙切えりなを娶ることであり、食戟で創真を負かして以降は執拗に結婚を迫っている。
しかし物語終盤にて、本心から求めている物は「神の舌」などではなく、もっと単純なありふれた物だったことが明らかになっている。
料理人としての技術
異なる種類の調理器具を組み合わせ、元の使い手の調理技術をトレースする「クロスナイブズ」の使い手で、食戟で負かした料理人から調理器具を巻き上げては自らの料理に取り入れている。
関連タグ
ラウラ・ボーデヴィッヒ:主人公の家族である恩師に救われ、慕い、やがてその家族である主人公に嫉妬から因縁を付け、一度は負かすが再戦時に敗北するという共通点あり。
以下、ネタバレ
「BLUE」にて創真に敗れた数ヶ月後、真夜中の料理人から足を洗った彼は帰国し母親の墓参りに赴いた。
真凪から語られた敗因、それは母親との思い出であり、彼の記憶にあったのは酒浸りになり自分に酒を要求する母の姿と、それを見かねて水を差し出したところ逆上して「お前なんか産むんじゃなかった」と暴力を振るい罵られる、そんな荒れた日々しかなかった。
母に別れを告げ花束を置いて去った後、墓前に母の友人と思われる多数の大人達が集まり母の過去について語っていた。それは、自身の出生にまつわる事だった。
母は元からの遊び人で酒が絡むと身なりの良い男を漁る悪癖を持っていたこと。そんな行きずりで出会った男と一晩過ごした後、彼の子を身籠った。その相手とはえらく若い日本人であった、と彼等は語った。
元々の性格といい酔った勢いで名も知らぬ一夜の関係を過ごした男の子供を作った精神的ストレスからか(産むことを選択したあたり当初は責任感を持っていた様だが)、彼女にまともな育児が出来る筈などなく、前述のように彼女は死ぬまで酒を呷る自堕落な生活を送り早世したのだった。なおアニメではEDムービーなどで断片的にしか描かれていない。
その一方の薙切邸で、独自調査をしていた真凪により夫の薙切薊と朝陽は血の繋がった実の親子であることが告げられ、その報は朝陽にも届くこととなる。
朝陽は生まれてから顔を見たことがなかった実父の正体とそれにより自分が娶ろうとした相手が肉親であったことにショックを受ける。(もし知らなければ最悪の事態になりかねなかったので無理もない)
事実を知ったえりなは、薊を引っ張ってアメリカにいた朝陽のもとを訪ねる。
朝陽は自分のこれまでの所業から受け入れて貰えないだろうと考えていたが、妹の口から語られたのは「お兄様」と呼んで歩み寄り、家族として迎え入れるという言葉だった。
こうして朝陽は薙切家の一員となり、彼が真に心の奥底から願っていた『家族』をようやく手に入れることが出来た。
薙切家の養子縁組となり戸籍を「薙切朝陽」と改め正式に遠月の講師として新しい人生を歩み始めた朝陽。一方、実父の薊に対して遅れた反抗期の態度を振る舞うなど関係はギクシャクしているものの、二人のやり取りに養祖父の仙左衛門(曰く「親子らしくなった」)と継母の真凪は微笑ましく眺めていた。
ちなみに、「真夜中の料理人」時代の部下であるサージェたち3人も薙切家に雇われ、幸せを手にした朝陽の姿に涙を流している。