概要
『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』に登場する月。通常の天体としての月とは大きく異なる特異な存在として描かれている。
その最も際立った特徴は、不気味な人面が刻まれた表面にある。目つきの悪い巨大な目、魔女じみた高い鼻、歪んだ表情を浮かべた歯の口は、見る者に強烈な不安感と恐怖を与える。
NINTENDO64というハードウェアの技術的制約もあり、実際の月と比較すると小さく、クロックタウンよりわずかに大きいくらいだが、それでもなお圧倒的な存在感を放っている。その大きさは、クロックタウンの建物群と比較しても十分な威圧感があり、プレイヤーに迫り来る脅威を視覚的に強調している。
ストーリーにおける役割
タルミナの世界に迫る破滅の象徴として、3日後には地上に激突し、世界を滅亡させるという運命を背負っている。
この月が落ちるとタルミナは破壊され、リンクはタイムスリップして全てセーブ前に戻される。通常のゲームオーバーとは少し違う。
ゲーム終盤での「オデは食う…ぜんぶ食う…」という台詞からは、何らかの意識や意思を持っていることが示唆されている。
ゲームメカニクスとの関係
月の接近は、ゲーム内時間の進行と密接に結びついている。
12時間ごとに月は徐々にクロックタウンに接近していき、その視覚的な変化はプレイヤーに切迫感を与える。
音楽による演出
特に秀逸なのは、クロックタウンのBGMの変化である。時間の経過とともに、明るく活気のある曲調から不安を煽るような調子へと変化していく。さらに、断続的に響く地響きの効果音は、迫り来る破滅を聴覚的に表現し、プレイヤーの心理的プレッシャーを高めている。
タルミナの住人たちへの影響
月の存在は、タルミナの住人たちの行動パターンにも大きな影響を与えている。3日間の時間軸の中で、それぞれのNPCは独自の行動を取っており、避難を試みる住人たち、最後まで祭りを楽しもうとする楽天的な人々、運命を受け入れ諦めの境地に至る者たちの3つに大まかに分かれている。
月の中
最終ダンジョンとなる月の内部は、その外観から想像される不気味さや恐怖とは真逆の、驚くべき光景が広がっている。
幻想的な景観
青く澄み渡る空
柔らかな陽光の煌めき
どこまでも続く青々とした草原
中心に聳える一本の巨大な木
優雅に舞う蝶々の群れ
この静謐な空間は、外界の混沌とした状況とは対照的な、不思議な安らぎを醸し出している。まるで別次元の楽園じみた雰囲気が漂っている。
謎めいた子供たち
- 子供たちの特徴
- 総勢5人の子供が存在
- そのうち4人は、リンクが倒したボス達の仮面を着用
- 中央の木の下にいる1人は、物語の中核であるムジュラの仮面を着用
- 素顔は見えず、その正体は謎に包まれている
かくれんぼの儀式
子供たちとの交流は、独特な形式で進行する。
- プレイの流れ
- 子供たちがお面を要求
- 指定された数のお面を渡す
- かくれんぼが開始
- 子供を発見
- 新たなお面の要求
- この過程の繰り返し
全ての過程を終えると、深遠な問いかけが行われる。その後、鬼神の仮面がもらえる。
このかくれんぼを無視し、中央の木にいるムジュラの仮面の子供に話しかけ、直接最終決戦へと移行することもできる。
CM
「あなたは月の怖さを知らない」
本作のCMにおいても登場しており、強烈なインパクトを視聴者に残している。
大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ
『大乱闘スマッシュブラザーズDX』、『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』の「タルミナ グレートベイ」の上空で、時間の経過とともに少しずつ近づいてくる。3分ほどで近づくが、その後4人の巨人が現れて空に押し戻される。しかし、それは単なる背景であり、試合には何の影響も与えない。
また、『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』ではアシストフィギュアとしても登場する(グレートベイでは出ない)。
関連するキャラクター、アイテム、歌など
キャラクター
月はムジュラの仮面が生んだか呼び出したものと見て間違いないだろう。
こちらは被害者。
アイテム
以下の歌を吹ける。
ボスの亡骸
歌
時を巻き戻してセーブするのに必要。
終盤で吹くことになる。
外部出演
『とびだせどうぶつの森』の大型アップデート後に於ける『amiibo+』で何と家具として実装された。ゲーム内での名称は「タルミナのつき」で、4枠家具となっている。触れると不気味な叫び声を発するというギミックが存在している。
ただし入手するには条件があり、リンク(時のオカリナ)のamiiboフィギュアを現実でリアルに購入し、それを使ってキャンプ場にエポナを呼び出す事である。しかしフィギュアもそこまで安くないので、楽して入手したいのであれば通信で家具を譲ってくれる優しい人を探すしかない。
余談
元々は大きいだけの普通の月で、色も黄色かった。サウンドトラックのパッケージの月に顔がないのはそのため。インパクトをつけるために顔をつけることになったが、当時想定していたのはムジュラの仮面の顔らしい。