通勤途中の5年前に転移して、特にチートもなく、縁故もなく、仕方なく始めた冒険者家業しごと。
魔法の素質はなかった。
勉強して少しだけ使えるようになったけれど、幼少期から訓練してる連中には及ばなかった。
剣道は子供の頃からやっていたので、それは大分役立った。
剣士になる連中は、ほとんどが農民あがりで握り方一つ知らないのだ。
足捌あしさばきという概念もないので、足がドタバタとした送り足で。
騎士になるような連中には勝てなかったが、そこらの連中よりは、まあまあの腕だった。
中堅ぐらいにはなって、小金が貯まったけれど30近くなって体力に陰りが見えてきたころ、ある依頼中に、膝に矢を受けた。
治療魔術である程度は治ったが、そろそろ引き際だな、と自分でも思った矢先のアドバイス(解雇通告)。
俺の冒険者生活は5年で終わった。
概要
「異世界コンサル株式会社」とは、小説家になろうにてダイスケ氏より投稿されているウェブ小説作品。2023年4月現在更新停止中。
幻冬舎より書籍化、角川コミックス・エースよりコミカライズされている。
旧題は「冒険者パーティーの経営を支援します!!」。
コミカライズ版のタイトルは「冒険者パーティーの経営を支援します!!~異世界コンサル株式会社~」。
剣と魔法の中世ヨーロッパ風の異世界に転生してしまった主人公が起業し、冒険者の生活向上を目指し奮闘するストーリー。
異世界に住む人々の文化や経済などに焦点を当て、「どのように商品を開発してどのように販売していくのか」「どのように人を雇い事業を拡大していくのか」といった部分を事細かに描写していた、経営シミュレーションのような作品となっている。
あらすじ
異世界へ転生したケンジは冒険者として生計を立てていたが、負傷により引退を余儀なくされてしまった。今後の生活のため、そして自分が冒険者となったときに感じた苦労を新人冒険者たちにさせないために、彼らの普段の生活に色々とアドバイスを行う、コンサルタントのような仕事を始めることにした。
登場人物
- ケンジ
本作の主人公。男性。現代日本でコンサル業を営んでいたが、数年前に事故により命を落とし、気が付けば異世界へ転生していた。冒険者として生計を立てていたが、負傷により足が不自由となったため引退した。
そういった経験から冒険者の生活環境の劣悪さに深く同情し、彼らの立場の向上を目標に掲げ、起業を決意する。
落ち着きのある性格の持ち主であり、物事を論理立て、数字と統計を用いてパズルのように解法を導き出していく聡明な人物。単純な金銭的な利益以上に、人の感情や信用というものを最重視しているため、利害の不一致以上に敵を作らないように立ち回るタイプ。
- サラ
本作のヒロイン。女性。弓術が得意な冒険者。新人の頃ケンジに色々と助けてもらっていた。
ケンジに好意を抱いており、彼が冒険者を引退した後も行動を共にしている。
- ジルボア
男性。冒険者の中でもトップクラスの人物で、30人ほどの人員からなる「剣牙の兵団」を率いる団長。筋骨隆々とした大男ながら容姿端麗であり、頭の回転も早い文武両道で、まるで物語に出てくる英雄のような存在。
ケンジに自身の兵団のコンサルタントを依頼し、それに成功してからは共に事業を拡大させていく仲間となる。
- グールジン
男性。元冒険者であり、100人からなる隊商を束ねる商人。
ケンジやジルボアと手を組み、彼らの事業に手を貸す。
ケンジ以上に損得勘定で物事を考える節があり、それが原因で失敗することもしばしば。
- ニコロ
男性。司祭。枢機卿直属の懐刀であるため、その権力は大司教にも匹敵する。
とある事情によりケンジの作成した資料が目に留まり、彼の能力を見抜き抜擢する。
論理と数字を重んじる現実主義者。
用語・設定
- 冒険者
所謂「何でも屋」。街道や開拓村に出没する怪物(モンスター)退治に駆り出されることが多い。農村で食い詰めた者が一攫千金を狙って冒険者となることが多く、学もなければ武術に秀でる者も稀であるため、依頼の際に負傷したり落命するものが後を絶たず、商人にカモにされ生活苦に陥いる者も多い。
- 冒険者ギルド
冒険者へ仕事を斡旋する国営の組織。国からは予算の削減を求められ、冒険者からは様々な要求をされる中間管理機構であり、職員も商人や貴族の三男坊のような出世の見込みのないもの就いているなど、総じて「士気の低い地方役所のよう」な場所。
- 魔術
炎の玉を打ち出したり、人の精神に作用し気づかれなくなったりなど様々な超常的現象を引き起こす技術。魔術を使うものは魔術師と呼ぶ。
生まれつき素質があるものが魔術を学ぶことで習得できるようになるため非常に希少であり、魔術が使えるものは貴族の抱えとなっている者が大半である。
関連タグ
狼と香辛料 ・・・ ファンタジー世界を舞台にした、経済をテーマに据えた作品。