概要
正式名称は「怪談牡丹灯篭」。
江戸時代末期である1861~1864年頃の浅井了意による怪奇物語集『御伽婢子』に記述される、深川の米問屋に伝わる怪談、牛込の旗本家で聞き及んだ実話などから着想を得て創作された明治に活躍した落語家・三遊亭圓朝25歳の時の作品である落語の怪談噺。
ただし広く知れ渡っている有名なくだりの部分である“お露の亡霊に取り憑かれた新三郎の悲恋と悲劇の物語”は本来の長編の中から前半の中心部分を切り取って仕立て直した短編に当たる。
演劇や映画などにも広く脚色され、その後の計能・文化工面に多大な影響を与えた。
元々は中国・明の時代に書かれた伝奇小説『剪燈新話』(せんとうしんわ)の中に記された短編『牡丹燈記』が由来で、日本の怪談で幽霊に足があるのはその名残。『牡丹燈記』では牡丹灯籠ではカットされたその後(日本版とは別の意味で後味が悪い)が描かれている。
大まかなあらすじ
浪人の萩原新三郎は、ふとしたことから旗本飯島平左衛門の娘・お露と知り合いとなった。お互いに一目惚れした2人は相思相愛の関係となり、夜ごとに牡丹灯篭を下げて新三郎の元を乳母のお米を伴って訪れる。
しかしその日以降、日に日にやつれて行く新三郎を不審に思った隣人の伴蔵は密かに新三郎宅へ忍び込み新三郎の様子を探るが、そこで彼が観たものはやつれ果てた新三郎と親しげに語り掛ける骸骨姿のお露であった。
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