概要
2007年より東京都交通局が都電に導入した路面電車。都電の活性化のため、イベントにも使えるレトロ調車両として製造された。在来車の代替用としての側面もあり、本形式によって7500形が置き換えられている。
車両概説
2006年に都電の活性化策のひとつとして、また2001年に引退した6000形6152号に代わるイベント用車両として計画が発表され、翌2007年に日本宝くじ協会の補助を受けて9001号が登場した。2009年には増備車として9002号が登場し、本形式は2両体制となっている。
製造メーカーは、すべてアルナ車両である。
大正から昭和初期にかけて活躍した東京市電の車両を模したレトロ調デザインとなっており、外観は前面3枚窓にいわゆるおへそライトのスタイルであり、右側にはイベント時などに使用されるヘッドマーク掛けが設置されている。屋根には冷房装置や補助電源を隠すカバーとして、ダミーの二重屋根が設置されている。車体の塗装もレトロ調を意識し、9001号はえんじ色とクリーム色、9002号は青色とクリーム色のツートンカラーに金の装飾が入ったものが採用されている。
車内も木目調のデコラとフローリングの床を採用し、照明も半間接照明を使用するほか、手すりも真鍮風が採用されたり、座席のモケットも緑色のものにしたりすることで、こちらもレトロ調を意識している。運転台仕切には20インチの液晶ディスプレイが設置されているほか、イベントに用いるカラオケの電源なども備える。
バリアフリーにも配慮されており、一部の吊革の高さを低くしたほか、優先席付近のそれに黄色いものを採用したり、車椅子スペースを2ヶ所に増設したりするなどしている。出入口にも若干の傾斜を設けることで、プラットホームとの段差を極力なくすよう工夫がなされている。
走行機器は都電で初めてIGBT素子を使用したVVVFインバータ制御を採用したほか、台車もバネの小改良で床面高さを下げたFS-91B形を採用した。先輩にあたる8500形同様に回生制動を採用し、省エネにも配慮している。
安全への配慮も行われており、速度が40km/hで作動するリミッターや、運転士が急病のときに電車を緊急停止させるデッドマン装置が搭載されている。
運用
2007年に9001号が登場し、これにあわせて7000形の3両(7001号、7008号、7010号)に花電車風のラッピングを施したり、三ノ輪橋停留所や庚申塚停留所をレトロ調に改装したりしている。2009年には増備車の9002号が登場し、以後は2両体制で活躍している。
2009年6月までは原則として毎週土曜日に定期運行していたが、以後は他車と共通で運用に就いている。
毎年12月に運転されるクリスマス号にも、原則として本形式が充当されている。
レトロ調車両であることから、他形式のように車体に広告ラッピングは施されない。
関連イラスト
関連タグ
都電9000形…表記ゆれ
飛鳥山さくら…本形式がモデル