概要
布都が『東方深秘録』に登場した際のものである。
本作での布都の二つ名には弾幕ごっこなどで布都が力を高めていくアクションである「皿を割る」という要素が、布都が今日幻想郷へと復活するに至る方法・技術である「尸解仙」の要素とともに語られている。これに加えて本作で布都が関連を持った怪談である「皿屋敷」の作品の一つ(「番町皿屋敷」)から、「番町」の語が登場している。
『深秘録』では「皿屋敷」の怪談の中心人物である「お菊さん」が顕現しており、決闘シーンではオカルトアタックの「お菊アッパー」や怪スペルカードの<*死んでも一枚足りない!*>、CPU専用怪ラストワードの<*仄暗い井戸の底から*>などでその象徴、あるいは姿を伴って布都ともに弾幕ごっこに参加している。
一方の「尸解仙」にみる「一度死を体験し後に復活した尸解仙」(ただし初登場時の『東方神霊廟』では「 自称 」と曖昧な表現となっている)である布都、という観点を通して見るとき、本作中では尸解仙とはまた別の系統の不死者である蓬莱人としての藤原妹紅にも出会っているなど尸解仙とはまた別の形で成された、再生を遂げる人とも対面している。
また本作でも布都は決闘に赴くなどする場面以外では豊聡耳神子の動きとも連動しており、神子が訳あって夜の博麗神社に赴いた際などは神霊廟でお留守番していた。
本作での布都の一人称は「 儂 」や「 我 」。
本作でもまた勇ましいカット、長い袖に納めた両手を前で合わせて首をかしげるカットなどなど元気いっぱいかつ表情も豊かで、相手の挑発には時にノリツッコミで応じていくなど感情面でも豊かである。
なお、『深秘録』での二つ名の表記は「番町!皿を割る尸解仙」とエクスクラメーションマークが全角で表記されているが、pixivのタグとしては本記事の通り半角(「 ! 」)の表記によるものが用いられている。これはpixivのタグに全角英数字を使用することができないことによるもので、pixivならではの代用の表記と言えるものである。
布都とお菊さん
オカルトボールをめぐる決闘に参加するには都市伝説を使うことが必要であったが、本作の時点でも布都は新しい物事に馴染むことを苦手としている様子で、近年の現象である「都市伝説」にも疎かった。そんな折に出会った都市伝説としての力の発現も見られた「お菊さん」に布都は喜ぶ。
「 何?番町皿屋敷が古いとな?
馬鹿言え、我の時代には無かった最新の怪談だぞ 」(布都、対戦モード勝利セリフ、『深秘録』)
しかしお菊さんの「 呪い 」は布都の予想以上であったようで、皿を求め数えるお菊さんに引きずられていくように布都もまた見つからない皿を求めてしまうようになっていった。
布都は争奪戦以外の場面でも、「 お皿を数えるのが日課 」になってしまっている。
自分の意思かお菊さんの意思かもあいまいになりながらも、布都は「集めれば願いをかなえてくれる」というオカルトボールの噂に願いを託し、争奪戦を勝ち進み、やがて規定数の「7つ」を手にしていくのである。
一方で敗れた後(オカルトボールの所有権が他者に移動した後)などは憑き物が落ちたように心持ちがすっきりとしているなど、オカルトボール、ひいては都市伝説としてのお菊さんの束縛がいかに強力であるかも窺うことができる。
この争奪戦の折に対決した他キャラクターからのお菊さんの評判はいまひとつで、やはり皿屋敷の「古さ」を指摘されることが多い。鈴仙・優曇華院・イナバなどは皿屋敷を選んだ布都個人についても言及するなど、人によってはかなり辛口の評価を下している。
あるいは古明地こいしからは「貴方の後ろに十枚目が…」などむしろこいしが関係した都市伝説であるメリーさんにお菊さんの伝承の結末が上書きされたエピソードに改変されたり、霧雨魔理沙からはラストを落語の時そばに切り替えられたりもしている(いずれも『深秘録』、各キャラクターによる対戦モード対布都勝利セリフ)。
「 お菊さんじゃて 十分ハイカラじゃ無いか 」(布都、『深秘録』)
なお、「皿屋敷」での「お菊さん」は皿を数えるという怪異であり、物語にもよるが、概ね皿を割ってしまった(または自ら貴重な皿を割った)ことに一連の不幸の加速が始まるが、布都は決闘中に皿が割れてくことも辞さずむしろ割れていく皿を力に変えていくので、共にお皿に縁のある身ではあるものの、この点の表面だけをなぞって見る範囲ではこの皿との向き合い方は二人に相違する点でもある。