掛け軸(掛軸とも表記)とは、文字や絵を描いた紙を、縦長の布や紙の上に張り付けて、上部の紐を鉤に吊るして観賞したり、一番下に付けた軸を中心に巻き取ってコンパクトな形で保存や搬送をできるようにした美術品、あるいはインテリアの一部である。
概要
掛け軸の発祥の地は中国で、前漢までは短冊状の竹(竹簡)や絹布で、後漢からは紙で作った巻物から派生する。
日本では、既に飛鳥時代には、仏画を描いた礼拝用の掛け軸が使われていた。鎌倉時代からは、禅宗の影響により、墨跡や水墨画といった芸術品の観賞のためにも掛け軸が使われるようになる。
現在は、和室の床の間か、茶道の茶室か、お寺の本堂(特に本尊の両脇)か、美術館・博物館(大抵は展示ケースの中。床の間や茶室を模した展示室もある)でしか見られない。
形式ごとの分類については、本やWikipediaの項目や業者のウェブサイトを見ても少しずつ内容が違うが、大まかには次の通り。
・大和表具
日本では一番ありふれたタイプ。作品の周りの(布や紙の)色と、その上・下の色が違うのが普通。作品の上下(もしくは外周)に付く細い部分が「一文字」、その周りが「中縁/中廻」、その上・下がそれぞれ「天」「地」(中縁を完全に取り囲んでいる場合は「総縁」)、最上部からぷらぷら下がっている2本の細長い布は「風帯」。
ランクは上から大まかに、「仏画用」「神道関係・一般用」「墨跡・茶掛用」に分かれる。
・文人表具
(主に明の頃の)中国式のタイプ。中国っぽい作品に使う。
・その他
作品や飾るスペースに応じて、様々なバージョンが存在する。
pixivでは
同じ「掛け軸」タグでも、実はバリエーションが多い。
掛け軸に飾る事を想定した形状の画像
上記のような伝統的な題材もあるが、
上記のような斬新な題材もある。
周囲の軸装部分も含めた画像
絵の周囲の紙・布部分は含むが、下部の軸や上部の掛緒は含まない事が多い。
……含む事もある。
自分の絵や書を材料にして、実際に掛け軸を作る
このような伝統的な力作から、
このような、新たな伝統の作成に寄与する(かもしれない)力作まで様々。
絵の中に掛け軸
絵の中では脇役だが、色々ネタが仕込んであったりする事も。
「艦隊これくしょん」の掛け軸
提督の執務室を飾る家具の一種。画面左側の壁部分の「装飾」に含まれる。
「艦これ」が記念の節目を迎えた時(○周年、ユーザー○万人突破など)、その時期にアクセスしたプレイヤーの艦隊司令部へ贈られるのも、掛け軸が基本である。
横長+右横書きの掛け軸もいくつかあり、「!すでのな」等のネタも生まれている。
なお、「艦これ」に登場するこれらは、掛軸としてのデザインは全くのデタラメ・無知であり、作画時には決して参考にしてはならない。
関連イラスト
上記を参照。