都電

とでん

都電は、東京都交通局が運営する路面電車の通称。

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1 概要

1.1 都電杉並線

1.2 幻の26系統

2 系統一覧

3 主な車両

3.1 都政施行後から都電大規模撤去までに製造された車両

3.2 荒川線成立後に製造された車両

4 関連項目

概要

都電は、東京都交通局が運営する路面電車のこと。

公文書における正式な名称は「東京都電車」。

明治時代の1918年に「東京馬車鉄道」として日本橋と新橋の間を鉄道馬車が走り出したのがそのルーツ。その後電車が普及したため、1903年に公害をもたらす馬車を廃止して電車は転換。社名を「東京電車鉄道」へと改称した。この頃には同じ都内を「東京市街鉄道」と「東京電気鉄道」が電車の運行を開始し、3社によって路面電車が運営されていた。しかしこれには乗り換えなどで利用者に不便を強いる(現在の東京都内の地下鉄が東京メトロと都営地下鉄の2社に分かれている状態を想像されたい)ため、一元化を図ることとし、1906年に3社が合併して「東京鉄道」になった。そして紆余曲折を経てこれを当時の東京市が運営することとなり、1911年に東京市電気局が運営する市電の「東京市電」となった。

※ 詳細は東京市電の記事も参照

ちなみに現在の「都電」となったのは、都制が施行された1943年のことである。

かつては都内に41系統からなる路線網をもち、路面電車として日本一の規模を誇っていたが、モータリゼーションの進展や地下鉄網の整備により1967年の第一次撤去を皮切りに廃止が進んだ。

実は都交としては廃止をしたくなかったものの、警視庁や沿線の自治会など理解を得ることができず、逆に撤去を強く要請されてしまったため、止むなく廃止してしまったという経緯がある。しかし都電の経営が赤字だったことも事実であり、当時の美濃部亮吉都知事が財政健全化のため廃止を決定したという事情もある。

現在は27系統と32系統を統合した「荒川線」1系統のみとなっている。これは同線が専用軌道の多い「王子電気軌道」という事業者がルーツであることや、代替バスの設定が難しかったことなどが理由である。

なお鉄軌道系の交通網が薄い江東区内においても、専用軌道が多かったことなどから最後の最後まで地元が廃止に反対していたが、結局はそれを押し切る形で1972年の第五次撤去で全廃されている。

近年の路面電車見直し(LRT構想)以前から、現存する荒川線の延伸計画の構想があることはあまり知られていない(三ノ輪～北千住駅前と池袋駅前支線:東池袋～池袋駅前)。ただしこれらの計画は事実上頓挫したらしく、特に後者はWILLERの運営するコミュニティバス「IKEBUS」によって代替されているようである。

Pixivにおいては、荒川線のほか、全盛時代の都電をモチーフにしたイラストも多く見られる。

都電杉並線

都電は原則として軌間1372mmの馬車軌を採用していたが、唯一西武鉄道が敷設した路線を原点とする通称杉並線（14系統）は軌間1067mmの狭軌を採用していた。

そのため戦前は馬車軌用に製造された市電の車両の台車を改造して投入し、戦後は専用設計の2000形・2500形が投入された。

丸ノ内線の開業に伴い1963年に廃止され、車両は馬車軌仕様に改造されて他の路線に転属した。

幻の26系統

41系統の路線網を持った都電だが、実際に41の系統がすべて揃ったことはない。というのも41系統が運行を開始する以前に26系統が廃止されたためである。

この26系統とは城東電気軌道が敷設した一之江線（通称：今井線）で、他の路線とは荒川を隔てて孤立していた離れ小島だった。城東電気軌道時代に荒川を鉄橋で越えて接続する構想があったが実現せず、都電はついに荒川を越えることができなかった。

戦前製の木造車400形が末期まで使用され、1952年にトロリーバスの運行開始に伴い廃止となった。

系統一覧

系統番号	始点・終点(太字)ならびに主な経由地	メモ
1	上野駅-上野広小路-万世橋-日本橋-通三丁目-京橋-銀座四丁目-新橋-三田-品川駅
臨1	浅草雷門-厩橋-蔵前-浅草橋-小伝馬町-室町三丁目-日本橋-通三丁目-京橋-銀座四丁目-新橋-三田
2	三田-御成門-日比谷公園-大手町-神田橋-一ツ橋-水道橋-春日町-曙町
3	品川駅-札ノ辻-赤羽橋-神谷町-虎ノ門-溜池-四谷見附-市ヶ谷見附-飯田橋
4	五反田駅-清正公前-魚藍坂下-一ノ橋-赤羽橋-金杉橋-新橋-銀座二丁目
5	目黒駅-古川橋-芝園橋-御成門-馬場先門-都庁前-鍛冶橋-京橋-永代橋
6	渋谷駅-青山六丁目-高樹町-霞町-六本木-溜池-虎ノ門-田村町一丁目-新橋
7	四谷三丁目-信濃町-青山一丁目-霞町-天現寺橋-古川橋-魚藍坂下-伊皿子-品川駅
8	中目黒-渋谷橋-古川橋-赤羽橋-霞ケ関-日比谷公園-数寄屋橋-銀座四丁目-築地
9	渋谷駅-青山一丁目-三宅坂-桜田門-数寄屋橋-銀座四丁目-築地-茅場町-浜町中ノ橋	ラッシュ時は森下町まで直通
10	渋谷駅-青山一丁目-三宅坂-半蔵門-九段上-九段下-神保町-小川町-須田町
11	新宿駅-新宿二丁目-四谷見附-半蔵門-桜田門-数寄屋橋-銀座四丁目-築地-勝鬨橋-月島通八丁目	ラッシュ時は新佃島まで直通
12	新宿駅-新宿二丁目-四谷見附-市谷見附-九段上-小川町-須田町-浅草橋-東両国二丁目-両国駅
13	新宿駅-四谷三光町-若松町-神楽坂-飯田橋-御茶ノ水-万世橋-秋葉原駅東口-小伝馬町-水天宮前
14	新宿駅-成子坂下-本町通二丁目-鍋屋横丁-杉並車庫-阿佐ヶ谷-杉並区役所-天沼-荻窪駅	元西武新宿軌道線
15	茅場町-日本橋-大手町-小川町-九段下-飯田橋-大曲-江戸川橋-早稲田-高田馬場駅	ラッシュ時は洲崎まで直通
16	大塚駅-大塚仲町-伝通院前-春日町-本郷三丁目-上野広小路-厩橋一丁目-石原町一丁目-太平町三丁目-錦糸町駅前
17	池袋駅-護国寺前-伝通院前-春日町-水道橋-神田橋-新常盤橋-呉服橋-東京駅八重洲口-数寄屋橋
18	志村坂上-仲宿-板橋駅-西巣鴨-巣鴨駅-駕籠町-春日町-水道橋-神保町-一ツ橋-神田橋
19	王子駅-西ヶ原一丁目-駒込駅-上富士前町-東大正門前-本郷三丁目-神田明神前-万世橋-日本橋-通三丁目
20	江戸川橋-護国寺-大塚仲町-駕籠町-神明町車庫-駒込千駄木町-池之端七軒町-上野公園-上野広小路-須田町
臨20	池袋駅-護国寺-大塚仲町-駕籠町-神明町車庫-駒込千駄木町-池之端七軒町-上野公園-上野広小路
臨20	神明町車庫-道灌山下-駒込千駄木町-池之端七軒町-上野公園-上野広小路-万世橋-日本橋-通三丁目
21	千住四丁目-北千住駅-三ノ輪橋-三ノ輪車庫-坂本二丁目-上野駅-御徒町三丁目-秋葉原駅東口-小伝馬町-水天宮前
22	南千住-隅田公園-浅草-浅草橋-室町三丁目-日本橋-通三丁目-京橋-銀座四丁目-新橋
臨22	浅草雷門-厩橋-蔵前-浅草橋-小伝馬町-室町三丁目-日本橋-通三丁目-京橋-銀座四丁目-新橋
23	福神橋-押上-本所吾妻橋-厩橋一丁目-東両国緑町-森下町-門前仲町-越中島-新佃島-月島通八丁目
24	福神橋-押上-本所吾妻橋-浅草-浅草雷門-菊屋橋-上野駅-上野公園-上野広小路-須田町
25	西荒川-水神森-錦糸堀-東両国緑町-浅草橋-須田町-小川町-神田橋-大手町-日比谷公園
26	東荒川-東小松川-松江-西松江-一之江-瑞江-今井橋	他線と接続しない区間
27	三ノ輪橋-荒川二丁目-町屋一丁目-熊野前-荒川車庫-王子駅-神谷橋-志茂一丁目-石淵町一丁目赤羽	三ノ輪橋―王子駅間は現在の荒川線
28	錦糸町駅-住吉町二丁目-東陽公園前-門前仲町-永代橋-日本橋-呉服橋-丸ノ内一丁目-東京駅丸ノ内南口-都庁前
29	葛西橋-南砂町六丁目-境川-大島一丁目-水神森-錦糸堀-錦糸堀車庫-東両国緑町-浅草橋-須田町
臨29	葛西橋-境川-東陽公園前-門前仲町-永代橋-日本橋
30	寺島町二丁目-言問橋-本所吾妻橋-浅草-浅草雷門-菊屋橋-上野駅-上野公園-上野広小路-須田町
臨30	寺島町二丁目-言問橋-本所吾妻橋-厩橋一丁目-東両国緑町-森下町-門前仲町-越中島-新佃島-月島通八丁目
31	三ノ輪橋-三ノ輪車庫-入谷町-菊屋橋-蔵前-浅草橋-小伝馬町-室町三丁目-新常盤橋-東京駅丸ノ内北口-都庁前
32	早稲田-面影橋-鬼子母神前-日ノ出町二丁目-大塚駅-新庚申塚-飛鳥山-王子駅-梶原-荒川車庫	現在の荒川線
33	四谷三丁目-信濃町-青山一丁目-竜土町-六本木-飯倉片町-飯倉一丁目-神谷町-御成門-浜松町一丁目
34	渋谷駅-並木橋-渋谷橋-天現寺橋-四ノ橋-古川橋-一ノ橋-中ノ橋-赤羽橋-芝園橋-金杉橋	渋谷駅-天現寺橋間は元玉電天現寺橋線
35	巣鴨車庫-巣鴨駅-駕籠町-春日町-水道橋-神保町-一ツ橋-神田橋-大手町-日比谷公園-田村町一丁目
36	錦糸町駅-錦糸堀-住吉町二丁目-森下町-浜町中ノ橋-蛎殻町-茅場町-桜橋-新富町-築地
37	三田-田村町一丁目-日比谷公園-大手町-神田橋-小川町-松住町-旅篭町-上野公園-池之端七軒町-駒込千駄木町
38	錦糸堀車庫-錦糸堀-水神森-大島一丁目-境川-南砂町一丁目-東陽公園前-門前仲町-永代橋-日本橋
39	早稲田-早稲田車庫-江戸川橋-大曲-伝通院前-春日町-本郷三丁目-上野広小路-厩橋
40	神明町車庫-道灌山下-駒込千駄木町-池之端七軒町-上野公園-上野広小路-万世橋-日本橋-通三丁目-京橋-銀座四丁目-銀座七丁目
41	志村橋-長後町一丁目-志村坂上-蓮沼町-大和町-仲宿-板橋駅-西巣鴨-巣鴨車庫