概要
1986年2月、富山県出身の実業家・西田憲正が蒲田(大田区)のホテルを友人に任されたのが一号店である(この店舗は「東横イン蒲田1」という店名で現在も営業している)。
大元は電気工事の会社で、ビルの設計なども行うようになっていたのが始まり。このホテルも元々は友人の旅館跡地に西田の提案で建てられたもので、旅館経営にうんざりしていた友人が西田にホテル経営を任せたのが第1号店である。後に西田は多数展開していた事業を手放さざるを得なくなるのだが、そのときに残った東横インの事業に集中していくことになり、現在に至っている。
日本をメインに、韓国、カンボジア、フィリピン、ドイツなどでビジネスホテルを展開する。全国的に出店しているが、唯一高知県にはない。
他のビジネスホテルより宿泊料金が安いが、サービスレベルは良い。
「東急東横線」や「東急イン」をイメージさせる屋号だが東急グループとは一切関係はない。
屋号の由来は創業地である蒲田が東京と横浜のちょうど中間地点であったことに由来している。
現在は国内外に298店舗を展開する一大格安ホテル・チェーンとなっている。
なぜ安くできるのか
館内は宿泊に特化しており、基本的にレストランや大浴場がない。
出店場所も徒歩圏内にコンビニや飲食店などが立地する場所を選んでおり、自社で提供しないサービスを周辺の他社商業施設に依存することで、宿泊以外の機能は極限までカットして徹底的にコストを下げ、安い宿泊料金を実現している。
部屋や共有スペースの内装についても東横イン全店舗でほぼ統一することで、設備の簡素化と規格統一によるコスト削減を行っている。そのためどこの東横インに泊まっても部屋の設備の違いはほとんどなく、使い勝手もほぼ変わらない。利用者側にも地味ながらメリットがあったりする。
また、1店舗での収容人数を増やすため、部屋の空きスペースは最低限とし、荷物を置くスペースとしてベッドの下を使えるようにしてあるなどの工夫がされている。部屋の種類も宿泊人数の違いやバリアフリー対応程度しかなく、スイートルームなどの高級な部屋は設けていない。
予約は基本的に自社サイトで受け付けているが、それ以外(楽天トラベルなど)でも一応予約を取ることは出来る。その場合、会員サービスの対象外とすることでコストを吸収している(そのため公式に比べると安くならない)。ただし、東横インの宿泊料とスカイマークの往復航空券のパッケージ商品はポイント会員サービスの対象に含まれる。
他、加入しているだけで費用の取られる業界団体に入らない、東横イン本体は土地や建物を所有しない(固定資産は地権者所有のままで、東横インは土地と建物を借り上げてホテル事業のみに専念。これにより資金調達や資産価値変動といったリスクを回避する)といったコスト削減に全振りした運営方針がみられる。
このスタイルは創業当時から続いており、前述の通り1号店も元々は友人の所有しているホテルの経営を創業者が任された、というところから始まっている。価格が安かったのも創業時からなのだが、これは創業者がホテル経営については完全に素人で、それまで行っていた電気工事の見積もりのスタイルでコスト計算をした結果である。
- そのため、得意先の旅館組合に怒られ値上げしたというエピソードがある(それでもなお同業者より安かった)。なお創業者はホテル事業に失敗したら、東横インの1号店を経営していた電気工事会社の社員寮に転用することを考えていたとのこと。
全体的に、コスト管理には創業時から結構シビアだったりする。
朝食サービス
どの店舗でも朝食は提供されており、宿泊プランに関係なく誰でも利用できる。当初はおにぎり、味噌汁、パン、コーヒーだけだったが、現在は各店の支配人が独自に考案した朝食を提供している。
なお、店舗によっては数量限定で夕食の提供を行っているところもある。
東横インには前述の通りレストランがないため、朝食はロビーを朝食会場として利用したり、朝食会場スペースを用意するなどしている。
不祥事
コストダウンに注力するあまり、2006年にバリアフリー設備の不法な撤去、2008年に松江駅前店の地下に不法投棄された建材からの硫化水素ガス発生などの不祥事が起きた。
また、2011年の東日本大震災以降、宿泊客に「地震で生ずる断水などの被害については、自己責任であり、損害賠償請求を行うことは一切ありません」といった内容の誓約書に署名させ、損害賠償請求を放棄することを要求していることが発覚し、消費者庁からも問題視されている。
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