概要
元々甲斐国を領していた武田信虎と、隣国で信濃国諏訪を領していた当時の諏訪家当主・諏訪頼満は敵対関係にあったが、やがて両家の間で講和が成立。その時武田家から諏訪家嫡孫の頼重に嫁いだのが禰々である。やがて諏訪頼満が病死し、嫡男の頼隆は既に死去していたため頼重が当主となる。
その頃の諏訪家と武田家は友好関係であり、禰々も頼重との間に第一子寅王(「寅王丸」とも言われる)を授かるが、兄・晴信が(家臣や領民の要請で)父の信虎を追放してから関係が急激に悪化する。
その理由は、頼重が武田との同盟を無視して上杉憲政と単独講和したためであった。
やがて兄が諏訪頼重と争っていた諏訪家庶流の高遠頼継と連携して諏訪家へと攻め込み、夫・頼重は追い込まれてしまう事になるが、武田側は「降伏して開城すれば命は助ける」と言って来た結果、その要求を呑んで開城する事になった。
しかし、信玄は最初から約束を守る意思など無く、約束を反故にされてしまった頼重は義弟・諏訪頼高共々甲府の東光寺に連行された挙句、自害に追い込まれた為、息子と共に実家の甲府に戻った。
兄に約束を破られた上で夫を死に追いやられた事で心労がたたったのか、帰国後まもなく体調を崩して死去。一説には、夫を失ったショックで精神を病んでしまった末の自害ではないかともされている。
享年16歳。
その後も、兄・信玄は目的の為ならば身内に対しても容赦の無い政策を繰り返す事になる。ただし、こういったことは戦国時代では普通に行われており、家を残して領民を守るためには仕方ない行為であった。
死後
禰々の死後、息子寅王がどのような運命を辿ったかは正式には不明だが、「高白斎記」にその後の顛末が記されている。
それに拠れば諏訪頼重の死後、再び武田家と敵対した高遠頼継が武田家に侵攻して来た際、兄・晴信が幼い寅王を推戴して諏訪一族を統合し、天文11(1542)年9月25日の諏訪宮川橋の戦いにおいて高遠頼継勢を撃退。その後寅王は僧籍に入れられて「長岌」と名を変えた、とある。
しかし、かつて自身が父・信虎を追放した様に、両親を死に追いやった自身を恨んだ長岌(寅王)が復讐するのではないかと考える様になった信玄は、頼重の異母妹である諏訪姫との間に自身の子を産ませる形で、信濃侵攻の正当性を得ようと画策。一転して長岌は信玄から邪魔者と見なされる事になり、後に大叔父の諏訪満隆が武田家に対して大反乱を起こしたのを機に、いよいよ命の危険に見舞われる事になってしまう。
自らの身を守るべく、長岌は駿河の戦国大名・今川義元を頼って亡命しようと試みたものの、事前に武田家に露見した為に捕えられて処刑。結果的に、長岌もまた両親共々に信玄の野望に翻弄される形でその生涯を終える事になってしまった。
別説では、天文22(1553年)に越後に出奔した結果、上杉謙信にその美貌と胆力とを愛され、春日山城内に住むことを許されて優遇された、はたまた東北地方へと逃れたとされている。
戦国大戦
戦国時代によくあった政略結婚の犠牲者であり、特に日の目を見ることは無かった彼女であったが、『戦国大戦』では夫婦揃ってカード化している。夫が兄に殺されるという悲劇を経験し、その後自身も若くして死去したという史実を意識してか、抜き身の刀に虚ろな目というヤンデレ風なデザインになっている。
台詞も『何もかも、消えればいいの』(計略使用時)や、『壊していいの』(城門攻城時)など、退廃的なものが多い。
カードとしての実用性よりもむしろこちらの方が印象的。ちなみに同作品に登場する女性武将の大半が嫁ぎ先の勢力で扱われるのに対し、彼女のみ出戻った実家の方の勢力所属になっている(夫・諏訪頼重は他家所属)。
スペックはコスト1 武力1/統率5の弓足軽で、特技は「魅力」。
戦力面としては心許ないが、計略・統率面は悪くないため、基本的に援護役として扱うことになる。
因みに彼女の所持計略である「力萎えの呪い」は敵味方の武力を5下げるものであり、使い方としては、「1570魔王上洛す」以前は密集して出て来た敵の軍勢に単独で突っ込み、敵の武力を、自身諸共下げて弱体化させるというものであったが、「1570魔王上洛す」にバージョンアップすると流転計略を持つ浅井・朝倉家(特にお市の方、赤尾清綱、藤堂高虎)が登場。それにより味方諸共「力萎えの呪い」を掛けた後、更に流転計略で自軍のみ計略効果を消して、更に武力強化するというコンボが可能となった。
但し、同じく「力萎えの呪い」を持つ浅井・朝倉家の山崎吉家同様、計略範囲が多少狭く、相手に掛けるには前に出なければならないのだが、禰々本人が弓足軽の為、弓の仕事を務めずに前線に立たなければならないという点がある事や、また禰々本人を前に押し出すと当然自軍が何をしたいのかが明白となるので綿密な戦略を練る必要がある。
またそのコンボを行うには混色(武田軍と浅井・朝倉軍の2勢力)でデッキを組まなければならない為、1勢力で出来る山崎とは違い、士気の上限にも注意を払わなければならない。
『どうして私を生かすの‥‥‥?』