概要
異世界である超大陸ランディアを舞台とする。超大陸ランディアが南半球にあるのか同かは不明だが、南に行くほど寒くなる大陸。また超大陸以外にもいくつもの島が確認されており、九龍諸島連合やガーラン精霊王国などが存在する。
作中では併合、侵略などで国の情勢も変わる。
どぜう丸氏が、新規の方に人口について質問されることが増えたので、小説版10巻までの各国概要を貼った。
国の変貌
超大陸ランディア
原作 | 文庫1巻 |
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時期 | 大陸暦1546年4月 |
備考 | 物語開始時点 |
1週間戦争、フリードニア王国建国
原作 | 文庫2巻~3巻、4巻 |
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時期 | 大陸暦1546年9月~11月頃 |
備考 | 1週間戦争でアミドニア公国公都ヴァンがエルフリーデン王国に占領されるが、グラン・ケイオス帝国との交渉で返還される。その後、アミドニア公国で内乱が起きる。これによりルナリア正教皇国とトルギス共和国が攻めるが、アミドニア公国がエルフリーデン王国に併合されることで国内分裂の危機を逃れる。以降エルフリーデン及びアミドニア連合王国、通称フリードニア王国となる。 |
海洋同盟締結
原作 | 文庫13巻 |
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時期 | 大陸暦1549年2月 |
備考 | フリードニア王国、トルギス共和国、九頭龍諸島連合の間で海洋同盟締結 |
ハーン大虎王国建国、ガーラン精霊王国の父なる島解放
原作 | 文庫14巻~15巻 |
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時期 | 大陸暦1550年1月~2月頃 |
備考 | フウガが東方諸国連合を統一し、ハーン大虎王国建国。その後、大虎王国がガーラン精霊王国の父なる島(魔物の領域)を奪う |
精霊王の呪いから2年後
原作 | 文庫16巻 |
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時期 | 大陸暦1552年4月 |
備考 | 大虎王国が魔王領の魔物領域まで攻める |
帝国の属国の独立運動、大虎ケイオス戦争
独立運動時 | 大虎ケイオス戦争後 |
原作 | 文庫16巻 |
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時期 | 大陸暦1552年6月~8月 |
備考 | 帝国の属国であるメルトニア王国とフラクト連邦共和国が大虎王国に吸収併合される。帝国と大虎王国の戦争で、帝国は領土の半分近く奪われる。これで「人類宣言」が消滅し、グラン・ケイオス帝国はユーフォリア王国となる。ユーフォリア王国は海洋同盟に加わる。トルギス共和国はこの戦争で傭兵国家ゼムの都市2つを支配領域とする |
傭兵国家ゼムの消滅
原作 | 現実主義勇者の帝国建立記《世界解明の章》 |
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時期 | 大陸暦1553年1月 |
備考 | 内乱で傭兵国家ゼムが大虎王国ゼム地方となる。更にハーン大虎王国はハーン大虎帝国に改名する |
フリードニア王国(エルフリーデン及びアミドニア連合王国)
エルフリーデン王国がアミドニア公国を併合してできた連合王国。
正式名称は「エルフリーデン及びアミドニア連合王国」、通称「フリードニア王国」である。
超大陸ランディアにおいて東の大国となる。
後の海洋同盟の盟主国でもあり、人類同盟のグラン・ケイオス帝国やハーン大虎王国と並ぶ三つの大勢力ともいえる国家となる。
国家用語
エルフリーデン王国
本作における主な舞台。超大陸ランディアの東にある多種族国家で、国土だけなら人類側の国家で大陸二番目。モデルはイタリア。
異世界から召喚された勇者によって、種族差別を嫌った者達が誰にも隷属しないために手を取り合い、建国された有力国家であった。しかし、グラン・ケイオス帝国に触発された先々代王の無理な拡張政策により、エリシャ以外の王族が併呑された者たちの怨恨などで激化した継承権争いで全滅したという血塗られた歴史を持つ。
不作、不況、不正、難民などの諸問題にさらされていたが、ソーマによる人材集めなどの政策で大きく解決。後にアミドニア公国を併合して通称「フリードニア王国」として東の大国となる。
アミドニア公国
エルフリーデン王国西部にある軍事国。エルフリーデン王国とは敵対国家でもある。
モデルはドイツ。
約50年前(大陸暦1496年頃)、先々代エルフリーデン国王の拡大政策のせいで国土の半分を奪われる。当時王国だったが「エルフリーデンに領土を奪われた状態では王国とは呼べない」とした当時の王により公国と改名。「エルフリーデンへの復旧のために強くなれ」という国是を取り、王都であるヴァンの立地は構造は愚か、国歌すらエルフリーデン憎しを前面に押し上げた国であることが特徴。そのためあらゆる苦行をエルフリーデンのせいにし、何が何でも復仇することで克服できるという考え方に染まっており、あるものでどうにかするという考え方が生まれづらい土壌があった。
その干渉を問題の根源と判断したソーマとハクヤの策にはまり宣戦布告を受け、あらゆる意味で大打撃を受けることになるのだが、暗躍したロロアによってアミドニアは「エルフリーデンとしては併合するうまみは少ないが、併合しないとかえって面倒なことになる」状況になったためエルフリーデン王国に併合させることに成功する。
一見するとカマセ犬なのだが、きな臭い国家に囲まれながら独立を維持し続けるなど、優秀な人材は割と存在しており、併合後のフリードニア王国の発展に大きく貢献している。
グラン・フリードニア帝国
海洋同盟の盟主であるソーマがマリアと、黒衣の宰相ハクヤがユーフォリア女王ジャンヌと結婚することにより、フリードニア王国とユーフォリア王国の連携を深め、実質的に二つで一つの国として統治することになった。両国の人々はこの二つで一つの国を『グラン・フリードニア帝国』と呼び、ソーマを『フリードニア皇帝』の敬称で呼ぶことになった。
軍事面
エルフリーデン王国時代の戦力は禁軍4万強、陸軍4万、海軍1万、空軍1千である。
アミドニア公国軍はエルフリーデン王国侵攻時、3万であった。
ソーマによって軍は統一され、フリードニア王国国防軍となり、総大将はエクセル・ウォルター、副総大将はルドウィン・アークスが務める。
海上で飛竜を用いるための島型空母や、空から落下することで、敵部隊の奇襲や対空連弩砲の破壊を目的とした竜挺兵(ドラトルーパー)など、独自の兵科を持つ。
東方諸国連合の魔浪時のフリードニア王国国防陸軍は13万。
総兵数
総兵力は約15万。
世界大戦時は、正教皇国軍への対処のためにアミドニア地方に4万。
自慢の艦隊も内陸の戦に参加できないことを考えると、フウガ本隊を迎え撃つための兵数は10万程度。
外交
グラン・ケイオス帝国/ユーフォリア王国
1週間戦争後、秘密同盟を組む。表でも医療同盟を結ぶ。
後に帝国と大虎王国の戦争で武力介入して滅亡寸前の帝国を救い、帝国がユーフォリア王国となってからは同君連合国となる。後に海洋同盟国となる。
トルギス共和国
中立関係だったが、ソーマ外遊の際、友好関係を結ぶ。後に海洋同盟結束する。
九頭龍諸島連合/九頭龍諸島王国
オオヤミズチのせいで漁民・軍で小競り合いが絶えなかったが、オオヤミズチ退治後は海洋同盟結束で友好関係となる。
ノートゥン竜騎士王国
星竜連峰との盟約などで、海洋同盟に加入していないが、ナデンとパイのつながりや、東方諸国連合の魔浪、運び屋稼業で交流を経て、フリードニア王国とは良好な関係を築いている。その為、ソーマの計画に協力する。
星竜連峰
国交はあまりないが、マザードラゴンが国王を招待することもある。
東方諸国連合ラスタニア王国
東方諸国連合の魔浪を経て、フリードニア王国とは良好な関係を築いており、情報交換もしていた。
しかし、ハーン大虎王国に取り込まれる。
ラスタニア王族関係者らはフリードニア王国に亡命することとなる。
ハーン大虎王国・帝国
グラン・ケイオス帝国との戦争で敵対関係だったが、魔王領侵攻では大虎帝国が動く為、こちらも動かざるを得ない厄介な関係に当たる。魔王領とは停戦となったが、大陸統一を掲げる為、いずれ海洋同盟と戦争する可能性が出てきている。
魔王領/シーディアン
人類の敵として認知されていたが、星竜連峰のティアマトの仲介で停戦・和解となる。
貴族・騎士
貴族・騎士
領地を持っている武官を騎士、文官の場合は貴族である。
三公
エルフリーデン王国の軍権を握っている三人の公爵。それぞれ陸軍・海軍・空軍の大将を務め、自領(三公領)に軍を抱えており、軍の維持のために様々な特権が認められている。元々は、人間族の王を戴くエルフリーデンにおいて自種族を守るために設けられた制度。
かつての王位継承争いでは、軍を配下に持つ三公が介入すれば内乱が内戦となり、争いが激化することが予想されるため、軍を自領に抱え込んだまま逼塞していた。
大陸歴1546年、ゲオルグとカストールが新王ソーマに反逆したことや、エルフリーデン軍が国防軍として統一されたことで、制度としては消滅した。
官僚貴族
ルドウィンやマルクスのように、首都や地方都市に出仕して官僚として働き、領地は代官に任せる貴族。
国政に携わる官僚貴族もいれば、有力な地方貴族の都市に出仕する田舎の官僚貴族等もいる。
地方貴族
アルトムラの領主ワイストのように、自ら領地に赴いてその経営に力を入れる貴族。
騎士
軍に所属する代わりに領地の管理は代官を置いて行っている。ワイストのように引退した騎士が貴族となる場合もあれば、軍への出向義務を子供に譲り、自分は領地経営を行う騎士もいる。
貴族・騎士階級の昇格・降格(所領の増減)について
騎士は、戦場において武勲を挙げて軍内の階級を上げれば昇格、働きが悪かったり軍令違反や作戦失敗などがあれば降格といった具合であり、領地の経営状態を問われることは無い。経営状態の悪化の責任は代官にあり、クビにすれば騎士自体の責任は問われなかった(同じ事態が何度も続くようなら処罰の対象になる)。
貴族は、官僚貴族となって首都や地方都市で働き、出世することで昇格できる。国政参加意志を持たない者ならば、ある程度所領が増えたところで地方貴族に転身して領内経営に力を入れるのが普通である。出世欲のない貴族もいまの所領だけで満足ならば地方貴族でいる場合が多い。
評価方針の変更
ソーマが今までの評価方針に加えて、直属の諜報工作部隊『黒猫』を目付役に派遣して、所領の統治が良ければ加増、悪ければ減封或いは没収という評価方法を導入した。
その結果、所領を代官任せにしていた貴族・騎士たちは慌てて自らの所領に目を向け始め、ある者は官僚を辞めて自ら領地に戻り、経営に本腰を入れ始めた貴族もいる。
しかし自身に統治能力のない大半の騎士たちや、官僚としての出世の道が残っている貴族たちは、慌てて有能な代官とその下に付ける有能な人材を探し始めた。
筆記・算術ができる人間ならば一般市民であろうと、まるで賢者を迎えるかのような下にも置かない扱いで迎えており、また犯罪奴隷を除く財産奴隷や娼婦、貧民街の人間などの中に筆記・算術ができる者がいるとわかれば身請けまでして迎えたりもしたそうだ。
おかげで、文字の読み書きと計算できる奴隷がいるジンジャーの奴隷商店には貴族・騎士が押し寄せた。その中の女性騎士は子持ちの母親奴隷を奴隷から解放して子供も一緒に買い取る。ピルトリー・サラセンは姉妹奴隷であるアンズとシホを、奴隷解放するだけでなく、娶った。
地域・施設
- 王都パルナム
エルフリーデン王国、後のフリードニア王国王都。
パルナム城を取り囲むようにして街が栄えている。
“まるで魔法陣のように”円形になっている。
ソーマによって衛生環境の改善、上下水道・交通網の整備などが行われ、レトロな外観の裏側で住みやすい都市に急速な発展を遂げている。
・王立アカデミー
フリードニア王国王都パルナムにある最高教育機関。
様々な学問を習得する場であると共に、王国に属する貴族の子女たちが貴族として必要な教養を学ぶ場所でもある。以前は貴族子女の社交の場という性質が強く、お茶会ばかりしていた。しかし、ソーマの影響で価値観が能力重視に変わったことで古い体質を改善し、才能の有無にかかわらず人材を求めるようになった。
・士官学校
騎士や軍事官僚を養成する学園。
主な卒業生はリーシアやハルバート。
・ジンジャーの専門学校
元はジンジャーの奴隷商店から始まったが、ソーマの計らいでジンジャーの職業訓練所と呼ばれたが後に専門学校となる。
- ラグーンシティ
ウォルター公領の中心都市。湾岸都市のため軍港の役割を持つ。かつて九頭龍諸島内の覇権争いに敗れた蛟龍族が海へと落ち延び、長い海賊生活の果てにようやく手に入れた地であるため、この地を愛する蛟龍族にとっては軽率に触れてはならない逆鱗になっている。領主城がないのは、籠城戦を想定しておらず、外敵に攻め込まれた際は船に乗り込み都市ごと敵を艦砲射撃によって殲滅するためである。
- 紅竜城邑
バルガス公領の中心都市。小高い山の中腹の拓けた場所にあり、交通の便は悪いものの、輸送用の飛竜が人や物質を運ぶことでバルガス公領内の各都市を繋いでいる。領主の居城があるため難攻不落の鉄壁を誇っている。
- ランデル
カーマイン公領の中心都市。王都パルナムには及ばないものの、都市国家を名乗れるほど人口が多い。歴代の陸軍大将が領地経営に無頓着だったため、王の方針によって目まぐるしく姿を変える王都パルナムと違い、百年前から変わらないノスタルジックな街並みが展がっている。
- アルトムラ
エルフリーデン王国(地方)南西部にある都市。
穀倉地帯の中心にある城壁都市でもある。
アルトムラ周辺一帯を治めているのはワイスト・ガロー。
- 湾岸都市ヴェネティノヴァ
フリードニア王国東部にある湾岸都市。「く」の字型に曲がっている王国の海岸線の角部分に
国内の物流を活性化させるための拠点として、ソーマの肝いりで建設された。
二層構造で、海に面した海抜の低い方の層(下層)には漁港・市場・公園が置かれている。
海抜の高い方の層(上層)には住宅街、知事館などが密集して設置されている。
上層と下層を繋ぐ坂道に商店街、職人街が設置されている。
この都市を取り仕切っている知事はポンチョである。
- 公都ヴァン
アミドニア公国首都にして、王国からの侵攻を防ぐ前線拠点として建てた軍事都市。
「何事にもエルフリーデンには負けたくない」というアミドニアの気風により規模だけは王都パルナムに匹敵する。
平民の住宅街は密集し、道も入り組んでいて、迷宮街と呼べるような構造だった。
併合後はソーマの『音楽番組』により、住民の芸術魂に火を付いて、
街角では吟遊詩人が詠い、路上演奏者が奏でて、大道芸人がパフォーマンスを行うようになった。
家をカラフルに塗る場面もあり、芸術の都と化していた。
- ネルヴァ
アミドニア公国(地方)南西部にある城塞都市。
領主は百戦錬磨の老将ヘルマン・ノイマンである。
内乱状態のアミドニアにトルギス共和国が攻めてきた際の拠点として機能していた。
その他
奴隷
犯罪を犯した犯罪奴隷、身売りされた財産奴隷がいる。ソーマとジンジャーによって、国内の奴隷商店を公営化される。更に奴隷に落ちないように職業斡旋所、後のジンジャーの訓練所ができる。
教育・研究
王立アカデミー、士官学校、魔導士学校、ジンジャーの専門学校がある。
医療
ブラッド、ヒルデ、ソーマによる医療制度改革で、大陸にある国の中で最も医学が充実する。
経済・交通
食糧問題があったが、王国中に道路網張り巡して、輸送力をあげるなどで解決。
難民問題
魔王領出現で北の国から多くの難民が押し寄せていた。許可無く狩猟・採集行為を行い(この国の民ではなく、事情により国民が同情的で大丈夫だった)、審査落ちした奴隷商が誘拐未遂も起こっていた。
ソーマの勧告で、この国に残るか、去るかを迫られる。
コマインや妖狼族のようにフリードニア王国の民になる者もいれば、ジルコマのように王国を出て行く者もいた。
トルギス共和国
エルフリーデン王国と隣接している国家の一つ。モデルはフィンランド。
南、南東の国(海洋同盟国)。首都サプール。人口は約140万人。
冬は常に雪に覆われる極寒の国で雪原の五種族と呼ばれる獣人達が住んでいる。
主要産業は畜産と漁業で、ケナガサイやマンモスのような見た目の毛の長い生き物を育てて、毛や肉を利用している。また鉱物資源も多く産出される。
国民性は内向的。職人気質。クーのような性格はこの国ではかなり珍しい。
政治形態
政治形態は共和制で、各部族の代表者である族長が集まり、族長会と呼ばれる議会のようなものが形成されている。族長会でこの国の名目上の代表者(元首)を選出する。
国内でのことは族長会と元首が話し合って決めるが、対外的(交渉や戦争など)は元首が指揮することになる。元首は1代限りだが、族長会の承認が得られれば世襲も認められる。
地形・その他特徴
上空を覆う乱気流と冬は凍り付く海などの立地もあり、他国が積極的に仕掛けにくい環境であると同時に北上政策(南半球に近いのか、南にいくほど寒くなる)を是とする。
反面その立地もあって空軍の確保や冬の移動が困難であるため、北上政策を成功してもそれを持続させることが困難に近い。クー曰く北進政策派は年寄り連中が多い。
手慰みなどで培われた結果、手先が器用な職人が多数存在することも特徴。そこに目を付けたソーマが医療の発展に必要な医療機器の生産を求めようと判断したことで、のちに帝国も含めた医療同盟を結ぶことになる。
雪原の五種族
雪猿族、白兎族、白鷲族、雪熊族、海象族の獣人達である。これらの五種族は他の獣人族がそうであるように、女性であれば人間に動物の耳や羽やしっぽが生える程度なのだが、男性であればかなり動物に近い顔をしている者もいる。異種族の間でも婚姻は認められているが、生まれてくる子供は必ず親のどちらか一方の種族として生まれて特徴が混じり合うようなことはない。一番多いのは多産種族として知られる白兎族であり、一番少ないのは平均身長が二メートル以上ある海 象族だった。
これらの種族は入り交じる形でこの国の中で部族を作っているのだが、種族によって能力に差があるためその土地にあった配分になっている。
海辺に暮らす部族は氷の海に入って魚を捕ることができる海象族・雪熊族の割合が多かったり、
山岳部で暮らす部族には地形をものともしない雪猿族・白鷲族が多かったり、
夏場の短い期間で農耕を営む白兎族は平地に住まう者が多い。
人間族の行商人など他の種族もいることにはいるのだが、この地の真冬は極寒となるため他の種族では普通に生活するのも厳しく、奴隷などを除けば雪に道が閉ざされる前には国外へと退避する。
技術力・基幹産業
技術力はかなり高度。国中で冬場は家の中で内職を行ってきたことから、手先はかなり器用で精密で精巧な部品を作れる。方向性さえ示せるならば技術立国できるだけのポテンシャルを持っている。
産業は寒冷地用の家畜の放牧。また豊富な鉱物資源を活かし、冬場に精巧な細工物を作成して、それを夏場に来る行商人に下ろしていた。医療同盟締結後は医療器具を両国から大量発注されてすっかり主要生産物となっている。
軍事面
総兵数7万人。極寒の地であるが故に飛竜を飼育できず空軍を持つことができず、また不凍港がないため海軍も夏場防衛用のごく僅かしか所持していない。代わりに陸軍は精強で寒冷地に強い騎獣などもあり、共和国内での戦闘に関してならば最強レベルである(他国を制圧するには向かない)。
ヌーマス騎兵
現実世界で言うと戦象兵にあたる兵科。騎兵に比べて巨大で突破力がある一方、ライノサウルスよりは小さく小回りが利く。寒冷地仕様の生物のため雪も氷も踏み越える踏破力があるが、大陸の北へ行き気温が高くなるほど弱体化するのが欠点。
大虎ケイオス戦争時のヌーマス騎兵には雪原の五種族を中心とした獣人族の兵5万が随伴していた。
外交
厳しい環境であるため他国からは狙われず、エルフリーデン王国、アミドニア公国への侵出を狙っていた。
フリードニア王国、グラン・ケイオス帝国
医療同盟を締結し、また共同技術開発などを行い、良好な関係を築いている。
地域・施設
- 首都サプール
共和国を動かす族長会議が行われる政治の中枢であり、共和国の祭祀を執り行う中心地。
クーとタルとレポリナの結婚式は『サプール神殿』で行う。
- ノーブルベップ
トルギス共和国東部の町。宿泊場所である白鳥亭、タルの工房もある。
傭兵国家ゼム/ハーン大虎帝国ゼム地方/トルギス共和国ゼム地方
都市国家が群雄割拠する時代において、不遇な立場に追いやられていた傭兵たちを率いた傭兵王ゼムが建国した国家。
首都ゼムシティ。その来歴から「強ければすべてを得られる」を国是としており、国内最大の催し物である大武術大会の優勝者が願えば、王との一騎打ちに勝った上でなら国王の座につけるという制度がある異例の国家。モデルは血の輸出と呼ばれた頃のスイス。
山々に囲まれた天険の地。守りには適した土地ではあるが耕作面積は少なく貧しい。そのため各国に自国の傭兵を派遣して外貨を獲得している。また一年に一度武闘大会を大々的に開催し、他国からもお客を呼び込んでお金を落としてもらっている。この戦いに勝利すると可能なかぎりの望みを叶えて貰えることで有名。
国そのものは永世中立を謳いつつ、傭兵を派遣することで外貨の獲得や発言力の確保を行っている国。
人口は100万人(傭兵輸出が産業なので人口の一割が傭兵として計算)。
技術力
戦闘技術以外は低レベル。牧歌的な雰囲気。
気候
高地なのでエルフリーデン王国に比べれば寒冷。夏も涼しい。
住んでいる種族
多種多様(ただし体格が良いものが多い)
基幹産業
高地での酪農(アルプスの少女ハイジのような暮らし)。
国民性
筋肉至上主義
軍事力
傭兵であり、国家の正規軍。国が貧しいため騎兵や空軍が持てず、歩兵でこれらと戦うための技術が発展した。
捕虜の身代金が成立している世界情勢もある。
傭兵たちは長柄の武器を使い、「ゼムの騎獣狩り」と呼ばれるほどの対騎兵戦に長けている者が多い。反面傭兵の気質もあり、逆に練度の高い歩兵部隊との集団戦闘は比較的苦手とされる。
兵数は10万人。グラン・ケイオス帝国侵攻時は、ゼムの傭兵軍団は8万兵。
外交
永世中立を建前上掲げている。人類宣言には加盟。
エルフリーデン王国/フリードニア王国
傭兵契約を結んでいたが、君主論の影響を強く受けるソーマは傭兵に信を置かないため契約は打ち切られた。またソーマ自身はゼムの在り方を危ぶんでおり、時代に取り残されると懸念すらしている。
傭兵国家ゼムの滅亡
ギムバールとの決闘で勝ったフウガの支配下となる。
大虎ケイオス戦争後の動乱で併合されて、ハーン大虎帝国ゼム地方となる。
トルギス共和国に加わる
大虎城の変事件後は、モウメイより指揮権を返上されたギムバールが、旧ゼム地方の領主達と話し合った結果、トルギス共和国に併合してもらい、トルギス共和国ゼム地方となる。
九頭龍諸島連合/九頭龍諸島王国
東の海にある島国の連合国家。モデルは江戸と唐の文化を混ぜた形にしたとのこと。
大陸で滅亡した国の王族、残党、迫害された少数種族、政争に敗れて国を追われた者たち、犯罪者など、大陸に居場所がなくなった者達が移り住んだのが起源とされている。
海の縄張り、島の独立維持で争うこともある。そんな成り立ちもあってか、この国の人は気性が荒く、島ごとの独立心が強い。
統治体制は各島毎に代表者である島主が存在して統治している。名目上、一番大きな島の島主である『九頭龍王』を連合の長としているが、中央集権はなされていない。ただし外敵が侵入する場合は、各島主は九頭龍王のもとに団結する。
オオヤミズチの一件から、九頭龍女王となったシャボンが中央集権化を進めて『九頭龍諸島王国』となった。
フリードニア王国・トルギス共和国との間に技術協力を結び、大陸の事物を学んで国力を増強させている。とくに各島が別個に保有していた海上戦力を統合し、一つの意思のもとに動く『女王艦隊』として再編している。もしまたオオヤミズチのような巨大不明生物が現れたとしても、意思統一が図れないということはなくなった。また艦隊の設立は各島の往来を今まで以上に自由にし、フリードニア王国とグラン・ケイオス帝国との取引に協力して外貨を稼いでいる。
国民性だと、男は江戸っ子か気の良い海賊といった印象。女性は大和撫子タイプと、かかあ天下にハッキリとわかれる。
基幹産業は漁業と海運業。とくに漁業は誇りと結びついている。
軍事面
九頭龍諸王国の艦隊は、海竜類やツノドルドン(角の生えたイルカのような生物)に牽かれた大小様々な艦船で構成されており、木造船に鉄を貼り付けたものが主流。
大虎ケイオス戦争時は、海戦の変化に対応すべく、これまでの木造船に鉄を貼り付けた鉄甲船と同時に、フリードニア王国の協力を受けて、大型大砲や対空連弩砲を積める鋼鉄の戦艦も配備するようになった。そんな九頭龍王国の艦隊の中でも一際大きく立派な戦艦『真龍王丸』がある。
技術力
日本刀のような刀である九頭龍刀を製造できるたしかな技術力があり、トルギス共和国に負けない職人魂がある。また海上では魔法が使えないため、小型の大砲である『狛砲』など火薬兵器が大陸より発達している。また原料である硝石もよく採れる。
気候
エルフリーデン王国に比べて多湿。四季もある。日本の太平洋側っぽい。
種族構成
多種多様だが、人魚族と獣人族が主である。成立経緯から人間族は少なめ。人間族はヤエズ島に多く、黒髪の者が多い(ソーマがお忍びの際に九頭龍諸島出身を装う理由)。
かつて蛟龍族が島の一つで暮らしていたが政争の末、居場所を追われた。
外交
諸島以外に対しては閉鎖的だったが、オオヤミズチの一件から変わる。
フリードニア王国
海洋同盟国。
トルギス共和国
海洋同盟国。
グラン・ケイオス帝国/ユーフォリア王国
後の海洋同盟国。
グラン・ケイオス帝国/ユーフォリア王国
グラン・ケイオス帝国
本作世界において最も繁栄している人間側の国家。モデルはフランス。
首都は帝都ヴァロア。
この帝国が戦争支援金か召喚した勇者を差し出すようにエルフリーデン王国に要請したのがそもそもの発端である。
女皇マリアやその妹であるジャンヌは非常に善良であり、上記の無理難題も、対魔王領として帝国が主導した国際条約「人類宣言」に参加していないエルフリーデン王国が立地上恩恵を受けまくっていることで発生したヘイトを緩和するため「勇者召喚を試みて協力の姿勢をみせた」という事実を作らせることが目的。
歴史はエルフリーデン王国より若干浅い。大陸の『大混乱期』末期のケイオス王国が1人の王のもと、中央集権化を行い、人間族の元に力を終結させた独裁国家だった。
そのため、マリア(六代目皇帝)に代替わりし、種族平等を掲げるまで人間族優位の国だった。
領土の範囲と人口の多さ共にトップであり、それに後押しされた国力は地球におけるアメリカに値する列強国だが、肝心の人類宣言が帝国にとって諸刃の剣であり、この世界における二大宗教の片割れからマリアが敵視されているなど、内部分裂の火種がいくつかあり無敵というわけではない。
多民族国家のため、国内の一部地域に「ゼルリンの活き〆」や「猩々を使った幻惑リリーの調理」など独自の食文化を持つ民族がおり、ソーマに登用されたポンチョが大々的に再現するまでユーフォリア家でも把握できていなかった。
帝国の属国
帝国の拡張期に、早くから帝国に臣従することで存続してきた国家。属国となった当初は帝国との間に軋轢もあったものの、5代目皇帝(気弱で消極的)や、6代目女皇マリア(穏健)の治政下では高度な自治が認められ、昨今では反発も起きていなかった。魔王領出現後は帝国主導の「人類宣言」の庇護下に入っていたため、三国の仲は良好だった。
しかし、フウガの魔王領解放事業によりハーン大虎王国と国境線を接するようになってから、魔浪の脅威が無くなった代わりに、アミドニアによるエルフリーデン侵攻を防げなかった帝国への不信感、大虎王国と帝国とが敵対した場合に自国が戦場になるかもしれない不安感などから、「大虎王国と帝国、どちらに与すべきか」という議論が属国二国の国民間で起こる。
そして大陸歴一五五二年六月末、二国の国境線にもなっている火山の噴火による被害を受け、帝国からの十分な支援はあったが、地震の被害を受けた帝国北部へのフリードニアからの支援物資を「属国に分配せず帝国が独占した」という噂が流れ、独立運動が起こった。
フラクト連邦共和国
東方諸国連合のように中小国家が集まっていた地域だった。しかし魔王領出現前の帝国の拡張期に、帝国に対抗するために一つの国家としてまとまることを選択した。その結びつきは東方諸国連合よりも強く、国家を解体して州として再編し、各州から代表者を選んで議会とする共和制に移行した。しかしそれでも強大な帝国には抗しきれないと判断した議会は、帝国に臣従して国家としての形を残すという選択をした。「現実主義勇者の帝国建立記」で国名は残るもののハーン大虎王国に取り込まれる。
メルトニア王国
フラクト連邦よりも先に帝国に臣従している。竜騎士王国やフラクト連邦に比べても小さな国土と国力では反抗などできようはずもなかった。一方で当時の帝国にしても、戦争したものの痛み分けに終わった竜騎士王国との間に緩衝地帯を設けたいという意図があったため、メルトニア王国の存続を許した。メルトニア王家がこの国を統治していたが、「現実主義勇者の帝国建立記」でハーン大虎王国に取り込まれることになり、親帝国派だったメルトニア王家は帝国への亡命を余儀なくされる。
ユーフォリア王国
大虎王国に敗れたグラン・ケイオス帝国が縮小した国。海洋同盟の加盟国となる。王都ヴァロア。
海洋同盟の盟主であるソーマがマリアと、黒衣の宰相ハクヤがユーフォリア女王ジャンヌと結婚することにより、フリードニア王国とユーフォリア王国の連携を深め、実質的に二つで一つの国として統治することになった。両国の人々はこの二つで一つの国を『グラン・フリードニア帝国』と呼ぶことになった。
元々ユーフォリア王国は昔、帝国の北西部にあった国だったが、大虎王国に敗れたのを機に、
ユーフォリア王国の流れを汲む貴族・騎士を繋ぎ止める為、名前だけの復活となる。
帝国時代に比べると、空軍のうちグリフォン部隊の約半数がフウガ勢力に寝返ったことにより、陸軍の兵数は20万ほどに減少したものの、艦隊はほとんど無傷で残ったため、フリードニア艦隊ほどの規模はないが、九頭龍諸島王国艦隊と同等(縮小した国土面積からみればやや過剰戦力といえる)ほどの海軍戦力を有している。
世界大戦では、国境沿いに配置されていた軍勢(ガーラン精霊王国の義勇兵+元グラン・ケイオス帝国から鞍替えした領主軍による混成部隊)に進軍されるが、フリードニア王国からの支援(島形空母二隻を派遣)を公表したことで、国民のフリードニア王国に対する心証悪化を防ぐ。
その後、ハーン大虎帝国軍とユーフォリア王国軍とで、戦闘が開始されないまま睨み合う(両軍とも兵数は5万ほど)。
フウガ軍を率いる『虎の剣』シュウキンや内政官筆頭ルミエールと、ユーフォリア軍を率いる女王ジャンヌや『黒衣の宰相』ハクヤとの間で『フリードニア王国が勝てばフウガ軍が撤退。負ければユーフォリア王国軍が降伏』という旨の誓約書を交わす。
また、ハーン大虎王国に進軍する別働隊へ、約2万の兵を供出している。
歴史
帝国建国期
100年前(大陸暦1446年頃)、ケイオス王国のマナス・ケイオスが誕生する。ケイオス王家の次男として生まれたが、ユーフォリア王国との戦争で、ケイオス国王と長子が戦死し、王位を継承する。
しかし、マナスは復讐戦はせず、ユーフォリア国王の娘を妻に迎え、縁戚関係を結んだ。
自らの名前をマナス・ユーフォリアに変えて、ユーフォリア王国側の警戒を解く。
これはユーフォリア王国との国力差がさほど大きくない状態で戦争すれば、長期化して国を疲弊させるからである。それからユーフォリア王国を利用し、周囲の小国を呑み込み、圧倒的な国力差をついたら、即座に妻の実家であるユーフォリア王国を攻め滅ぼしている。
ただ、妻への負い目があったからか、その後もユーフォリアの性を名乗り続け、彼以降の皇帝はユーフォリアを名乗るようになった。
ユーフォリア王国滅亡後もマナスは侵略戦争を続け、大陸西部の大国となり、グラン・ケイオス帝国となる。
マナスは後にケイオス大帝と呼ばれたが、病によって50歳で没する。
二代目皇帝以降
二代目皇帝はマナスの忠実な側近が生きていたので、堅実に国を纏めた。
三代目皇帝時は、忠臣達もこの世を去っていた。初代皇帝の統一事業を継承できることにより
家臣の支持を得る為、侵略戦争を起こしたが、予想以上の戦費、内乱が頻発し、帝国が荒廃する。
賊徒により、三代目皇帝は死亡する。この戦争の被害が世界を協調路線へと転じさせた。
四代目皇帝時は拡張路線を放棄して、内政に力を注いだが、消極的だと諸侯に侮られることになる。
五代目皇帝(マリアの父)
五代目皇帝即位時は帝国の求心力は衰え、分裂するだろうと思われていた。
魔王領出現により帝国は人類国家の盟主となるが、惨敗。文人肌で戦場に慣れない5代目皇帝は大陸暦1541年にこの世を去った。
六代目皇帝(マリア女皇)
5代目皇帝には男子がおらず、跡を継いだのは当時14歳の少女だったマリアであった。
年若い彼女の即位を危惧する声も多かったが、天性のカリスマを発揮し、他種族であろうとも才ある者を登用、人類宣言を提唱し、弱者救済政策で人望を集め「帝国の聖女」と呼ばれる。
魔王領の脅威が迫る混迷した時世では、精神的支柱となる強国の存在が必要不可欠なため、基本的には帝国と帝国主導の『人類宣言』は優位性を保っていた。
人類宣言消滅、グラン・ケイオス帝国からユーフォリア王国に
「現実主義勇者の帝国建立記」では大虎王国に敗れ、『人類宣言』は解散し、国土も大きく減少する。
グラン・ケイオス帝国という大仰な名前は名乗れず、国名は『ユーフォリア王国』となる。
マリアは退位し、妹のジャンヌがユーフォリア女王として即位する。
軍事力
飛竜騎士を空中戦で圧倒し、竜騎士にすら匹敵するといわれるグリフォン騎士団、彼らが隊列を組んで進んだ分だけ帝国の領土が広がったといわれる対魔法戦特化型重装歩兵部隊・魔装甲兵団、調教によりライノサウルスを移動砲台として運用するカノン・ライノサウルス等、独自の兵科を持つだけでなく、飛竜の保有数や魔導士部隊も他国を凌駕している。大虎王国との戦争時の総兵力は約25万。
ユーフォリア王国に縮小してからは、グリフォン部隊の半分を失ったが、マリアの備えにより海軍戦力は南部に集中していたため、北部海岸地域の領主の艦船をのぞけば、艦隊はほぼ無傷の状態で残されていた。
海上戦力の規模は九頭龍諸島王国艦隊に匹敵する。艦隊の教導役としてエクセル・ウォルターを招いている。
外交
エルフリーデン王国/フリードニア王国
一週間戦争から大虎ケイオス戦争まで、秘密同盟を結んでいた。大虎ケイオス戦争後は海洋同盟に加入する。
トルギス共和国
海洋同盟国。
九頭龍諸島連合
海洋同盟国。
地域・施設
- ヴァロア
グラン・ケイオス帝国の西端部に位置する帝都。後のユーフォリア王国の首都。規模はパルナムよりも大きい。守備兵は約3千。
都市に隣接する小山の上には、荘厳なユーフォリア家の居城「ヴァロア城」がそびえ立っている。
かつて、帝国が最強国家であることを諸外国に示すために、機能性よりデザイン性を重視して建てられたものである。
- ジャモーナ城塞
東側の国家からの侵攻を防ぐべく建設された砦。帝国拡張期、北への進出に注力する際に東側国家から横槍を入れられないために建設された難攻不落の城塞。険しい山々を結び、川さえも流れを変えさせて、砦を攻めようとした敵が撤退するのを難しくするよう調整されている。帝国にとって最も防備の堅い場所だが、東側からの侵攻に対する防衛拠点はここ以外にない。
東方諸国連合/ハーン大虎王国・帝国
ハーン大虎王国/ハーン大虎帝国
東方諸国連合の小国、マルムキタンの王であるフウガ・ハーンが起こした一大王国。
東方諸国連合の統一と魔王領の奪還で国土を広げ、フウガの夢に共感した者たちや一旗揚げようとする者たちを集めて拡大を続けている王国。
フウガを「英雄」として見ているソーマからは警戒されつつも直接対峙は危険と見なされている国家。フウガの在り方がソーマとは相いれないだけでなく、時流に乗ったという性質上「常に成果を上げ続ける」ことが求められるため、「時流に振り回されずに堅実に少しずつ進めていく」ことを方針とするフリードニア王国とは足並みをそろえられないという、敵対するのも協調するのも困難な状況になっている。
大陸暦1552年に起きたグラン・ケイオス帝国との戦争では帝国北部領土を奪ったことで判定勝ちとなり、戦後、ハシムの献策によって、ハーン大虎帝国となる。
ハーン大虎城は旧東方諸国連合の真ん中より東よりと想定とのこと(どぜう丸氏曰く)。
大陸歴1554年に海洋同盟との間で起きた世界大戦では、フウガが敗れ、フウガの故郷である草原地帯や、港湾都市のいくつかを海洋同盟に奪われることになる。実質的に敗戦国だが、国内では痛み分けだと喧伝される。
大陸暦1555年に大虎城の変事件が起きて、国の上層部の一部が戦死、フウガとムツミは生死不明により、内乱が起きる。
逆臣クレーエ討伐後、開催された第二回バルム・サミットで、国土の再編が行われ、東部を(フウガの遺児スイガから国を預かっている)シュウキンとルミエールが統治するハーン大虎王国、中部をロンバルトが統治するレムス王国、西部をユリウスが統治するラスタニア王国とした。
軍事面
変化
大陸歴1550年、ガーラン精霊王国父なる島での戦闘以降、元ガビ王ビトー配下の精強な弓兵部隊を完全に接収する。
1552年のグラン・ケイオス帝国侵攻時は、大虎王国軍は20万兵。帝国との戦争後は、帝国軍グリフォン部隊の約半数と、元帝国将兵から技術を吸収して編成したカノン・ライノサウルス部隊を手に入れた。
総兵数
ハーン大虎帝国軍の総兵数は40万ほど。
- 旧東方諸国連合の軍勢
- 旧グランケイオス帝国の半分及びその属国二国の軍勢
- 旧ゼムの傭兵部隊のうち臣従した者と彼の国からの徴兵
- これに難民兵やフウガにあやかって名を上げようという志願兵も加わった数
世界大戦時
西でユーフォリア王国と睨み合っている軍勢5万兵。
南で共和国を防いでいる軍勢5万兵。
ルナリア正教皇国軍への援兵兼お目付役として派遣したロンバルトら数百名
フリードニア王国へ攻める主力軍は本国を防衛するための兵力を除くと、約20万兵。
テムズボック
大虎王国の前身であるマルムキタンの頃から保有する兵科・跳躍騎兵の騎獣。高い城壁も三駆けで登ることができる程の高い跳躍力を持つ。騎兵でありながら、飛竜騎兵のように戦場の宙を駆け回り敵を混乱させる。
草原地帯だった頃、攻め込んできた国々を兵数で劣勢だったにもかかわらず打ち破るほどの戦闘力を持つ。
カゲトラは初見で対策の難しい兵科であると判断している。
ソウゲンヤク
テムズボックと同じくマルムキタンの頃から保有する騎獣。テムズボックより足腰がしっかりしているため、フウガ以上の巨漢であるモウメイが騎乗している。
白蛇
チマ家が抱えていた密偵集団を増強・拡充した諜報部隊。
東方諸国連合
エルフリーデン王国の北に存在する多くの中小国家による連合。
この地域は中小国家が乱立していて、併合と分裂を繰り返してまとまりのない地域だったが、魔王領が出現した際に分裂したままでは呑み込まれるだけだと悟り、一つの共同体として成立した連合国家。そのため建国からまだ十年程度である。
それ以前から小国同士で縁故関係を結んでの同盟や条約が結ばれており、結果としてどの国も大国化できないジレンマを抱えていることもあり、諸問題もあって「英雄」を求める土壌ができている地域でもある。
連合に属する国が兵を供出することで結成される東方諸国連合軍があるが、より多くの兵を供出した国家に発言力・優先権があるため、大陸暦1547年に発生した魔浪では連合内の全ての魔王領近接国への救援は間に合わなかった。兵の供出は、保有する兵数のうち中規模国家は全体の3割、小規模国家は全体の1割で、最も多くの兵数を供出しているのはシャーン王国。
大陸暦1549年の東方諸国連合統一戦争でハーン大虎王国が建国される。
- ラスタニア王国
総人口2万人ほどの王政の小規模国家。小国のため王城はなく、王族は中心都市ラスタに構えた王館と呼ばれる邸宅に居住している。西の隣国ノートゥン竜騎士王国とは東方諸国連合成立以前から同盟を結んでいる。王族・国民共に穏やかな気質で、他国から流れてきたユリウスやジルコマ率いる難民達を温かく受け入れた。フウガ台頭後、難民兵のうちジルコマのようにラスタニアの民と所帯を持った者以外の全員がフウガの元に馳せ参じることとなり、魔浪を経験したことで大多数の国民もフウガの傘下に入ることを望むようになる。王女ティアの夫ユリウスは、自身の経験から、不要になった王族を国民が拒絶する事態を予期したため、ラスタニア王家やその忠臣達のフリードニア王国への亡命を画策した。
- チマ公国
中心都市はウェダン。元は中規模国家の公爵だったチマ公が独立して興した国で、時勢によって様々な陣営に身を置くことで独立を維持してきたやり手の国家。血と家名を残すために親兄弟さえ政治の駒として扱い、時には家族・親族同士で争ってきた。連合内にチマ家が代々築き上げた外交網を有しており、それを使った連合内の均衡の維持こそが歴代チマ公の生き様とされている。
- 草原遊牧国家マルムキタン
東方諸国連合成立直前に、初代国王ライガ・ハーンが草原を統一して興した中規模国家。国家成立以前は草原の諸部族が時に争い、時に婚姻によって結び、外敵には一致団結してあたってきた。種族構成としては獣人との混血が多くみられる。跳躍力に優れた騎獣テムズボックを用いた跳躍騎兵という独自の兵科を有し、外敵を寄せ付けない強さを持つ。
- ロス王国
フリードニア王国との国境から近い国。隣国レムス王国とは長年友好的な関係を築いている。1547年の魔浪ではチマ公国に援軍を派遣し、チマ家三女サミを獲得し、王が養子として迎え入れている。フウガ台頭後の1549年、フウガに対する反発はないものの、反フウガ派に属する友好国との対立を忌避したロス王の意向により、中立の立場をとった。セバル平原の戦い後、帝国やフリードニアと肩を並べるために東方諸国連合の統一を急ぐハシムの策略で、王ハインラントが謀殺される。
- シャーン王国
フウガが魔王領を切り取るまでは、連合内で最大の国力・国土面積を持つ国だった。そのため王だけでなく国民も「東方諸国連合の中心は自分達である」という自負が強く、名声を得るフウガを敵対視し、反フウガ派についた自国の王を支持していた。
1547年の魔浪ではチマ公国へ救援に赴き、フウガに次ぐ戦功第二位となり、チマ家次男ナタを獲得している。武力重視のお国柄で、王シャムールは剛力で大斧を振り回すナタを一目見て気に入り、養子に迎えている。
- ガビ王国
1547年の魔浪の際はチマ公国へ援軍を派遣し、戦功によってチマ家三男ゴーシュを獲得している。
精強な弓兵部隊を保有している。
穀倉地帯セバル平原を見下ろす位置に王城が建っている。
国王はビトー・ガビ。
ルナリア正教皇国
グラン・ケイオス帝国とフリードニア王国に挟まれる位置にある、大陸において母竜信仰と人気を二分するルナリア正教という宗教が運営する宗教国家。首都は聖都ユムエン。人口は約100万人。
信徒によって運営される宗教国家である都合上、信徒の獲得を最優先とし、国政においては祭祀さえしっかりとこなしていれば支持される性質を持つ。また宗教的権威を獲得するため、聖女と称される女性を有力者に仕えさせるために送るといった政策をとっている。
大陸歴1546年秋頃、エルフリーデン王国がアミドニア公国を併合しフリードニア王国となって国力が増大したことに目をつけ、翌年1547年三月、その影響力を取り込むため、聖女メアリ・ヴァレンティをフリードニア王ソーマの元へ派遣する。(それ以前から、ソーマが気に入るタイプの女性を選出すべく、王都パルナム内で正教皇国の密偵が諜報活動をしていた疑いがある)
ルナリア正教の国教化、ソーマに対する『聖王』認定を打診し、国教化の応諾は得られたものの、『聖王』認定は断られてしまう。
その上、フリードニア王国内においては、国家へ登録されたすべての信仰は国教として承認されるように制度が変更された挙げ句、破戒司教ソージ・レスターを王国ルナリア正教徒の代表に据えられ、本教会からシャットアウトされてしまった。
思惑を全て躱されてしまい、フリードニア王国との強固な結びつきを得られなかったことで焦りを募らせることになる。1547年、光の碑文(ルナリス)に神託が表れると、『北東』『昇る日』『世界を覆う光』『焼かれる国々』という言葉から『世界を覆うほどの影響力を持つ英雄が北東に現れる』と判断し、『焼かれる国々』の解釈を巡って穏健派と急進派とに分かれ、優勢になった急進派によって穏健派の粛清が行われていくことになる。
1549年マルムキタン国王フウガ・ハーンによって東方諸国連合が統一され、『聖王』フウガへの権威付けに聖女アンが選出される。その際、元聖女メアリや穏健派の司教たち、聖女教育が完了していない年少の聖女候補たちは、ノートゥンの竜騎士によってフリードニア王国へ亡命している。その後、フリードニア王国内のルナリア正教はソージを大司教とする『ルナリア正教フリードニア国教会』として分派することになる。
1552年、ハーン大虎王国と傭兵国家ゼムと共にグラン・ケイオス帝国へ宣戦布告し、ジャンヌ率いる帝国陸軍(約20万)とジャモーナ城塞で激突する。終戦後、フウガを利用しようとする教皇派と『聖王』フウガを崇めようとする聖女派とで争いが起こり、フウガから軍事的支援を受けられる聖女派が勝利する。
1554年の世界大戦では、ミオやマルガリタ率いるフリードニア軍と戦うが、水球に映ったソージによって「どんな者だろうと死後ルナリア神によって救われるのだから現世をどう生きようと好きにしていい」という解釈を聞かされ多くの兵が戦意喪失し逃走する。聖女アンの身柄は押さえられなかったが、ロンバルトとヨミの夫妻が捕虜として連行される。
翌年、大虎城の変でフウガが生死不明になると、正教皇国内の異端として弾圧された派閥の残党が息を吹き返し、フウガ支持派の現政権を打倒する。しかしフウガが台頭して以降、粛清や弾圧を繰り返していたため、権威を維持していた最後の派閥さえも失墜したことで、国内が混迷を極めることになった。正教皇国の人々は、フリードニア王ソーマの権力の後ろ盾を得ることができ他宗教にも寛容な姿勢を示してきた大司教ソージ・レスターに救援を要請する。ソージは幽閉されている聖女アンの身を案じるメアリに説得され、ソーマに対し正教皇国への救援を依頼し、ソーマが快諾したことで混乱は収まった。だが、数年間に渡って政敵を異端と断じ排斥してきた正教皇国に国を治める力は残っておらず、ソージは聖都ユムエンとその周辺地域を『ルナリア教皇領』としてルナリア正教の総本山の役割のみ残し、その他の国土をフリードニア王国へ割譲した。
歴史
地球から移住してきた者たちによって建国された国家。彼らは月から来たとされ『月の民(ルナリアン)』と呼ばれた。ルナリアンは計算によって未来を予測する『月の碑(ルナリス)』を持っていた。ルナリアンは現地の人類にルナリスの未来予測を信じさせるために、ルナリスは月神(ルナリア)様の賜物であるという宗教を起こした。これが『ルナリア正教』と『ルナリア正教皇国』の始まりである。
外交
グラン・ケイオス帝国
聖女と民衆から呼ばれるマリアが統治する帝国とは、マリアがルナリア正教にとっての聖女認定を断ったこともあって潜在的な敵となっている。
フリードニア王国
ソーマを聖王認定しようとするが、宗教による国政の干渉を避けたいソーマ達によって思惑をうまく外されてしまう。
ハーン大虎帝国
フウガとのつながりを強硬する結果になり、ハーン大虎王国の権威をより強靭なものにする結果となる。
軍備
兵数は5万人(ただし一向宗のようなものなのでこの倍以上動員可能)。
グラン・ケイオス帝国領内へと侵攻を開始時は、正教皇国軍は7万兵。
ガーラン精霊王国
大陸から見て北西部にある二つの大きな島を領土とする、大陸に住んでいたころに迫害を受けていた影響でハイエルフ至上主義を掲げる国家。
ハイエルフを頂点とし、それに次ぐ地位にライトエルフ・ダークエルフ、見下される地位にハーフエルフがいる。エルフ以外の種族は全て奴隷。
他国に対して鎖国政策を取り、同時に人種差別主義の思想を持っているため他国からも警戒されている。
ハイエルフを守るとされる精霊王を信仰し、国王は神格化されておらず祭祀長のような立場にある。
国土は魔法が強化される場所で、襲来してきた虫型魔物も凶暴化し、父なる島全域と母なる島の一部を占拠される。
国土奪還のために人類宣言盟主のグラン・ケイオス帝国や海洋同盟盟主のフリードニア王国に接触するが国策故に断られ、ハーン大虎王国の協力を取り付けるが、不満分子をたきつけた形で父なる島で傀儡政権が作られ、独立されてしまい、結果的に国土を奪われる。
母なる島
魔王領出現以降の国土。一部が魔物に占拠されており、魔物との膠着状態が続いている。
父なる島
精霊王国独自の信仰における祭祀の中心地。魔物によって魔王領となっていたが、ハーン大虎王国によって解放される。
城塞都市ミン
父なる島で最も栄えた都市。祭祀を執り行ってきた。歴史ある都市で、中央部にはピラミッドやチチェン・イッツァを思わせるような石造りの建造物がある。長らく虫型魔物の巣窟となっていたが、フウガ軍とガーラン義勇軍の連合軍によって解放され、連合軍の重要拠点となる。
星竜連峰
かつて帝国の侵略すら跳ね返した、竜たちの自治国家。首都は常春の高地ドラクル。
マザードラゴンの城はクリスタルキャッスル。人口は数百匹の竜が暮らしてる。
母竜信仰という二大宗教の片割れにもなっているマザードラゴンと彼女に従う竜たちで構成される国家同然の勢力であり、ノートゥン竜騎士王国との間で竜と騎士との契約を結んでいるが、他国への侵略活動に竜を使うことを一切認めていない専守防衛の在り方を取っている。
聖母竜ティアマトや契約前の竜の他に、巫女竜(竜騎士王国へ嫁いだものの子が出来ないまま伴侶に先立たれた竜)が居り、ティアマトの補佐や城の維持管理、子竜の世話などをしている。
歴史
ティアマトは地球人類より、地球人類が移住するまでの間、南半球の管理を任されていた。ティアマトは眷属として竜を作り、不具合を起こしたダンジョンから魔物が出現した際には派遣して討伐に当たらせるなどしていた。しかし地球人類移住計画が白紙となると、眷属である竜たちをこの星の種族の一つとして扱うようになる。ただ竜は種族としては不安定(性別も曖昧)で竜同士では子孫を残せないため、他種族との交配でのみ子孫を残すことができた。
ドラクル
星竜連峰の中心地。自然豊かな常春の地で、中心部には水面が波立つほどの巨大なドラグ湖があり、その中央に聖母竜ティアマトの居城クリスタル・キャッスルがそびえたっている(小山ほどの大きさのティアマトの城なので、ランディア大陸の中では最大)。
ラドンの大樹
星竜連峰の名所の一つ。黄金の葉を繁らせた大樹で、草原に立っているが、そのあまりの大きさから草原の広さが感じられないほど。大昔、ラドンという黄金の竜が大樹の枝葉に住んでおり、その影響で葉が黄金色になったという言い伝えがある。
枯れることも、葉を落とすこともなく、昔から変わらず立っていることから星竜連峰の永久不滅の象徴とされ、竜たちの誇りでもある。
ノートゥン竜騎士王国
星竜連峰と竜騎士の契約を交わし、その結果として専守防衛を原則とする国家。
性質上他国に侵略することは無いが、同盟を結んだ国家の防衛として竜騎士を派遣することはあり、この世界において竜が最強格の存在であることから、戦術的な軍事力としては大国に匹敵する力を保有している。
守戦に限ればグラン・ケイオス帝国とさえ渡り合うとされる。実際に帝国拡張期は、物量で優位かつグリフォン騎兵を有する帝国軍の侵攻を跳ね返している。
星竜連峰との盟約上、中立的立場のためソーマ主導の各国首脳会談では開催国となっている。
海洋同盟が『南大陸連合』に発展したあとも加盟はしていないが、国内に『南大陸連合会議場』を設置し、特別招待国として会議に参加しており、中立国という立場上、議長役を務める。
外交
東方諸国連合ラスタニア王国
東の隣国。東方諸国連合成立以前から同盟関係にあり、有事の際に竜騎士部隊が防衛に尽力する代わりに、ラスタニア王国を外交窓口・物資の調達先としている。
大陸歴1547年の魔浪発生時は、自国の魔浪が終息したあと、竜騎士二百騎を派遣した。
東方諸国連合統一により、盟友ラスタニア王国と、援軍として派遣した部隊のうち竜騎士六騎を失うことになる。
フリードニア王国
王女シィルの夫パイとフリードニア王ソーマの第二側妃ナデンが親友であることや、魔浪の際ソーマがラスタニアを救援した経緯により良好な関係を築いている。連合統一後、フリードニア王国を新たな物資の調達先とし、竜騎士を運び屋として運用する契約をソーマと交わす。その最初の仕事としてルナリア正教皇国からの亡命者達(メアリ・穏健派の神官・年少の聖女候補)をフリードニア王国へ送り届けた。
バルム
ノートゥン竜騎士王国の首都。王族であるムント家の居城がある。大陸歴1550年、「精霊王の呪い」(「潜血魔蝕虫症」)対策のための首脳会談を開催するにあたり、ソーマからの依頼で開催地となった。
- 騎乗契約
星竜連峰とノートゥン竜騎士王国が結ぶ契約。
毎年春の終わりに行われる「契約の儀」によって結ばれる。
この契約により、無理に竜を使って他国への侵攻を画策すれば、竜が全て星竜連峰へ引き揚げてしまうため、竜騎士王国は侵略戦争ができない。
・竜は騎士の伴侶となり、愛竜として共に戦場を駆ける
・騎士は竜を伴侶として迎え、子孫繁栄に協力する
・騎士が竜の力を我欲に使った場合、契約は破棄される
魔王領/海の民『シーディアン』
魔族/シーディアン
魔王領に存在する魔物とは異なる存在。
人間と同様に戦略や戦術に則った作戦活動を行うことが可能であり、魔王領出現後の連合軍壊滅はこちらによるもの。反面それ以降は表立って活動することは無く、フウガの魔王領侵入によってそもそも魔王領のほとんどに魔族はいないということが事実上発覚する。
壊滅した連合軍の生き残りの発言などから「ディバルロイ」という単語が逐一出ており、この名を持つ存在が魔王ではないかという推測が成されているが、詳細は不明。また超大陸ランディアにおける人間世界の国家は言語が一つで統一されていたため、ソーマがトモエから話を聞くまで、ランディアの国家は魔族との対話という発想が出にくい状態となっていた。
大半の国家では魔族を知性があるだけの魔物の一種と認識されていたが、実際はトモエの能力ありきとはいえ対話が可能であり、またその魔族が半ば独断で彼女たちに逃げることを促しているなど、文明を持つ民族というべき存在でもある。そのためソーマ達は迂闊に知られると世界が割れるが、他国が先行して絶滅戦争になりかねない事態もまた避けねばならないため対応の苦慮することになる。
なお、魔族側からすれば、『魔族』と呼ばれるのは、魔物とほぼ同じ意味であり、蔑称にあたる。
魔族の故郷である北の地は、広大な海に、大小様々な島が無数に存在し散らばっている世界だった。
だから自分たちのことを海の民『シーディアン』と呼んでいる。
魔族はオーガ(額に角のある人間族)、鎧甲冑を着けたリザードマン(四肢に鱗が付き、尻尾の生えた人間族)、バンパイヤやバンピール(蝙蝠の羽の生えた者)、コボルトがいる。
電脳の歌姫(ディーバロイド)であるMAO(マオ)が率いている。
ハールガ
母なる星より人を招くための【扉】として建設された都市。
砂漠の果てに王都パルナムと同じ円形に城壁が作られている。
軍部
一万ほどの装備を固めた軍勢がいる。
魔族の兵器
この世界について
- 世界解明の章
ソーマの居た世界とこの世界には時間の連続性がある。旧世紀で言う22世紀の始め頃、順調に科学技術を発展させた人類は、物体を構成する原子の質量を自由に変化させる術(ティアマトや、その眷属である竜たちが身体のサイズを自在に変える際に使っている技術)を獲得したことで、人類の技術力は太古に火を獲得したときと同等な爆発的な発展を遂げる。
どんな物体も原子の密度そのままに大きくすることができ、どんなに精巧な物体で肉眼では見えないほどに小さくすることができるようになった。前者はエネルギー問題や食料問題などに応用されました。そして後者はどんなことにも応用可能な万能物体『ナノマシン』として利用されることに。
これらの発見・発明は減少傾向にあった人類の総人口を大幅に増大させることになる。
食料問題やエネルギー問題が解消され、ナノマシンが土壌改善や人体の健康維持に活躍することによって、戦争や疫病のような、人類史と切っても切り離せない問題から解放された。
出生率の上昇し、ナノマシンによる健康維持により、死亡率も大幅に低下する。
それだけでなく、受精卵の段階からナノマシンが遺伝子を調整することにより、人の寿命も大幅に伸びることになります。
そのようにして、ダークエルフなどの長命種族は生み出される。ただし、単に寿命を延ばしただけでは簡単に人口爆発を引き起こしてしまうので、それらの新人類は出生率を低下する調整もされる。
そういった調整を施しながら順調に増えていった人類は、いつしかかつて最大だったときの総人口を超える。そして、増えた人口はかつて人口減少によって頓挫していた宇宙への拡張事業を再開させることになる。
しかし、今回の再拡張にはナノマシンがあります。わざわざ宇宙空間に人類の居住空間を建造する必要も無く、惑星にナノマシンを散布すれば比較的短期間で地球と同じ環境を手に入れることができるようになった(テラ・フォーミング)。
効率の問題から、月や火星などの太陽系にある衛星・惑星はゼロからテラ・フォーミングするが、地球から離れれば離れるほど、最初から地球に環境の近い惑星を選んでテラ・フォーミングを施す。
ソーマ達がいる星も、そんな太陽系外でテラ・フォーミングされた星の一つであった。
そしてそれらの星では同時に、様々な実験が行われる。いずれ人類の人口が太陽系から溢れ出し、この星に移住するときのためにこの星に適応した人類の姿を模索した。この星のテラ・フォーミングは太陽系の惑星と比べて完璧とは言えなかったので、この星全体を試験場とした実験が行われることになった。
試験場を北半球と南半球で分けて、管理者に差を設けることで、試験体にどのような影響が出るかを調べるために、この星に効率よく適応できる人類の調査。それはつまり人類の身体にどのような変化を加えれば良いかというのを、多数のサンプルを用いて調査しようということだった。
それは、獣人族、小人族、ドワーフ族、エルフ族などの亜人(デミ・ヒューマン)と呼ばれる存在であった。旧人類はそれらの亜人がこの星に適応できるかどうかを調査していた。そしてその実験のために用いられた【試験管】が、こちらの人類が【ダンジョン】と呼ぶものだった。
ダンジョンとは、コアがある限り、常に一定の生命が生み出され、ダンジョン内に生態系が維持される。いま現存しているダンジョンはほぼ不具合を起こしているため、失敗作である【魔物】を吐き出すだけの存在になっているが、もとは適応できる亜人を探すための【試験管】だった。
本来のダンジョンの役目は、妖狼族などの種族がこの地に適応できるかを調べるため、まずその種族を生み出し、その種族が生活できるようダンジョン内の生態系を調整して種族数を増やす。順調に種族が増えていけば、やがてダンジョン内も手狭となり、その種族の勇気あるものがダンジョンの外へと飛び出し、外の環境に適応できるならば種族を率いて外の世界へと連れ出す。これでそのダンジョンの仕事は一先ず終わりとなり、次の種族の繁殖実験に取りかかることになる。それを繰り返していくうちに、北半球でも南半球でも、繁殖に成功し、外の世界へと飛び出した【亜人】たちの生活できる領域が広がっていった。
そして、外に飛び出していった亜人たちや、亜人たちを生み出すダンジョンの発生を管理していたのがMAOとティアマトだった。
この星の北半球では、MAOは肉体を持たない永続性の強いAIとして魔族(シーディアン)を継続的に見守る。
この星の南半球(ランディア大陸)では敢えて肉体が与えられ、死と再生を繰り返す代わりに子孫を残すことを許されたティアマトが、何世代にもわたって管理することになった。
ティアマトの眷属である竜族や、その竜族と他種族が混血することで生まれた半竜人などはこのときに発生した種族であった。だからこれらの種族は北半球には存在しない。MAOとティアマト、永遠か有限か、孤独か血族を持つか……そういった差が、試験体にどのような影響を与えるのかを調べるのもまた、実験だった。
フリードニア王国の王都パルナムで発見された魔物や竜などの骨も、遥か昔にダンジョンが生物を生み出そうとしていた痕跡であった。記録にも残らないくらい昔に自壊したため、ただ化石のような形で残されていた。つまりメカドラに使われている骨は星竜連峰産の竜ではなく、ダンジョンが実験のために生み出していたものであった。
いずれ、増えすぎた人類がこの地へと訪れるときのためだったが、いつまで待っても旧人類はやって来なかった。
旧人類がやる気を失った
月や火星を完全に地球と同じ快適な環境へと造り替えたとき、人類は悟ってしまった。あとはもう、同じことの繰り返しだろうということを。どんなに人口を増やし、どんなに宇宙へ種を拡張していったとしても、結局はこれまで行ってきた事業のやり直し、紡いで来た歴史のリバイバル上映でしかないということを。
人類はコレまで、足りないものを求めて様々なものを作り、様々な思想を磨いて来た。富める者から富め、人より豊かになりたいという思いを原動力にする資本主義。富を分配し、貧困をなくそうとした社会主義。どちらにも光も闇もある制度だが、根ざしている部分は、格差のある現実をどう生きるか、どうすればより幸せになれるかを考えていた点では一致している。
しかし、科学の進歩によって人類すべてが満ち足りた生活を送れてしまう。それは科学の進歩に合わせて、それを乗り越えていくように人類の精神も成長していかなければならなかったのだが、人類の精神の成長に比べて、科学の発展の速度が速すぎた。
その結果として、人類は地球の周辺に引き籠もった。そのころにはもう、科学の進歩は行き着くところまでいってしまっていまい、それこそ人の生体電流や心臓の鼓動からでさえもエネルギーを取り出すことができ、機械のメンテナンスも機械が行うような世界になっていましたから、人類が働く意義さえ曖昧になっていた。むしろ機械の電池になることで、生まれてきた価値は満たしていると考えるような世界だった。
同様に発展してきたVR技術に伴い、五感のすべてを現実のものと遜色なく感じられる仮想現実が作られるようになった。それこそ、不便を求めるなら不便を体感できる仮想現実へと行ったほうが、身の危険もなく、何度でも好きな不便を体感できてしまう。
今の地球人は、機械にエネルギーを供給しながら、自らの望む仮想現実を生きている。それも映画に描かれたようなディストピアなどではなく、本人が望んで虚構の世界に入り浸っている形で。
仮想現実は共有できるので、そこで出会った人物の精子と卵子を受精させれば、仮想世界で実際の恋愛を行い、実体としての子供を作ることもできる。もっとも、貴方のいた時代に比べれば、寿命が長い分、血族意識は希薄になっている。
それを善としない者たちもいた。そう言った者たちはテラ・フォーミングされた星に移住し、暮らし始めます。それがルナリア正教が月から来たと主張している『月の民』であり、この地で新たに増えた人間族の祖先でもあります。もっとも、亜人との交配が進んだ現在の人間族と、かつての人類とではすでに別個の種族になっている。
人口爆発と人類の活動領域の拡大を見越して、この星のような実験場が用意されたが、それらの予想は外れ、人類は地球とその周辺に留まり、この星のような実験場は放棄された。
放棄されても尚、管理者であるティアマトとMAOはその存在意義として実験を継続していた。すなわち、ダンジョンを生み出し、この星に適応した人類と動物を生み出すという使命を。百年、千年、数千年と、気の遠くなるような時間を延々と。
その内、不具合を起こすダンジョンが現れ始める。明らかに生命として歪な存在を吐き出すようになる。それが魔物だった。魔物の身体が腐食していたり、他の生物とのつぎはぎのような歪な構造になっているのは、不具合を起こしたダンジョンが正しい生物を製造できなくなっているからだった。
南半球の管理者であるティアマトは、血族の作成と世代交代を許されていたため、世代交代の際にダンジョンを生み出すプログラムを破棄することに成功していた。だから南半球にはダンジョンの数が限られている。
北半球で永続的な管理を指示されているMAOはいまも尚、不具合の起こしているダンジョンを生み出し、魔物を吐き出し続けていた。北はランディアのような大きな大陸のない大小無数の島が散らばるのだが、シーディアンの領域はどんどんと魔物によって浸食されることになり、ついに一つの島まで追い詰められることになる。
不具合を起こしてしまっているとはいえ、魔物もMAOが産みだしてしまったものなので、これに危害を加える権限はMAOにない。ロボット兵器も、管轄の違うティアマトの子らへの迎撃には使用できるのだが、魔物を攻撃する権限を有していない。
一縷の望みを掛けて、生き残っていたシーディアンと共に、南半球へと転移してきた。もしかしたら、ティアマトがプログラムに縛られ不具合のあるダンジョンを生み出し続けているMAOを破壊してくれるのではと期待していた。MAOが壊れれば、少なくとも北の地にこれ以上ダンジョンが増えることはなくなり、北と南を繋ぐためのゲートを閉じることができる。
パルナムの召喚システム/勇者召喚の儀
もともと大量の物資や移住してくる人々を運搬する目的で建設されたもの。
時間移動機能のついた巨大などこでもドアのようなもの。人も、物資も、ジャンガルのような巨大な兵器も即座に地球から呼び寄せることができた。
もっとも、そのエネルギー源であるナノマシンの多くはすでに機能を停止して地中深くに眠っており、現在パルナムの周囲に残存しているだけのエネルギーでは、人一人を呼び出すのにも数百年単位の充填期間が必要となります。
このシステムが移住に使われることもなく、不要となりつつあったが、仮想現実で生きることを嫌ってこの星へと移住し現生の人間族の祖先となった人々は、このシステムを残しておくことにしていた。
古き者
MAOや初代のティアマト、それに各地で神獣として名が残っているような管理者。
これらやダンジョンなどのシステムには、現地の実験体からの干渉を受けないようプロテクトがかけられている。いずれ人間族も世代交代が進み、これらのシステムへの管理権限を失えば、いまのMAOのように不具合を起こしたシステムが現れたときに止める手段がなくなる。
その懸念があったからこそ、移住してきた人々は転移システムであるパルナムの上に都市を築き、人々の生活の中から少しずつエネルギーを蓄えるように改造し、有事の際には管理権限を持つ地球人を召喚できるように造り替えた。召喚された者が現地の人類とコンタクトがとれるよう、相手の言語が聞き取れ、こちらが話す言語を相手が理解できるようになる仕組みまで用意していた。
勇者の前提条件
- 大体20世紀から22世紀くらいの人物
- 失踪しても影響の少ない【家族のいない天外孤独な若者】
砂漠の向こうに海が拡がっているという景色の中で、一部がぐにゃりと景色を歪めていた。それが南へと都市ごと転移させるというに使用したゲートだった。この都市もパルナムと同じ目的で建設されたものですが、MAOはその機能を利用して都市そのものを転移させた。
そのときに開けた穴は、いまも尚、北から魔物を呼び込んでいた(異界の門)。
北半球と南半球は異なる実験場として、本来なら相互干渉が不可能だった。ランディア大陸では北の海の果ては未踏領域になっているが、それは北から南へ、南から北へはたどり着けないよう、認識阻害のフィールドを形成されている。
ソーマとMAOによって、映像の中の歪みが一瞬にして掻き消えた。映し出されたのはただの砂丘と海だけが拡がる景色だった。余韻も何もなく、人類がこれまで抱えてきた問題の一つが解決した。
MAOの起こしている不具合への対処は、一つずつ行っていかなければなりません。いま一番喫緊の問題は解決されたが、他の不具合への対処もしていかなければ、いずれより大きな問題を引き起こさないとも限らない。
北半球ではダンジョンが増え、魔物の坩堝と化している現状に変わりはない。もしまた何らかの形でゲートが開かれるようなことになれば、そのときは同じ事の繰り返しである。
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キャラクター関連
※太字は中期・後期ヒロイン
※項目は初登場時の立ち位置で、主要キャラを記載
項目 | 該当キャラ |
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主人公 | ソーマ・カズヤ |
初期ヒロイン | リーシア・エルフリーデン アイーシャ・ウドガルド ジュナ・ドーマ |
主要配下 | トモエ・イヌイ ハクヤ・クオンミン ポンチョ・イシヅカ・パナコッタ セリィナ ルドウィン・アークス ジーニャ・マクスウェル ハルバート・マグナ カエデ・フォキシア |
アミドニア公国 | ロロア・アミドニア ユリウス・アミドニア |
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